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旅行と祭りと壮行会と
元気キャラなのに頭はキレる子
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帰りのホームルームが終わり、クラスメイトも各々自分の用事で散らばる中、私と美咲はもちろん生徒会へ向かうために立ち上がった。
「さてさて、今日も生徒会行きますかぁ!」
美咲がそう口にしながら席を立つと、比較的近い席の伊波さんが興味深そうに反応する。
「へ~、生徒会って今日もあるんだ~?」
「そりゃあるよ。文化祭が来月で準備だって大忙しなんだから」
「明後日から修学旅行なのに、大変だね~?」
「私たちが空ける間は一年生二人になっちゃうから、今の内にやれることはやっとかないと、でしょ?」
「そっかぁ、頑張ってね~。橘さんも~」
美咲と一緒に生徒会室へ向かおうとそちらへ向かっていた私に、伊波さんはくるっと振り返ってそう言った。こっちを見てなかったのに、まるで近づいてたのを予知していたような動きだ。
「は、はい。ありがとうございます」
「あ、じゃあ行こっか柊和!」
「はい、そうしましょう」
「じゃあまたね~」
「また~」
伊波さんと美咲がそう挨拶を交わし、私もぺこりと軽く一礼で返す。
そうして教室を二人で出て、歩いているうち、段々人目につかないようになるとすぐに私も脱力した。
「ふぅ」
「おかえり~」
ため息一つで私が素に戻ったのが分かったらしい。美咲からそんな言葉を贈られてしまった。
「……別に帰ってきたわけじゃないでしょ?」
「いや、そうなんだけどね? なんか見事に切り替えすぎてて、最近はもう別人格的な何かなんじゃないかなって思えて来ちゃってるんだよね~」
「なにそれ、私はいつだって私一人です」
「だよね~? 今朝は珍しくボロが出ちゃってたし?」
「ぐっ……」
急にニヤニヤと底意地の悪い表情をした美咲は揶揄うような口調で痛いところを突いてくる。
この様子だと、私を揶揄える絶好の機会だと今日ずっとワクワクしていたに違いないな、美咲め。
「まあ、護君が怪我してたんだもん、そりゃ柊和は心配になるだろうなぁって思ってたよ」
「だって……」
よりによって火傷なんて……とは、余計なことに気を遣わせたくなかったので口にしなかった。
私が火傷と聞いて反応するだけで、美咲はおろか初対面の人ですら、私の頭の中を見透かした気分になるだろう。
『——ああ、きっと自分の経験と重ねたのだな』と。
そう私の顔の火傷痕を見ながら確信する。
そして同情するのだ。
私が反応したのは『火傷』と『護』がセットになったからであって、私自身が火傷に強い拒否反応やトラウマを憶えているからではない。
だから同情はお門違いだし、同情から出た心配の言葉なんて掛けられても居心地が悪いだけだというのに。
美咲は私たちの過去の事は知らなくても、私が自分の火傷についてどう思っているか知っているので、そんなことはしない。
でも、何も知らない剣崎さんも伊波さんも同じように同情を口にはしなかった。
視線も、憐れむようなものじゃなく、むしろブラコンだなんだと笑っていた。
それだけで、あの人たちがよく他人のことを見ていて、尚且つ気を遣える人なのは良く分かった。
もちろん、ブラコンと言われたことに関しては、強く否定したい気持ちはあるのだが。
「けどまさかあの場でああも取り乱すとはね。っていうか、柊和なら当たり前のように知ってると思ってた」
「…………」
美咲が口にしたのは、きっと美咲本人はまったく意識してなかったことだろうけど、これまた的確に私の痛いところを突く指摘だった。
それも前のより深く、深刻な角度で私の心を抉ってくる。
「……そうなんだよね。私も、本当何してるんだろって思ってる」
「というと?」
「……今はまだ誰より護に近い所にいる癖に、そんな大事なことも、それどころかずっと不調だったことにも気づけなかったなんて……」
