6 / 29
第2章 欠けていたモノ
2-3 島の秘密
しおりを挟む
しばらく歩き進むと、灯台に着いた。
街を照らしていた。とても綺麗だ。
「ここに呼び出して、どうしたんだ?」
……。
……。
しばらく沈黙が続く。
なにか言おうとしているのだろうか?
冬の顔色は良くなかった。
そのことからも、今から話されることが、良い話だとは思えなかった。
「あのね、真琴、信じられないかもしれないけどよく聞いてね。」
「うん。」
そうして冬は語り出した。
この島の、迷冒島の秘密を。
そもそも迷冒島は日本の1番上にあるとても小さな島だ。
認知している人はいても行きづらいとか。
「この島はね、なんで迷冒島って言われてるか知ってる?」
「……。」
単なる冒険家の気まぐれで着いた名前では無いのか?
冬は続ける。
「冬至ってあるでしょ?昼の長さが一番短い日のこと」
「その日にね、変なことが起きるの」
「変なこと?」
「うん。冬の迷い子って言ってね。迷い子なんだよ。」
「迷い子?どっかではぐれたのか?」
「うーん。まあそんな感じかな。でね、その子たちはね、なにか未練というべきか、やりたいことがあるんだよ。」
「……。」
なにか引っかかる。冬の迷い子?仮に死者が帰ってくるとしてもそれはお盆とかのはずだ。
心を見透かしたように冬は言う。
「なんで冬に帰ってくるか、知ってる?」
知るはずもない。それでも冬は続ける。
「冬の迷い子達はね、春を迎えたことがないんだよ。」
「春を、迎えたことがない?」
どういう意味だろう。
「春になったらどっか行くのか?」
「…。うん。どこか暗い暗い場所にね。」
「なあ、」
「なあに?」
この話、どこかモヤモヤした。
なぜ急にこの話をする。
その答えは分かっていた。
「冬、おまえは…。」
「うん。私がその迷い子だよ。」
桜が見たい。その意味がやっとわかった。
でも疑問も沢山ある。
「見たことないのか?」
「最後まで話すね」
「あ、ああ、ごめん。」
こうして冬は迷い子の話を最後まで俺に伝えてくれた。
まず、冬の迷い子は、春を迎えたい人達が冬至の日にその地に降り立つらしい。
そして迷冒島は迷い子が来ることで1部で有名らしい。
だから冬至が過ぎると、不気味なせいか人が来ないらしい。
他の島の人たちもそれを知っている。
そして…。
春になる前に、迷い子は消えてしまう。
そう、年越しだ。
年を越すときに。彼らは帰る。
どこか遠い場所に、眠るらしい。次の冬が来るまで…。
「私ね、桜を見た事あるんだと思う。でもね、思い出せないの。幼い頃に、死んじゃったからさ。」
…。
急にこんなことを話されて、信じられるだろうか。
普通の人なら笑い話にする人だっているかもしれない。
「だからね、嬉しかったんだよ!あなたが来てくれて、嫌な顔もせずに、付き合ってくれてさ。」
冬は泣いていた。嫌な顔はしていたと思うが…。
気まぐれで付き合ったことが、まさかこうなるとはな。
彼女は泣きながら言う。
「もうすぐ、行っちゃうからさ。だからお願い、島のみんなのお願い。叶えたあげて?」
「お前の願いはどうするんだよ」
「あれは気まぐれ。叶うはずがないもん。時間の無駄だよ。」
……。
一見、陽気に見えた少女が、今はとても、儚く感じた。
よく童話とかでこういう話を耳にする。
お盆や夏休みとかを題材にして死者が帰ってくるというやつだ。
死者が帰ってくる。いわば未練があるってことだ。
その未練は、色々あるが、恋人への未練、その土地への未練。俺が知っていた話のほとんどが、夏に叶えられる未練だった。
冬の迷い子。
彼らの願いは、果たして叶うのだろうか。
叶わない願い、なら冬は、一生冬だけを過ごすのか?
叶わないと知っていながら。
その願いが無駄だと知りながら。
それでも必死に叶えようとして、
でも無理で、
そんなループを永遠に繰り返す。
しばらく考えた。冬は散々泣いたが今は落ち着いている。
…。
……。
「なあ、だったらよ。俺が叶えてやるよ。お前の願い。」
在り来りだったろうか。でも言わなきゃ行けない気がした。
「…っ!」
冬はまた泣いた。
「ダメだよ…。そんなの。時間の…」
「無駄じゃねえ!」
言い返す。
「時間の無駄じゃない。それを俺が証明してやる。お前が今まで繰り返してきた冬が、無駄じゃないってことをな。」
冬は大号泣した。涙と鼻水が服にくっついてきた。
「ありがとぅ、うええぇぇん」
無責任だったろうか、
叶えると言ってもどうやってだ。
冬に春は来ない。それが現実だ。
それでもやるしかない。
使命な気がした。
俺も言うべきだろうか。
感情を捨てた日のことを。
冬がここまで話をしてくれたから。
「なあ冬、良かったら聞いてくれないか?」
「うん、なんでも言って?」
「感情をなくした、1人の男の子のお話。」
そうして少年は語った。
ある夏の、出来事を。
街を照らしていた。とても綺麗だ。
「ここに呼び出して、どうしたんだ?」
……。
……。
しばらく沈黙が続く。
なにか言おうとしているのだろうか?
