究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

模擬戦

　エリオが大きく手をあげたと同時に、模擬戦はスタートした。

　最初にデイジーが動いた。デイジーは素早い動きでパティとの間合いをつめ、剣を振りかぶった。パティは杖を持ちかえて回転させ、剣を払った。

　デイジーは体勢をくずす事なくパティに剣を打ち込んでくる。パティはデイジーの一つ一つ重たい打ち込みを、必死でさばいた。

　横目でエリオの動向を見ると、エリオはマックスとチャーミーの攻撃魔法を華麗によけていた。

　パティの脳裏にマックスの声がひびく。一歩下がって。

　パティはマックスの指示にしたがい一歩後ろに飛んだ。突然デイジーに火の玉がぶつかってきた。マックスの火攻撃魔法だ。

　デイジーは右手に剣を持ったまま、左手だけで側転をしてそれをよけた。

　パティの脳裏に今度はチャーミーの声が届く。後ろ。

　パティが慌てて振り向くと、そこには槍を振り上げたエリオがいた。パティは素早く気持ちを切り替えてエリオの槍を払う。

　パティがエリオと対戦していると、上空を探索していたピンキーから声が入った。

　弓に狙われている。パティはハッとして、ポケットの中のアクアに指示を出した。

「アクア！四時の方向に水防御魔法！」
「プクプク！」

　パティの背後をかばうように、透明な水の防御壁が出現する。その直後、水の壁に矢が当たってはねた。

　パティは弓矢の防御に成功した事に安どするひまもなくエリオの槍をさばき続けた。

　デイジーと戦っているマックスとチャーミーが、何度もパティに視線をおくる。

　パティは戦っている最中の、マックスたちとの連携が、想像以上に困難である事を実感した。

　マックスたちの魔法は遠距離からでも攻撃できる。だが杖で戦うパティは接近戦だ。

　いくらマックスたちがパティを助けようとしても、対戦しているエリオに攻撃魔法を放てば、パティも巻きぞえをくってしまう。

　パティは荒い呼吸をしながら考えた。この模擬戦はエリオたちが、パティが杖を使いながら、マックスたちと連携して敵を倒すためにやってくれているものだ。

　したがって、この模擬戦を終了させるためには、パティが主体になってこの場を制圧しなければいけないのだ。

　対戦しているエリオは、まったく呼吸が乱れていない。対するパティは、息も切れ切れで後数分も動けないだろう。

　パティは必死に打開策を考えた。目の前にいるエリオを制圧するには、相手のふいをつかなければいけないのだ。

　パティは、チャーミーと共にデイジーと戦っているマックスにメッセージをおくった。

　マックス、エリオさんを攻撃して。

　マックスは小さく吠えると、デイジーからきびすをかえして、エリオに向かって攻撃火魔法を放った。