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ダンジョン学校編
武器選び
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初日最後の二時間の授業は、武器を選ぶことだ。
西館最上階は厳重にロックされていて、小野川がロックを開くことでその場所は開いた。
剣、槍、弓、盾、棍棒、投げナイフに短剣、刀に薙刀などの武器が大小を変えて並んでいた。ずらりと並んだ武器は、現代ではまず見ることはできない。この場所だけ完全にRPGの武器屋だ。
「スッゲー」
神田のはしゃいだ声。
「ダンジョンに行くには、当然武器が必要だ。使えないものを使っても自分が怪我をするだけだから、ここで練習してからダンジョンに入ってもらう」
「ダンジョンでは、スキルっていうの貰えるって聞きましたー!それじゃだめなんですかー?」
「基礎を知らなきゃ上手く扱えるわけないだろう。ゲームじゃあるまいし」
神田の舐めきった言葉に小野川がど正論で殴り返す。
確かに、はい武器を持ちました、スキルを取りました、活躍できました、というイメージは全くできない。何事も練習だよなぁ、と元運動部レギュラーだった作菜は納得した。
「と、言ってもスキルを取ることで、なんとなく体は動くようになる。しかし、自分であらかじめ正しい動き方を覚えておくことで、ダンジョン内で武器を使ったときに動きやすくなるというメリットがあるな」
スキルをとればどのように動けばいいのかがわかるようになるが、基本的には我流の動きになってしまう。我流でも強ければ問題はないが、基礎を知らない素人がスキル任せに動いてしまうと、変なところに力が入り怪我をする確率が高くなる。ランニングを始めた初心者が、間違ったフォームで怪我をするのと同じ状態だ。
小野川の話を聞き終わると、全ての武器を触ってみることになった。扱いやすそうな重さのものを一種類ずつ持って、基礎的な動きを教えてもらう。剣はそれなりに使えたが重さが気になった弓は的に当てることが難しい。槍は長槍と短槍、薙刀を触る。短剣に剣と盾をもったときの動き、刀などの武器を一通り触って動きを習った。
休憩後の次の時間は、それぞれが自分の気になる武器に向かう。
宣言通り小川は刀の方を見にいき、山崎は槍を見る。東山は短剣が気になるようで、神田は剣をいそいそと見に行った。佐藤は悩んだようだったが、軽く扱いやすい弓の側に行った。
作菜はどれも扱える気がしないが、槍と棒で悩む。長いのから短いのまで様々なものがあるが、それぞれを持って見て初心者なら、棒にしておけという小野川のアドバイスの元、棒のしっくり来た長さ太さの一本を選んだ。
実用性を考えているのか、それなりに重い。しかし、なんとか扱えそうだった。
小野川もそれなら大丈夫だろうと太鼓判を押す。
それぞれの武器が決まると、武器庫の隣の空いたスペースに移動するように指示されるが、弓を見ていた佐藤は結局弓を扱えなかったのか、作菜と同じ棒になり若干不満そうな顔をしている。
そこには、二人の男性と一人の女性が待っていて、それぞれ分けられる。作菜と佐藤は20代後半ほどのポニーテールの女性の方に分けられ棒術の基礎を習った。基礎を習って反復練習していると、宮古と名乗った女性講師はものすごく褒めてくれた。
「野上さん綺麗にできてる!」
「佐藤さんいい感じ!」
褒めて伸ばす方針なのだろう。
適度に休憩を入れつつ、一時間はたっぷりと反復練習をおこなった。次の時間も武器を扱う時間となり、休憩を挟んだ後は実際に打ち合ってみることになった。
突きを受け止める練習や、実際に先生の宮古に突きや打ち込んでみたり、払ってみるなどを行う。思ったよりも体全体を使うようなイメージで、やはり特に腕が疲れてくる。二の腕痩せを期待したい。
休憩を挟みつつも二時間みっちりと運動をすれば、息が切れた。隣にいる佐藤は、もう声も出ないというほど疲れ切っている。
「佐藤さん、大丈夫?」
「ムリィ」
ヒーヒー言っている二人に、涼しい顔をした宮古がお疲れ様でしたー、と声をかける。
「思ったよりも動けてましたよー。今日はここまでですので、温泉にでも浸かってしっかり疲労回復してください!」
童顔でニコニコとした笑顔には愛嬌がある。たっぷり褒めてくれるのだが、彼女の授業は決して優しいわけではなかった。いいですよー、もっと強く、もっと早く!いい感じです!という言葉が続くのだ。
単純だが、人間は褒められるとどうしても調子に乗ってしまう。気がつくと腕がプルプルしていた。佐藤は全身プルプルしている。細く白い二の腕を見ていると、この子は必要最低限以外運動しないのだろうな、と思った。