それも、あれだけ観察しておいて、だ。
私の目はどこまで節穴なんだと呆れ果てる。
それか、今までは護の事に限らず見えすぎるほど見えてきたのに、なんで急に曇ってしまったのかと、不思議に思うかのどちらかだ。
私は交互に悩んでいる。
「今はまだ、って……」
「……ねえ、今日の仕事だけど、ちょっと護と二人で組んでいいかな?」
「……それって、私情を持ち込んでいいかってこと?」
「包み隠さず言えば、そうなる」
「ふぅん……」
美咲は少し悩んでいる様子だった。
是非を決めかねているのか、でも、なんというか。
美咲がここで悩むのは、少し意外だった。
頼んでおいてなんだけど、特に考えず『良し』と即答されるだろうと思ってたから。
「……ねえ」
「ん?」
「その私情を持ち込むのってさ、この二日間もやってたんじゃないの?」
……っ⁉
私は美咲から出たその鋭い指摘に思わず身を強張らせてしまいそうになる……けど、そんなことをすれば答えは一目瞭然だ。私はなんとか眉一つ動かさずに言葉を受け止めた。
そして、その質問の意図を探ろうと軽い口調で尋ねてみる。
「どうしてそう思ったの?」
「う~ん……実は昨日さ、護君にちょっと相談みたいなのされて」
「相談?」
ここに来ての新しい情報に少し戸惑ってしまう。
ならなんで今朝話さなかったのだろう。
「ていっても、質問されても本当に一言二言だけしか話さなくて、私が相談に乗ろうとする前に『やっぱり何でもない』って自分で撤回しちゃって……」
「なるほど、それで護はなんて相談を?」
「えっとね、『姉さんはまた、僕を避けてませんか』って」
「は……何、それ?」
私が護を?
そんなことって……。
「何って言われても困るけど、ほら、一年前にも同じような質問されたの。柊和が護君の事避けてた時期があったでしょ?」
「あったけど……今はもうあんなこと……」
「でも、千歳も同じようなこと言ってたよね? 柊和が家庭科部に行かなかったの、護君が気にしてたって」
…………!
そうだ、話が流れてちゃんと聞けなかったけど、確かにそんな事を言っていた。
「私もちょっと不思議だったの。なんで私、昨日は何もできないのに家庭科部の方に回されたんだろうって」
美咲が、護に触発されたように疑問を口にする。
そしてそれは、見当違いではない真っ当な疑問だ。
「それは美咲なら、家庭科部に知り合いもいたしやりやすいかなって……」
「確かに千歳や杏奈とは友達だけど、結局私、ほとんどやることなかったし。それに知り合いってだけなら柊和だってそうよね。第一、名指ししてきたのは千歳の方なんだし。ならやっぱり料理の出来る柊和と護君が行くべきじゃなかったのかなって」
「それは……」
拙い。
そんな事前に予測できたような指摘でさえ、私は返答に困る。
本当に上手くやるつもりなら、事前にあらゆる回答を用意しておくべきだったのに。
「それに今朝、やらないといけない事があったって言ってたけど、それって事務仕事だよね? 別に私でも出来たでしょ、現に一昨日は問題なくやってたし? 昨日は先生もいたから別に会長と副会長が欠けても特に問題なかったはずなのに、あの時は護君と一緒だって舞い上がってたから気にしなかったけど、言われてみればやっぱり変じゃない?」
「…………」
言葉に詰まる、しかし、まさか美咲にここまで根拠を用意されるとは。
美咲の言う通り、変なのは当然だ。
昨日は美咲と護を一緒にすることを最優先にして組み分けしたから。
その動機を隠して組み分けする以上、多少無理のある説明しか答えられない。
けど、よくよく考えれば違和感はあっても、始めにそれっぽいだけの理由でも軽く説明できれば、なんとなく納得して別に深く気にする人も居ないだろうと思っていた。
それがどうやら間違いだったらしい。
美咲は、いや……護は、どうしてかわからないけど、違和感に気づいて納得しなかっただけらしい。
