せめてヤンデレを回避しなくては!!

文字の大きさ
6 / 6
1話 運命

1-5

しおりを挟む
「すみませんがご令嬢、僕たちは…。」


 なるほど、とさっと顔を変えた男の方をクラリルだとリリアンは悟った。ならば話は簡単だ。もう1人の片割れの方にお願いすればいい。リリアンが幼馴染と言えば、リリアンからすぐにヒジリの方を見たラシエルは熱心な目を向けている。そう、私が彼らをヒジリの次に推していた理由はもう一つある。それはラシエルが一目惚れして片想いをするのだ。

 ラシエルは実はぬいぐるみの様な愛くるしいものが好きな可愛い一面がある。しかし男である事から可愛い物が好きなんて言えたことがなかったのだ。クラリルだけがそのことを知っていて、クラリルはだからこそラシエルがヒジリを気になってしまうのはなんとなくで理解している。可愛い物好きを隠すのを手助けするほどにはクラリルも協力的で、ヒジリの事が可愛く見えて仕方なかった、というのは双子と友好を深める中で物語の終盤でやっと話される微笑ましい萌え展開。
 ラシエルはこの日からヒジリに一目惚れしていたのか、それもまた嬉しい情報を得てしまった。

 思わず上がってしまう口元を手で隠して、それっぽい理由を説明する。あの皇子に合わせないためにも今のうちから仲良くなってもらおう。


「実はヒジリ様は今日初めての社交界なのです。お茶会などの参加も私としかしたことがなく、だからこそ同性のお友達が必要だと思っています。」


 リリアンが友人を思うように言葉をつづれば、双子は顔を見合わせる。小さな咳払いをして先を促すようにリリアンを見て興味がちゃんとあることを確認できればあとは話題でも提供すればいいだろうか。
 ここで思い浮かぶのはマユズミ家の事業だ。リリアンが把握している限りだとマユズミ家はサービス業への投資をしている。ホテルやカフェ、レストラン、事業を開店しているわけではないが投資をしている先では確かに繁盛し商売右肩上がり……だからこそ徐々に勢力をつけている貴族に当たる。それに、最近ヒジリにはおすすめのカフェができたはず、そこの店のマカロンをとても気に入っていた。確かカフェの名前は都市でも有名な店、彼らはもちろん知っているだろう。


「最近ヒジリ様はラズベリーのマカロンがお気に入りなんです。此処にもおいしそうなマカロンがありますわね。」

「……持ってって話しかければいいんだな。」

「はぁ…分かったラシエルが行くなら僕も行く。それではご令嬢、ここで失礼します。」


 さぁいったいった、貴方たちにはヒジリの味方になってもらわなければいけないのよ。遠ざかっていく背中を見ながら腕を組んで満足する。これから推し同士の絡みがあるのだからもちろんすぐ近くで見に行きたいところだが、その前にもう少しだけ見知った人物がいないかと探し始める。ここにあの双子がいるなら主要人物が他にもいるんじゃないかと思ったのだ。ぐるり、と辺りを見渡してそれらしい人物は見つけられなかったが視界の端に映った金髪にぞっとする。


「まさか…。」


 はく、と息を吸いこむ。そこに皇子がいた。既にヒジリに目をつけているのか執拗に向けられている視線に身の毛がよだつ思いをする。大丈夫、邪魔をすればいい、そう分かっているもののその人物を見てしまうと体が動かなかった。

 令嬢らしくなんてないが、リリアンはヒジリのもとまでドレスを揺らしながら走って近づいた。そうして双子がやっとマカロンを持ってい話しかけに行ったにもかかわらず、ヒジリの腕を引く。


「リリアン!?」

「ちょっとテラスに行きましょう!」


 そう声を荒げたが、リリアンの前に燕尾服の男性が立ちはだかる。襟につけられたブローチから王家のものだと一目でわかり一歩下がる。


「皇帝陛下がお呼びです。」


 リリアンの横は通り過ぎ、ヒジリの前で跪いてその男は頭を垂れた。
 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ツイてない僕が魔王に拾われて、なぜか溺愛されています