冬の顔色は良くなかった。
そのことからも、今から話されることが、良い話だとは思えなかった。
「あのね、真琴、信じられないかもしれないけどよく聞いてね。」
「うん。」
そうして冬は語り出した。
この島の、迷冒島の秘密を。
そもそも迷冒島は日本の1番上にあるとても小さな島だ。
認知している人はいても行きづらいとか。
「この島はね、なんで迷冒島って言われてるか知ってる?」
「……。」
単なる冒険家の気まぐれで着いた名前では無いのか?
冬は続ける。
「冬至ってあるでしょ?昼の長さが一番短い日のこと」
「その日にね、変なことが起きるの」
「変なこと?」
「うん。冬の迷い子って言ってね。迷い子なんだよ。」
「迷い子?どっかではぐれたのか?」
「うーん。まあそんな感じかな。でね、その子たちはね、なにか未練というべきか、やりたいことがあるんだよ。」
「……。」
なにか引っかかる。冬の迷い子?仮に死者が帰ってくるとしてもそれはお盆とかのはずだ。
心を見透かしたように冬は言う。
「なんで冬に帰ってくるか、知ってる?」
知るはずもない。それでも冬は続ける。
「冬の迷い子達はね、春を迎えたことがないんだよ。」
「春を、迎えたことがない?」
どういう意味だろう。
「春になったらどっか行くのか?」
「…。うん。どこか暗い暗い場所にね。」
「なあ、」
「なあに?」
この話、どこかモヤモヤした。
なぜ急にこの話をする。
その答えは分かっていた。
「冬、おまえは…。」
「うん。私がその迷い子だよ。」
桜が見たい。その意味がやっとわかった。
でも疑問も沢山ある。
「見たことないのか?」
「最後まで話すね」
「あ、ああ、ごめん。」
こうして冬は迷い子の話を最後まで俺に伝えてくれた。
まず、冬の迷い子は、春を迎えたい人達が冬至の日にその地に降り立つらしい。
そして迷冒島は迷い子が来ることで1部で有名らしい。
だから冬至が過ぎると、不気味なせいか人が来ないらしい。
他の島の人たちもそれを知っている。
そして…。
春になる前に、迷い子は消えてしまう。
そう、年越しだ。
年を越すときに。彼らは帰る。
どこか遠い場所に、眠るらしい。次の冬が来るまで…。
「私ね、桜を見た事あるんだと思う。でもね、思い出せないの。幼い頃に、死んじゃったからさ。」
…。
急にこんなことを話されて、信じられるだろうか。
普通の人なら笑い話にする人だっているかもしれない。
「だからね、嬉しかったんだよ!あなたが来てくれて、嫌な顔もせずに、付き合ってくれてさ。」
冬は泣いていた。嫌な顔はしていたと思うが…。
気まぐれで付き合ったことが、まさかこうなるとはな。
彼女は泣きながら言う。
「もうすぐ、行っちゃうからさ。だからお願い、島のみんなのお願い。叶えたあげて?」
「お前の願いはどうするんだよ」
「あれは気まぐれ。叶うはずがないもん。時間の無駄だよ。」
……。
一見、陽気に見えた少女が、今はとても、儚く感じた。
よく童話とかでこういう話を耳にする。
お盆や夏休みとかを題材にして死者が帰ってくるというやつだ。
死者が帰ってくる。いわば未練があるってことだ。
その未練は、色々あるが、恋人への未練、その土地への未練。俺が知っていた話のほとんどが、夏に叶えられる未練だった。
冬の迷い子。
彼らの願いは、果たして叶うのだろうか。
叶わない願い、なら冬は、一生冬だけを過ごすのか?
叶わないと知っていながら。
その願いが無駄だと知りながら。
それでも必死に叶えようとして、
でも無理で、
そんなループを永遠に繰り返す。
しばらく考えた。冬は散々泣いたが今は落ち着いている。
…。
……。
「なあ、だったらよ。俺が叶えてやるよ。お前の願い。」
在り来りだったろうか。でも言わなきゃ行けない気がした。
「…っ!」
冬はまた泣いた。
「ダメだよ…。そんなの。時間の…」
「無駄じゃねえ!」
言い返す。
「時間の無駄じゃない。それを俺が証明してやる。お前が今まで繰り返してきた冬が、無駄じゃないってことをな。」
冬は大号泣した。涙と鼻水が服にくっついてきた。
「ありがとぅ、うええぇぇん」
無責任だったろうか、
叶えると言ってもどうやってだ。
冬に春は来ない。それが現実だ。
それでもやるしかない。
使命な気がした。
俺も言うべきだろうか。
感情を捨てた日のことを。
冬がここまで話をしてくれたから。
「なあ冬、良かったら聞いてくれないか?」
「うん、なんでも言って?」
「感情をなくした、1人の男の子のお話。」
そうして少年は語った。
ある夏の、出来事を。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる