私、ハンクラー!今、ダンジョン にいるの

木野葛

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ダンジョン学校編

三日目:魔法適性授業

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 回復はしたが、朝ウォーキングするのはやめておいた。比較的早い時間に行くと昨日と同じように山崎と行き合ったため、ともに朝食をとりながら今日の座学のことを話し合う。

「いよいよ魔法の授業ですね」
「テンション高めですね、野上さん」
「やっぱり、魔法はテンション上がるじゃないですか」
「ですね。年甲斐もなくワクワクしちゃいますね」

 一見お堅い職業のような見た目の山崎も、期待を隠しきれないように少年のような顔をしている。
 どんな魔法を取りたいですか、やっぱり定番の火魔法とか憧れますね、と子どものような顔で言い合いながら食事を済ませた。食べ終わる頃に東山が現れて掠れた声で「おはようございます」と挨拶した。
 それに挨拶を返しながら、お先に失礼します、と作菜は食器を片付ける。部屋に戻ると、授業が始まるまではゆっくりとした。
 
 魔法は火・水・風・土・雷・光・闇に分けられる。そのほか、防御力や攻撃力などを上げる支援魔法、毒などの異常状態を引き起こす特殊魔法、怪我などを直すことのできる回復魔法などもあり、レベルアップすることで得られるスキルポイントで、魔法は取得できるようになる。

 魔法を使えば使うほどスキルレベルはアップしていき、その分精密かつ威力の高い攻撃が可能になっていく。
 しかし、問題なのはどれを選ぶかではなくセンスがあるかどうか、ということだと講師は言う。
 ゲームではないのだから、呪文を唱えれば自動的に敵に当たることはない。

「例えば、魔法を使ったとして、敵に当てられるかと言うのは人のセンスによる。乱戦になった時に魔法を使ってパーティーを巻き込んだら意味がないからな。敵に当てられなければ意味がない。比較的器用値の高いと魔法のコントロールが良くなり敵に当てやすい。スキルアップしたとしてもセンスがないやつはどこまでもないから気を付けろ」
(じゃあ、自分は向いているのか)

 余裕があったら一つぐらいは魔法を取ってもいいかもしれない。そんなことを思いながら、作菜は教科書にのった魔法一覧を眺めた。
 スキルはレベルが上がるほど威力や精度などが上がっていく、それは魔法も同じで魔法も使えば使うほど魔法というスキルレベルは上がって使いやすくなっていく。
 ダンジョンだけではなく、ダンジョン外でも魔法は使えてスキルレベルは上がる。

「危なくはないのですか?」

 手をあげて聞いた山崎に、講師は軽く首を横にふった。

「ダンジョン外で魔法を使おうとしても、威力が下がる上にMPをかなり食う。そうだな体感としては、ダンジョンの五倍は体力と気力を使う気がする、という人もいるな。人を害そうと思っていても、初期魔法だけでもぶっ倒れるぞ。それなら殴った方が早いし威力がある。火魔法ならライター代わりになるが、近所で放火事件なんかあった場合には真っ先に疑われるから気を付けろ。水魔法を使ってコップ一杯ぐらいの水道代節約のためにぶっ倒れたいか?」

 平和的にダンジョン外で魔法スキルを伸ばすなら、水を使うときに水魔法を使う程度だろうが、疲労度と水の量が見合わない。

 魔法を使うときの注意点、ダンジョンの場所によっては魔法を使った攻撃しか通じない場所もあるということを教えられて授業は終わった。
 みんなが憧れたドキドキワクワクの魔法の授業というよりも、魔法ってライター代わりになるから火の用心に気をつけようねと言われたような気分になる授業だった。

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