うんとこどっこいしょ
BL
とにかく運が悪い青年アルト。 ある日、魔法使いだと勘違いされて勇者パーティーに連れていかれ、気づけば魔王城へ。 しかし戦いはあっさり勇者側の敗北。 逃げ遅れたアルトは、最恐の魔王セルディアと対面してしまう。 殺される──と思った瞬間、魔王はなぜかアルトを気に入り、 「暇つぶしに飼うことにした」 と宣言。 首輪までつけられ、魔王城で暮らすことに!? 魔獣の世話、城の仕事、そしてなぜか魔王にやたら甘やかされる日々。 不幸体質の青年と、魔王セルディアとの奇妙な同居生活が始まる──!

隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世
BL
大輝は悩んでいた。 完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。 自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは? 自分は聖の邪魔なのでは? ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。 幼なじみ離れをしよう、と。 一方で、聖もまた、悩んでいた。 彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。 自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。 心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。 大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。 だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。 それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。 小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました) 受けと攻め、交互に視点が変わります。 受けは現在、攻めは過去から現在の話です。 拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。

魔王様の執着から逃れたいっ!

クズねこ
BL
「孤独をわかってくれるのは君だけなんだ、死ぬまで一緒にいようね」 魔王様に執着されて俺の普通の生活は終わりを迎えた。いつからこの魔王城にいるかわからない。ずっと外に出させてもらってないんだよね 俺がいれば魔王様は安心して楽しく生活が送れる。俺さえ我慢すれば大丈夫なんだ‥‥‥でも、自由になりたい 魔王様に縛られず、また自由な生活がしたい。 他の人と話すだけでその人は罰を与えられ、生活も制限される。そんな生活は苦しい。心が壊れそう だから、心が壊れてしまう前に逃げ出さなくてはいけないの でも、最近思うんだよね。魔王様のことあんまり考えてなかったって。 あの頃は、魔王様から逃げ出すことしか考えてなかった。 ずっと、執着されて辛かったのは本当だけど、もう少し魔王様のこと考えられたんじゃないかな? はじめは、魔王様の愛を受け入れられず苦しんでいたユキ。自由を求めてある人の家にお世話になります。 魔王様と離れて自由を手に入れたユキは魔王様のことを思い返し、もう少し魔王様の気持ちをわかってあげればよかったかな? と言う気持ちが湧いてきます。 次に魔王様に会った時、ユキは魔王様の愛を受け入れるのでしょうか?  それとも受け入れずに他の人のところへ行ってしまうのでしょうか? 三角関係が繰り広げる執着BLストーリーをぜひ、お楽しみください。 誰と一緒になって欲しい など思ってくださりましたら、感想で待ってますっ 『面白い』『好きっ』と、思われましたら、♡やお気に入り登録をしていただけると嬉しいですっ 第一章 魔王様の執着から逃れたいっ 連載中❗️ 第二章 自由を求めてお世話になりますっ 第三章 魔王様に見つかりますっ 第四章 ハッピーエンドを目指しますっ 週一更新! 日曜日に更新しますっ!

周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)

ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子 天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。 可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている 天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。 水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。 イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする 好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた 自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語

従者は知らない間に外堀を埋められていた

SEKISUI
BL
新作ゲーム胸にルンルン気分で家に帰る途中事故にあってそのゲームの中転生してしまったOL 転生先は悪役令息の従者でした でも内容は宣伝で流れたプロモーション程度しか知りません だから知らんけど精神で人生歩みます

泣き虫だったはずの幼なじみが再会したら僕を守るために完璧超人になっていた話。

ネギマ
BL
気弱で泣き虫な高校生、日比野千明は、昔からいじめられっ子体質だった。 高校生になればマシになるかと期待したが状況は変わらず、クラスメイトから雑用を押し付けられる毎日を送っていた。 そんなある日、いつものように雑用を押し付けられそうになっている千明を助けたのは、学校中が恐れる“完璧超人”の男子生徒、山吹史郎だった。 文武両道、眉目秀麗、近寄りがたい雰囲気を纏う一匹狼の生徒だったが、実は二人は、幼い頃に離れ離れになった幼なじみだった――。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

処理中です...