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ダンジョン学校編
ダンジョン探査終了
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再開はしたが、それはすぐに中断された。
「も、むりぃ」
そういって、佐藤がへたり込んだためだ。ダンジョン探査の基本は、一番体力にないものに合わせるのが原則。それに沿って、探査は三十分もしないうちに中断となった。
殿だった小川と東山が今度は先頭となり、山崎と作菜が殿になる。ほら、頑張ってと神田に声をかけられながら、佐藤が武器の棒を杖代わりにしながらダンジョン入り口の小ホールに戻る。
幸いといえば良いのか、モンスターが出ることはなく、行きよりもスムーズに戻ってこれた。
神田に支えられながら、佐藤がベンチに寝転がる。
「体力がない」
ぐったりとしている少女を見ながら、ストレートに小野川が告げた。
「通常よりも体力の消耗が早く、カロリーも消耗される。ダンジョンダイエットができる理由だな。慣れてくると危ないのが、ハンガーノックだ」
「はい、センセー。ハンガーノックって何っすかー?」
「長時間の運動による血糖値の低下。簡単にいうと、体のエネルギーがなくなってしまいガス欠状態になることだ」
講師曰く、長時間ダンジョンに入れるようになった頃になりやすいとされる。
ダンジョンで十分に動けるようになる→レベルアップして低層階であれば俺Tsueeeができるようになる→調子に乗って動き回る→テンションが高いことでエネルギー不足を実感しにくく体のため補給を忘れてハンガーノックになるという流れだ。
重度になると点滴などをする必要があり、ダンジョン内で十分に動けなくなると低レベルといえどモンスターの餌食になってしまう。
ダンジョンに入るということは、そういった点にも気をつけなければならない。
「きちんと身体作りする前に、ダンジョンに入るとこうなる」
作菜の場合は、ダイエットは現在停滞期であり体重が減るという結果は出ていなくても、軽度の鬱と体力の回復のため動くことを意識していたのが良かったのだろう疲労感はあるものの動けないということはない。しかし、病み上がりの人間よりも体力のない佐藤に対して、この子大丈夫かしら?という不安が出てくる。
東山が適当なベンチに座りながら、ちらりと佐藤を眺め、わざとらしく首を傾げながら聞く。
「じゃあ、これから佐藤サンは筋トレ?」
「ええ~やだァ~ダンジョン入るゥ~レベルアップすれば体力つくんでしょぉ!」
と即座に抗議の声が上がった。どうしても筋トレは嫌だ、という顔をしている。
「そのレベルアップする体力がないと言っているんだ」
歩くだけでへばっている少女が、レベルアップできるほどモンスターを倒せるとは思えない。確かに一階のモンスターは、弱くはあるが怪我をしないという保証はない。根本的にダンジョンに入って探索し、モンスターを倒すと言う作業ができないほど体力がない状態だ。
冒険者という今注目される職業、倒せばレベルアップするという分かりやすさがあるが、モンスターを倒せなければ意味がないということをわかっている人は意外に少ない。
舐め切って入って怪我を負った人間はたくさんいる。それどころか、行方不明になって戻ってきていない人たちもいた。
遺体の発見もできないと言われていて、ダンジョンを探索する冒険者には遺書や自分が帰ってこなかったときの対処を立てておくことが推奨されると講師は言う。
「やっぱ筋トレじゃん」
東山が無情に告げる。先ほどより小さくなった声で、やァだ~と呟くようにいうと、佐藤はパタリと動かなくなった。体力の限界が来たらしい。
「まぁ、こうなるやつは多くはないが、居なくもない」
ダンジョンを舐め切って入ってくるやつはいるにはいる、と何人も生徒を持ってきた講師らしい言葉が続く。
今回はこれで終わりだが、動き足りないという奴は学校で動くぞーというと、小野川が動き出す。それに釣られて生徒たちもそれぞれロッカーから貴重品を取り出し、ボディバックを講師に返却する。作菜の手に入れたポーションは自分で管理しろ、と渡された。
「さっさん、使っちゃう?スキンケアしちゃう?」
「学校で買取も行ってるぞ」
「記念に取っておきます」
そう言ってロッカーから出したトートバックの中に、初ドロップのポーションを入れる。
視線が、それをじっと追っていた。
ポーションは部屋にある金庫に入れた。
昨日はダンジョンの洗礼と呼ばれる緊張感からくる疲労による体の重さによって、結局戦闘訓練ができる人はいなかった。作菜も洗濯物をコインランドリーに入れて、温泉に行き、夕食を食べて洗濯物を回収した時点で力尽きた。なんとか歯は磨いたものの、スキンケアは適当でスマホやテレビを見ることもなく夜十時前に就寝という小学生並みの健全さだった。
それでも食べて温泉に入って、ぐっすり眠れば体力は回復する。温泉効果か、早めに寝たせいか、お肌の調子がやたらいい。
