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見合い-1 ※結婚前のお話です
しおりを挟むこの国の宰相であるイアン・スターチスはその見た目からは想像できないほど勤勉で努力家の誠実な人物だ。また身分による差別などせず、優秀な者であれば平民だけではなく孤児や浮浪者であれ拾い上げ、例え優秀でなくとも誠実で努力家の者には相応の教育を施し支援を惜しまない人物である。
イアンに仕えているスターチス邸の者達は皆、そんなイアンを誇りに思い、そして、イアンに仕えているもの達の約半数は彼に拾われた者達でもあるためイアンの素晴らしさを身に沁みて理解もしていた。
イアンは貴族にありがちな使用人を見下す発言や機嫌が悪いからと言って使用人に当たったり怒鳴り散らすことなどしない。何か失敗をしたとしても余程のことがない限り広い心で許しまたは諭すなどして使用人にも優しく接してくれる。スターチス邸の者達はそんなイアンの優しさや広い心、器のデカさにこれ程までに仕えるに値する素晴らしい人物はいないと心酔しきっており、忠誠心も人一倍強かった。
だが、使用人達にとってイアンは完璧で最も尊敬すべき素晴らしい主人であるが、惜しむらくはその容姿だけだった。それさえなければこんな立派な方が結婚もできずに放置されるはずがないのだ。確かに身体はぶくぶくと肥え太っており、手足も短く顔はガマガエルのようで完全なる悪人面だ。そのために見た目で判断され、有る事無い事風聴され、何度見合いをしようとも怯えたり嫌悪の目で見られる事が多い。
「本当に世の女性は見る目がない」と最近の使用人達の話題は専らそれである。執事長に至ってはイアンが生まれた時からその成長を側でずっと見守って来たため夜毎、枕を涙で濡らしていた。「孫の顔が見たい」と。そんな中、現れたのがアリスである。
「皆さんこんにちわぁ~。今日からよろしくお願いしますねぇ~♪」
スターチス邸のホールでイアンから紹介されたその女性は薄い桃色の髪と目をしており、見た目はとても可憐で庇護欲を抱くような女性であった。
どうやらこの人物は学園の卒業パーティーの場で堂々とイアンへの愛を叫んだ?らしい。そして、イアンの愛を手に入れるためにお見合いと称して今日この場に現れたのである。
突然降って湧いた親愛なる主への結婚話し。しかも相手は主人を好いている。これはついに主も身を固める時が来たのでないかと使用人一同歓喜した……のではなく警戒を強めた。
「いくら聖女と言われて言おうとも!!我らの敬愛すべき主人に近づくのなら相応の覚悟を持つべし!!」
「あのような間延びした喋り方と見え見えの媚を売るような女!我が主に相応しくありません!!」
「きっと何か裏があるに違いない!!」
「「「「「「必ず化けの皮を剥いでやる!!」」」」」
…この見合いは王命。だからこそ、見合い自体は3ヶ月間は絶対に行わなければいけないが、あとは本人達次第。だが当の本人であるイアン自身、あまりこの見合いに乗り気ではないようだ。
それもそのはず、何が愛だ一目惚れだ!そんなもの口では何とでも言える。あの間延びした喋り方やあざとい言動には反吐がでる!きっと財産目当てや公爵夫人という地位を手に入れるため王命を利用してイアンにすり寄って来たに違いない!!見極めなければ…。尊敬する主人を守るために主人に相応しい人物であるか見極めなければ!!
そんな思いのまま、イアンの知らぬ間に使用人一同によるアリスへの一斉調査が開始された。
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