究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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模擬戦2

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 エリオはマックスの攻撃にすぐさま気づき、華麗なバック転で攻撃魔法をよけた。

 パティとエリオの間に距離ができる。パティはすかさずマックスとチャーミーに指示を出した。

 マックス、デイジーを攻撃。チャーミー、植物魔法でエリオを攻撃して。

 マックスとチャーミーは小さく了解と鳴いた。

 それまで目の前の敵と戦っていたエリオとデイジーは、少なからず驚いただろう。デイジーは真横から出現した火攻撃魔法を、側転でよけた。

 マックスの火攻撃魔法を紙一重で避けていたエリオは、突然真横から植物のツルに襲いかかられ、その場から側転で逃れた。

 パティはこの時を待っていた。エリオが体勢を立て直す前。パティはもうぜんと走ってエリオの槍の間合いに入り込んだ。エリオが反射的に槍を振るう。

 パティは渾身の力でエリオの槍を弾くと、エリオの顔面に杖の先を向けた。

 エリオは驚いた顔をしてから、ニヤリと笑って右手をあげた。

「俺たちの負けだ。模擬戦終了だ」

 パティはハッとしてから、深々と頭をさげた。

「エリオさん!ご指導ありがとうございました!」

 パティがデイジーに振り向くと、彼女は優しい笑顔でパティを見た。

「パティもマックスたちもすごいね。あたし、驚いちゃった」
「デイジー。ありがとうございました」

 パティが頭を下げると、デイジーは笑って抱きしめてくれた。林のかげからコジモが転がり出てきた。

「パティ!大丈夫?!ケガしてない?」
「はい、大丈夫です。コジモさん、ありがとうございました」
「えっ、僕は何もしてないよ。それにしてもパティとピンキーとアクアの三人で、僕の弓を完全に制御しちゃうんだもの。すごいや」

 コジモと笑いあっているパティに、エリオが近づいて言った。

「パティ。トグサにも礼を言うんだぞ?トグサは、パティとマックスたちがどうすれば敵と戦えるか常に考えてくれていたんだ。俺たちはトグサの考えに従っただけだ」
「はい!」

 パティは離れて見物しているトグサの前まで走った。上空を探索していたピンキーはパティの肩にとまり、マックスとチャーミーはパティの後からついてくる。

「トグサさん。ありがとうございました」
「パティ、皆。すごい模擬戦だった。これで敵と戦う不安は少し解消されたかな?」

 パティはグッと胸が苦しくなった。パティはトグサに、冒険者の不安をいつももらしていた。

 トグサはパティとマックスたちの事を真剣に心配し考えてくれていたのだ。

「はい。今日の模擬戦は、とても勉強になりました。戦いを、怖がりすぎてもいけないけれど、慢心してもいけないと思いました」

 トグサは柔らか笑顔でうなずいてから答えた。

「そこに気づけているなら、パティたちのこれからは明るい。ゆっくり成長していけばいいんだよ」
「・・・。はい、」

 トグサの大きな思いやりに、パティの目の奥が熱くなった。

「パティ、これやるよ」

 いつの間にかパティのとなりに来ていたエリオが、四十センチほどの鉄の筒を手渡した。

 パティが持ってみると、見た目ほど重くはなかった。きっと中が空洞になっているのだろう。

「エリオさん、これは何ですか?」
「俺がガキの頃、棒術の訓練に使ってたんだ。俺の持っている槍と同じ仕込みだ」

 言われるままにパティが鉄の筒を引きのばすと、両サイドが伸びてちょうどパティの持つ杖と同じくらいの長さになった。

「パティの使っている杖は練習のしすぎできずも目立つ。使い続けていると、戦闘中に割れてしまうかもしれねぇ。実戦の時はそれ使え」
「!。はい、ありがとうございます」

 パティは新たな自分の杖をギュッと握りしめた。

 

 
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