でも、それだけで私に避けられてるなんて思うものなのだろうか。
分からないけど、もしかしたら護が不調だったのはそのせいかもしれない。
いやでも、一日目はそこまでおかしな組み合わせじゃなかったし、気取られることもないはずなのに不調だったのか……。
それに一言聞いてくれれば、『私が護を避けてるなんて』疑問、間を置かずに即否定したのに、なんで聞くどころか不安を隠すような真似……。
「で、どうなの?」
「私は……」
「あ、やっぱちょっと待って」
「え?」
疑念を持たれているのに隠し続けることでもなし、元よりバレたって皆を裏切るような事でもないし話してもいいだろう。
そう思ってここは観念して包み隠さず話そうと思ったら、当の美咲がそれにストップをかけた。
なんだろうと思っていれば、その理由もすぐに分かった。
私たちの進行方向の先だ。
こちらに気づいて手を振る女子生徒と、それに並んで歩く男子生徒が一組。
なるほど、霧華と……渦中の護じゃないか。
いつの間にか、私たちは生徒会室に到着するところだったのだ。
確かにもう話している場合じゃない。
「こんにちは~! 柊和先輩、美咲先輩!」
「こんにちは」
「うん、お疲れ様! 二人とも!」
「お疲れ」
チラリと護の方を見た。
美咲の方を向いてお互い挨拶を交わしながらも、いつも通りの笑顔だ。
やはり違和感は特に見つからない……か?
「じゃ、今日もお仕事頑張ろっか! あと一息だよ!」
「はい! 頑張りましょう!」
護の事が気になってぎこちなくなってしまう私に代わり、美咲が元気に振る舞いながらも指揮を執ると、年下組は先んじて生徒会室の方へ入っていく。
そして二人が行ってから、美咲は耳打ちをしてきた。
「とりあえず、仕事に影響がないなら今日は好きに組みなよ。私は別に構わないし、霧華も柊和の頼みならこれくらい余裕で聞くと思うし」
「……うん、ありがとう」
美咲はそう言って、結局理由も聞かずに快諾してくれた。
事情は、また機を見て話すことにしよう。
頼れる友人のくれたチャンス。
護のことはようやく少しづつ見えてきたような気はするものの、まだ気になる点が気づいたことの何倍も残っている。
このチャンスを何とかモノにしなければ、と。
私は静かに決意を固めて、美咲の後に続いて生徒会室へと歩を進めるのだった。
「さてさて、今日も生徒会行きますかぁ!」
美咲がそう口にしながら席を立つと、比較的近い席の伊波さんが興味深そうに反応する。
「へ~、生徒会って今日もあるんだ~?」
「そりゃあるよ。文化祭が来月で準備だって大忙しなんだから」
「明後日から修学旅行なのに、大変だね~?」
「私たちが空ける間は一年生二人になっちゃうから、今の内にやれることはやっとかないと、でしょ?」
「そっかぁ、頑張ってね~。橘さんも~」
美咲と一緒に生徒会室へ向かおうとそちらへ向かっていた私に、伊波さんはくるっと振り返ってそう言った。こっちを見てなかったのに、まるで近づいてたのを予知していたような動きだ。
「は、はい。ありがとうございます」
「あ、じゃあ行こっか柊和!」
「はい、そうしましょう」
「じゃあまたね~」
「また~」
伊波さんと美咲がそう挨拶を交わし、私もぺこりと軽く一礼で返す。
そうして教室を二人で出て、歩いているうち、段々人目につかないようになるとすぐに私も脱力した。
「ふぅ」
「おかえり~」
ため息一つで私が素に戻ったのが分かったらしい。美咲からそんな言葉を贈られてしまった。
「……別に帰ってきたわけじゃないでしょ?」
「いや、そうなんだけどね? なんか見事に切り替えすぎてて、最近はもう別人格的な何かなんじゃないかなって思えて来ちゃってるんだよね~」
「なにそれ、私はいつだって私一人です」
「だよね~? 今朝は珍しくボロが出ちゃってたし?」
「ぐっ……」
急にニヤニヤと底意地の悪い表情をした美咲は揶揄うような口調で痛いところを突いてくる。
この様子だと、私を揶揄える絶好の機会だと今日ずっとワクワクしていたに違いないな、美咲め。