疲れたことを隠しもせず二人は足取り重く武器庫に武器を返しに行く。
部屋の外に出れば、小川が待っていて疲労困憊といった風情の二人を見て苦笑いした。
西館最上階は厳重にロックされていて、小野川がロックを開くことでその場所は開いた。
剣、槍、弓、盾、棍棒、投げナイフに短剣、刀に薙刀などの武器が大小を変えて並んでいた。ずらりと並んだ武器は、現代ではまず見ることはできない。この場所だけ完全にRPGの武器屋だ。
「スッゲー」
神田のはしゃいだ声。
「ダンジョンに行くには、当然武器が必要だ。使えないものを使っても自分が怪我をするだけだから、ここで練習してからダンジョンに入ってもらう」
「ダンジョンでは、スキルっていうの貰えるって聞きましたー!それじゃだめなんですかー?」
「基礎を知らなきゃ上手く扱えるわけないだろう。ゲームじゃあるまいし」
神田の舐めきった言葉に小野川がど正論で殴り返す。
確かに、はい武器を持ちました、スキルを取りました、活躍できました、というイメージは全くできない。何事も練習だよなぁ、と元運動部レギュラーだった作菜は納得した。
「と、言ってもスキルを取ることで、なんとなく体は動くようになる。しかし、自分であらかじめ正しい動き方を覚えておくことで、ダンジョン内で武器を使ったときに動きやすくなるというメリットがあるな」
スキルをとればどのように動けばいいのかがわかるようになるが、基本的には我流の動きになってしまう。我流でも強ければ問題はないが、基礎を知らない素人がスキル任せに動いてしまうと、変なところに力が入り怪我をする確率が高くなる。ランニングを始めた初心者が、間違ったフォームで怪我をするのと同じ状態だ。
小野川の話を聞き終わると、全ての武器を触ってみることになった。扱いやすそうな重さのものを一種類ずつ持って、基礎的な動きを教えてもらう。剣はそれなりに使えたが重さが気になった弓は的に当てることが難しい。槍は長槍と短槍、薙刀を触る。短剣に剣と盾をもったときの動き、刀などの武器を一通り触って動きを習った。
休憩後の次の時間は、それぞれが自分の気になる武器に向かう。
宣言通り小川は刀の方を見にいき、山崎は槍を見る。東山は短剣が気になるようで、神田は剣をいそいそと見に行った。佐藤は悩んだようだったが、軽く扱いやすい弓の側に行った。
作菜はどれも扱える気がしないが、槍と棒で悩む。長いのから短いのまで様々なものがあるが、それぞれを持って見て初心者なら、棒にしておけという小野川のアドバイスの元、棒のしっくり来た長さ太さの一本を選んだ。
実用性を考えているのか、それなりに重い。しかし、なんとか扱えそうだった。
小野川もそれなら大丈夫だろうと太鼓判を押す。
それぞれの武器が決まると、武器庫の隣の空いたスペースに移動するように指示されるが、弓を見ていた佐藤は結局弓を扱えなかったのか、作菜と同じ棒になり若干不満そうな顔をしている。
そこには、二人の男性と一人の女性が待っていて、それぞれ分けられる。作菜と佐藤は20代後半ほどのポニーテールの女性の方に分けられ棒術の基礎を習った。基礎を習って反復練習していると、宮古と名乗った女性講師はものすごく褒めてくれた。
「野上さん綺麗にできてる!」
「佐藤さんいい感じ!」
褒めて伸ばす方針なのだろう。
適度に休憩を入れつつ、一時間はたっぷりと反復練習をおこなった。次の時間も武器を扱う時間となり、休憩を挟んだ後は実際に打ち合ってみることになった。
突きを受け止める練習や、実際に先生の宮古に突きや打ち込んでみたり、払ってみるなどを行う。思ったよりも体全体を使うようなイメージで、やはり特に腕が疲れてくる。二の腕痩せを期待したい。
休憩を挟みつつも二時間みっちりと運動をすれば、息が切れた。隣にいる佐藤は、もう声も出ないというほど疲れ切っている。
「佐藤さん、大丈夫?」
「ムリィ」
ヒーヒー言っている二人に、涼しい顔をした宮古がお疲れ様でしたー、と声をかける。
「思ったよりも動けてましたよー。今日はここまでですので、温泉にでも浸かってしっかり疲労回復してください!」
童顔でニコニコとした笑顔には愛嬌がある。たっぷり褒めてくれるのだが、彼女の授業は決して優しいわけではなかった。いいですよー、もっと強く、もっと早く!いい感じです!という言葉が続くのだ。
単純だが、人間は褒められるとどうしても調子に乗ってしまう。気がつくと腕がプルプルしていた。佐藤は全身プルプルしている。細く白い二の腕を見ていると、この子は必要最低限以外運動しないのだろうな、と思った。
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