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ドリスの目的
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プリシラは腕の中に抱きしめているドリスに、恐る恐る声をかけた。
「ドリスさま。先ほどはありがとうございました。マージさんたちに話しを合わせてくれて」
「・・・。あの者たちはお前の家族か?」
プリシラはドリスの返答が意外だったので、目を白黒させながら答えた。
「いいえ。ですが、家も仕事もなかった私たちに温かい居場所と働きがいのある仕事をあたえてくれた、恩人なんです」
「・・・。そうか」
それきりドリスは口をつぐんでしまった。プリシラはドリスに断ってら、タップの飛ぶ速度を速めた。
ドリスの目的地は、ウィード国のはるか西にある国境付近だ。この場所は近くに国があるのではなく、未開拓の森が続いている。いづれ開拓し、ウィード国の領土になるのではないだろうか。
風の霊獣タップの飛行魔法はものすごかった。プリシラとドリスは呼吸もままならないくらいの風圧がかかったが、夜明け前に西の国境付近に到着した。
タップは減速し、ゆっくりと国境付近を飛んだ。眼下は物々しい雰囲気だった。
ウィード国軍の兵士たちが野営をしていたのだ。まるでこれから大きな戦さがあるようだ。プリシラが不安な気持ちでキョロキョロ辺りを見回していると、ドリスが声をあげた。
「プリシラ、地上に降りろ」
プリシラはタップに合図して地上に降り、タップの背中から飛び降りると、ドリスをうやうやしく地面に降ろした。
ドリスは野営用の一番大きなテントにスタスタと歩いて行った。もちろん警備の兵士に止められる。警備の兵士は、突然あらわれた怪しいフードの人物を、大声で追い払おうとしていた。
だがドリスが左手の中指の指輪を見せると、兵士の態度が一変した。兵士はすぐさま敬礼をすると、テントの中に入り、しばらくして一目で位が高いとわかる、鎧を身につけた男性が出て来た。
男性はドリスに深々と頭を下げてから、二、三言葉を交わした。ドリスは、タップを抱っこしながらオロオロしているプリシラに振り向いて言った。
「プリシラ、タップ。ついて来なさい」
プリシラは仕方なく目的地の定まったドリスの後ろをついて行った。しばらく歩くと、所々に焚き火が焚かれ、多くの兵士が待機している場所に出た。
ドリスは辺りを見回すと、大声で言った。
「ネリオ!ネリオ!ここに来なさい!」
ドリスが誰かを呼ぶと、一人の青年がやって来た。その青年の鎧は、他の兵士よりも立派だった。もしかすると騎士なのかもしれない。
騎士の青年は、フードをかぶったドリスの姿を見て、すぐさま膝をついて低頭した。
「ドリスさま。このような所にお一人で、危のうございます」
「よいのです。ネリオ、話しがあります。ついて来なさい」
ネリオと呼ばれは騎士は、ハッと鋭く返事をして立ち上がった。
「ドリスさま。先ほどはありがとうございました。マージさんたちに話しを合わせてくれて」
「・・・。あの者たちはお前の家族か?」
プリシラはドリスの返答が意外だったので、目を白黒させながら答えた。
「いいえ。ですが、家も仕事もなかった私たちに温かい居場所と働きがいのある仕事をあたえてくれた、恩人なんです」
「・・・。そうか」
それきりドリスは口をつぐんでしまった。プリシラはドリスに断ってら、タップの飛ぶ速度を速めた。
ドリスの目的地は、ウィード国のはるか西にある国境付近だ。この場所は近くに国があるのではなく、未開拓の森が続いている。いづれ開拓し、ウィード国の領土になるのではないだろうか。
風の霊獣タップの飛行魔法はものすごかった。プリシラとドリスは呼吸もままならないくらいの風圧がかかったが、夜明け前に西の国境付近に到着した。
タップは減速し、ゆっくりと国境付近を飛んだ。眼下は物々しい雰囲気だった。
ウィード国軍の兵士たちが野営をしていたのだ。まるでこれから大きな戦さがあるようだ。プリシラが不安な気持ちでキョロキョロ辺りを見回していると、ドリスが声をあげた。
「プリシラ、地上に降りろ」
プリシラはタップに合図して地上に降り、タップの背中から飛び降りると、ドリスをうやうやしく地面に降ろした。
ドリスは野営用の一番大きなテントにスタスタと歩いて行った。もちろん警備の兵士に止められる。警備の兵士は、突然あらわれた怪しいフードの人物を、大声で追い払おうとしていた。
だがドリスが左手の中指の指輪を見せると、兵士の態度が一変した。兵士はすぐさま敬礼をすると、テントの中に入り、しばらくして一目で位が高いとわかる、鎧を身につけた男性が出て来た。
男性はドリスに深々と頭を下げてから、二、三言葉を交わした。ドリスは、タップを抱っこしながらオロオロしているプリシラに振り向いて言った。
「プリシラ、タップ。ついて来なさい」
プリシラは仕方なく目的地の定まったドリスの後ろをついて行った。しばらく歩くと、所々に焚き火が焚かれ、多くの兵士が待機している場所に出た。
ドリスは辺りを見回すと、大声で言った。
「ネリオ!ネリオ!ここに来なさい!」
ドリスが誰かを呼ぶと、一人の青年がやって来た。その青年の鎧は、他の兵士よりも立派だった。もしかすると騎士なのかもしれない。
騎士の青年は、フードをかぶったドリスの姿を見て、すぐさま膝をついて低頭した。
「ドリスさま。このような所にお一人で、危のうございます」
「よいのです。ネリオ、話しがあります。ついて来なさい」
ネリオと呼ばれは騎士は、ハッと鋭く返事をして立ち上がった。
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