「まあ、護君が怪我してたんだもん、そりゃ柊和は心配になるだろうなぁって思ってたよ」
「だって……」
よりによって火傷なんて……とは、余計なことに気を遣わせたくなかったので口にしなかった。
私が火傷と聞いて反応するだけで、美咲はおろか初対面の人ですら、私の頭の中を見透かした気分になるだろう。
『——ああ、きっと自分の経験と重ねたのだな』と。
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そして同情するのだ。
私が反応したのは『火傷』と『護』がセットになったからであって、私自身が火傷に強い拒否反応やトラウマを憶えているからではない。
だから同情はお門違いだし、同情から出た心配の言葉なんて掛けられても居心地が悪いだけだというのに。
美咲は私たちの過去の事は知らなくても、私が自分の火傷についてどう思っているか知っているので、そんなことはしない。
でも、何も知らない剣崎さんも伊波さんも同じように同情を口にはしなかった。
視線も、憐れむようなものじゃなく、むしろブラコンだなんだと笑っていた。
それだけで、あの人たちがよく他人のことを見ていて、尚且つ気を遣える人なのは良く分かった。
もちろん、ブラコンと言われたことに関しては、強く否定したい気持ちはあるのだが。
「けどまさかあの場でああも取り乱すとはね。っていうか、柊和なら当たり前のように知ってると思ってた」
「…………」
美咲が口にしたのは、きっと美咲本人はまったく意識してなかったことだろうけど、これまた的確に私の痛いところを突く指摘だった。
それも前のより深く、深刻な角度で私の心を抉ってくる。
「……そうなんだよね。私も、本当何してるんだろって思ってる」
「というと?」
「……今はまだ誰より護に近い所にいる癖に、そんな大事なことも、それどころかずっと不調だったことにも気づけなかったなんて……」
それも、あれだけ観察しておいて、だ。
私の目はどこまで節穴なんだと呆れ果てる。
それか、今までは護の事に限らず見えすぎるほど見えてきたのに、なんで急に曇ってしまったのかと、不思議に思うかのどちらかだ。
私は交互に悩んでいる。
「今はまだ、って……」
「……ねえ、今日の仕事だけど、ちょっと護と二人で組んでいいかな?」
「……それって、私情を持ち込んでいいかってこと?」
「包み隠さず言えば、そうなる」
「ふぅん……」
美咲は少し悩んでいる様子だった。
是非を決めかねているのか、でも、なんというか。
美咲がここで悩むのは、少し意外だった。
頼んでおいてなんだけど、特に考えず『良し』と即答されるだろうと思ってたから。
「……ねえ」
「ん?」
「その私情を持ち込むのってさ、この二日間もやってたんじゃないの?」
……っ⁉
私は美咲から出たその鋭い指摘に思わず身を強張らせてしまいそうになる……けど、そんなことをすれば答えは一目瞭然だ。私はなんとか眉一つ動かさずに言葉を受け止めた。
そして、その質問の意図を探ろうと軽い口調で尋ねてみる。
「どうしてそう思ったの?」
「う~ん……実は昨日さ、護君にちょっと相談みたいなのされて」
「相談?」
ここに来ての新しい情報に少し戸惑ってしまう。
ならなんで今朝話さなかったのだろう。
「ていっても、質問されても本当に一言二言だけしか話さなくて、私が相談に乗ろうとする前に『やっぱり何でもない』って自分で撤回しちゃって……」
「なるほど、それで護はなんて相談を?」
「えっとね、『姉さんはまた、僕を避けてませんか』って」
「は……何、それ?」
私が護を?
そんなことって……。
「何って言われても困るけど、ほら、一年前にも同じような質問されたの。柊和が護君の事避けてた時期があったでしょ?」
「あったけど……今はもうあんなこと……」
「でも、千歳も同じようなこと言ってたよね? 柊和が家庭科部に行かなかったの、護君が気にしてたって」
…………!
そうだ、話が流れてちゃんと聞けなかったけど、確かにそんな事を言っていた。
「私もちょっと不思議だったの。なんで私、昨日は何もできないのに家庭科部の方に回されたんだろうって」
美咲が、護に触発されたように疑問を口にする。
そしてそれは、見当違いではない真っ当な疑問だ。
「それは美咲なら、家庭科部に知り合いもいたしやりやすいかなって……」
「確かに千歳や杏奈とは友達だけど、結局私、ほとんどやることなかったし。それに知り合いってだけなら柊和だってそうよね。第一、名指ししてきたのは千歳の方なんだし。ならやっぱり料理の出来る柊和と護君が行くべきじゃなかったのかなって」
「それは……」
拙い。
そんな事前に予測できたような指摘でさえ、私は返答に困る。
本当に上手くやるつもりなら、事前にあらゆる回答を用意しておくべきだったのに。
「それに今朝、やらないといけない事があったって言ってたけど、それって事務仕事だよね? 別に私でも出来たでしょ、現に一昨日は問題なくやってたし? 昨日は先生もいたから別に会長と副会長が欠けても特に問題なかったはずなのに、あの時は護君と一緒だって舞い上がってたから気にしなかったけど、言われてみればやっぱり変じゃない?」
「…………」
言葉に詰まる、しかし、まさか美咲にここまで根拠を用意されるとは。
美咲の言う通り、変なのは当然だ。
昨日は美咲と護を一緒にすることを最優先にして組み分けしたから。
その動機を隠して組み分けする以上、多少無理のある説明しか答えられない。
けど、よくよく考えれば違和感はあっても、始めにそれっぽいだけの理由でも軽く説明できれば、なんとなく納得して別に深く気にする人も居ないだろうと思っていた。
それがどうやら間違いだったらしい。
美咲は、いや……護は、どうしてかわからないけど、違和感に気づいて納得しなかっただけらしい。
でも、それだけで私に避けられてるなんて思うものなのだろうか。
分からないけど、もしかしたら護が不調だったのはそのせいかもしれない。
いやでも、一日目はそこまでおかしな組み合わせじゃなかったし、気取られることもないはずなのに不調だったのか……。
それに一言聞いてくれれば、『私が護を避けてるなんて』疑問、間を置かずに即否定したのに、なんで聞くどころか不安を隠すような真似……。
「で、どうなの?」
「私は……」
「あ、やっぱちょっと待って」
「え?」
疑念を持たれているのに隠し続けることでもなし、元よりバレたって皆を裏切るような事でもないし話してもいいだろう。
そう思ってここは観念して包み隠さず話そうと思ったら、当の美咲がそれにストップをかけた。
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なるほど、霧華と……渦中の護じゃないか。
いつの間にか、私たちは生徒会室に到着するところだったのだ。
確かにもう話している場合じゃない。
「こんにちは~! 柊和先輩、美咲先輩!」
「こんにちは」
「うん、お疲れ様! 二人とも!」
「お疲れ」
チラリと護の方を見た。
美咲の方を向いてお互い挨拶を交わしながらも、いつも通りの笑顔だ。
やはり違和感は特に見つからない……か?
「じゃ、今日もお仕事頑張ろっか! あと一息だよ!」
「はい! 頑張りましょう!」
護の事が気になってぎこちなくなってしまう私に代わり、美咲が元気に振る舞いながらも指揮を執ると、年下組は先んじて生徒会室の方へ入っていく。
そして二人が行ってから、美咲は耳打ちをしてきた。
「とりあえず、仕事に影響がないなら今日は好きに組みなよ。私は別に構わないし、霧華も柊和の頼みならこれくらい余裕で聞くと思うし」
「……うん、ありがとう」
美咲はそう言って、結局理由も聞かずに快諾してくれた。
事情は、また機を見て話すことにしよう。
頼れる友人のくれたチャンス。
護のことはようやく少しづつ見えてきたような気はするものの、まだ気になる点が気づいたことの何倍も残っている。
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