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負傷
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レオンは一瞬驚いてうろたえたが、アルスに言われた通り、ツタ魔法を発動できる状態にしておいたので、すぐさまツタ魔法で敵をぐるぐる巻きにした。
レオンの前には、後から後から盗賊がやって来た。もしかするも、イエーリ団は、想定している三十人よりも人数が多いのかもしれない。
レオンはひたすら盗賊たちをツタでぐるぐる巻きにしていった。レオンの足元いも虫のように転げ回っている。
レオンは足元にツタ魔法のバリケードを張り続けながら、辺りを見回した。冒険者たちは盗賊団と交戦しながらも、敵を確実に倒している。彼らの足元には深傷を負った盗賊たちが倒れている。
多く盗賊たちを倒しているのは、ドーグとゴメスだった。レオンはアルスが心配で、アルスの方を向くと、アルスよりもドンの方が心配だった。
ドンは常にあたふたとしていて、発生させた攻撃魔法を敵に当て損ねて、アルスが代わりに攻撃魔法で敵を倒していた。
そんな状態だったからだろう。ドンは敵に狙われた。二人の盗賊が同時にドンに斬りかかったのだ。レオンは大声でドンの名を呼んだ。
ドンの危機にいち早く気づいたゴメスが、二人の盗賊に斬りかかる。一人目は難なく倒し、二人目にも深傷を負わせた。レオンはこれでドンもゴメスも安全だと思った瞬間、二人目の盗賊が倒れる間際に、ゴメスの太ももを剣で斬り裂いた。
ゴメスが膝をつく。ドンが慌ててゴメスの太ももをひもで強くしばった。レオンはゴメスの側に走った。
「ゴメスさん!大丈夫ですか?!」
ゴメスは苦笑しながら答えた。
「ああ、俺は大丈夫だ。レオンとアルスはドーグさんと一緒にここを離れろ。すぐに盗賊の本体がここにやってくる」
ゴメスは自分を置いていけというのだ。レオンがゴメスの足を見ると、止血をしたにも関わらず、血がドクドクと流れていた。
ドーグがゴメスの元にやって来て、傷口を一目見て言った。
「ゴメス、すまないがお前はここに置いていく」
「はい」
ドーグの冷徹な命令にレオンは背筋が凍った。ドンは真っ青な顔でドーグに言った。
「ドーグさん。俺はここにいます」
ドンの言葉に、ドーグは無言でうなずいてから、固まっているレオンとアルスに向き直って言った。
「さぁ、レオン、アルス一緒に来なさい。すぐにここを離れるんだ」
「嫌です!僕はゴメスさんの側を離れません!」
ゴメスをここに置いていく。それはゴメスの死を意味する事にほかならない。ぶっきらぼうだが優しいゴメスが死んでしまう。レオンはまとまらない思考で、涙が出そうになった。
レオンはアルスの手をぎゅっと握りながら黙った。ドーグはため息をついてからドンに言った。
「ドン。レオンとアルスの事を最優先にしろ」
「はい、ドーグさん。ご武運を」
ドーグは他の冒険者たちを引き連れて森の中に入っていった。
レオンの前には、後から後から盗賊がやって来た。もしかするも、イエーリ団は、想定している三十人よりも人数が多いのかもしれない。
レオンはひたすら盗賊たちをツタでぐるぐる巻きにしていった。レオンの足元いも虫のように転げ回っている。
レオンは足元にツタ魔法のバリケードを張り続けながら、辺りを見回した。冒険者たちは盗賊団と交戦しながらも、敵を確実に倒している。彼らの足元には深傷を負った盗賊たちが倒れている。
多く盗賊たちを倒しているのは、ドーグとゴメスだった。レオンはアルスが心配で、アルスの方を向くと、アルスよりもドンの方が心配だった。
ドンは常にあたふたとしていて、発生させた攻撃魔法を敵に当て損ねて、アルスが代わりに攻撃魔法で敵を倒していた。
そんな状態だったからだろう。ドンは敵に狙われた。二人の盗賊が同時にドンに斬りかかったのだ。レオンは大声でドンの名を呼んだ。
ドンの危機にいち早く気づいたゴメスが、二人の盗賊に斬りかかる。一人目は難なく倒し、二人目にも深傷を負わせた。レオンはこれでドンもゴメスも安全だと思った瞬間、二人目の盗賊が倒れる間際に、ゴメスの太ももを剣で斬り裂いた。
ゴメスが膝をつく。ドンが慌ててゴメスの太ももをひもで強くしばった。レオンはゴメスの側に走った。
「ゴメスさん!大丈夫ですか?!」
ゴメスは苦笑しながら答えた。
「ああ、俺は大丈夫だ。レオンとアルスはドーグさんと一緒にここを離れろ。すぐに盗賊の本体がここにやってくる」
ゴメスは自分を置いていけというのだ。レオンがゴメスの足を見ると、止血をしたにも関わらず、血がドクドクと流れていた。
ドーグがゴメスの元にやって来て、傷口を一目見て言った。
「ゴメス、すまないがお前はここに置いていく」
「はい」
ドーグの冷徹な命令にレオンは背筋が凍った。ドンは真っ青な顔でドーグに言った。
「ドーグさん。俺はここにいます」
ドンの言葉に、ドーグは無言でうなずいてから、固まっているレオンとアルスに向き直って言った。
「さぁ、レオン、アルス一緒に来なさい。すぐにここを離れるんだ」
「嫌です!僕はゴメスさんの側を離れません!」
ゴメスをここに置いていく。それはゴメスの死を意味する事にほかならない。ぶっきらぼうだが優しいゴメスが死んでしまう。レオンはまとまらない思考で、涙が出そうになった。
レオンはアルスの手をぎゅっと握りながら黙った。ドーグはため息をついてからドンに言った。
「ドン。レオンとアルスの事を最優先にしろ」
「はい、ドーグさん。ご武運を」
ドーグは他の冒険者たちを引き連れて森の中に入っていった。
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