体重計に乗れば停滞期故に、なかなか減らなかった体重が減った。ダンジョン凄い。
「も、むりぃ」
そういって、佐藤がへたり込んだためだ。ダンジョン探査の基本は、一番体力にないものに合わせるのが原則。それに沿って、探査は三十分もしないうちに中断となった。
殿だった小川と東山が今度は先頭となり、山崎と作菜が殿になる。ほら、頑張ってと神田に声をかけられながら、佐藤が武器の棒を杖代わりにしながらダンジョン入り口の小ホールに戻る。
幸いといえば良いのか、モンスターが出ることはなく、行きよりもスムーズに戻ってこれた。
神田に支えられながら、佐藤がベンチに寝転がる。
「体力がない」
ぐったりとしている少女を見ながら、ストレートに小野川が告げた。
「通常よりも体力の消耗が早く、カロリーも消耗される。ダンジョンダイエットができる理由だな。慣れてくると危ないのが、ハンガーノックだ」
「はい、センセー。ハンガーノックって何っすかー?」
「長時間の運動による血糖値の低下。簡単にいうと、体のエネルギーがなくなってしまいガス欠状態になることだ」
講師曰く、長時間ダンジョンに入れるようになった頃になりやすいとされる。
ダンジョンで十分に動けるようになる→レベルアップして低層階であれば俺Tsueeeができるようになる→調子に乗って動き回る→テンションが高いことでエネルギー不足を実感しにくく体のため補給を忘れてハンガーノックになるという流れだ。
重度になると点滴などをする必要があり、ダンジョン内で十分に動けなくなると低レベルといえどモンスターの餌食になってしまう。
ダンジョンに入るということは、そういった点にも気をつけなければならない。
「きちんと身体作りする前に、ダンジョンに入るとこうなる」
作菜の場合は、ダイエットは現在停滞期であり体重が減るという結果は出ていなくても、軽度の鬱と体力の回復のため動くことを意識していたのが良かったのだろう疲労感はあるものの動けないということはない。しかし、病み上がりの人間よりも体力のない佐藤に対して、この子大丈夫かしら?という不安が出てくる。
東山が適当なベンチに座りながら、ちらりと佐藤を眺め、わざとらしく首を傾げながら聞く。
「じゃあ、これから佐藤サンは筋トレ?」
「ええ~やだァ~ダンジョン入るゥ~レベルアップすれば体力つくんでしょぉ!」
と即座に抗議の声が上がった。どうしても筋トレは嫌だ、という顔をしている。
「そのレベルアップする体力がないと言っているんだ」
歩くだけでへばっている少女が、レベルアップできるほどモンスターを倒せるとは思えない。確かに一階のモンスターは、弱くはあるが怪我をしないという保証はない。根本的にダンジョンに入って探索し、モンスターを倒すと言う作業ができないほど体力がない状態だ。
冒険者という今注目される職業、倒せばレベルアップするという分かりやすさがあるが、モンスターを倒せなければ意味がないということをわかっている人は意外に少ない。
舐め切って入って怪我を負った人間はたくさんいる。それどころか、行方不明になって戻ってきていない人たちもいた。
遺体の発見もできないと言われていて、ダンジョンを探索する冒険者には遺書や自分が帰ってこなかったときの対処を立てておくことが推奨されると講師は言う。
「やっぱ筋トレじゃん」
東山が無情に告げる。先ほどより小さくなった声で、やァだ~と呟くようにいうと、佐藤はパタリと動かなくなった。体力の限界が来たらしい。
「まぁ、こうなるやつは多くはないが、居なくもない」
ダンジョンを舐め切って入ってくるやつはいるにはいる、と何人も生徒を持ってきた講師らしい言葉が続く。
今回はこれで終わりだが、動き足りないという奴は学校で動くぞーというと、小野川が動き出す。それに釣られて生徒たちもそれぞれロッカーから貴重品を取り出し、ボディバックを講師に返却する。作菜の手に入れたポーションは自分で管理しろ、と渡された。
「さっさん、使っちゃう?スキンケアしちゃう?」
「学校で買取も行ってるぞ」
「記念に取っておきます」
そう言ってロッカーから出したトートバックの中に、初ドロップのポーションを入れる。
視線が、それをじっと追っていた。
ポーションは部屋にある金庫に入れた。
昨日はダンジョンの洗礼と呼ばれる緊張感からくる疲労による体の重さによって、結局戦闘訓練ができる人はいなかった。作菜も洗濯物をコインランドリーに入れて、温泉に行き、夕食を食べて洗濯物を回収した時点で力尽きた。なんとか歯は磨いたものの、スキンケアは適当でスマホやテレビを見ることもなく夜十時前に就寝という小学生並みの健全さだった。
それでも食べて温泉に入って、ぐっすり眠れば体力は回復する。温泉効果か、早めに寝たせいか、お肌の調子がやたらいい。
体重計に乗れば停滞期故に、なかなか減らなかった体重が減った。ダンジョン凄い。
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