不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター

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12.晴天族!?   

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 脱力したように肩の力を抜くフレイ君。そして――


「……はい。えーと僕の種族ですよね。わかりました。……お話しします。僕は……晴天族と言う種族です」


「晴天!?」


「はい」


「「…………」」


 意を決したように言うフレイ君に、俺は驚いて大きな声を上げてしまった。晴天族といえば羽もないのに空を自由に飛び回り天候を操る種族として有名で希少な種族だ。その身体的特徴は人族とは変わらないがフレイ君のように空色の髪と虹に光る目を持っていると聞く。だが、誰もその姿を見た者はおらず、最早伝説的な存在と言っていいほどの種族。晴れた日に雨や雪などが降って子どもからどうして? と聞かれる親が晴天族が降らしているから~って感じで使われるような、その存在を信じられているのか信じられていないのか微妙な判定どころな存在。晴天族は空を晴れたままに天候を操る、まだまだ謎に包まれた種族なのだ。そしてそれがフレイ君!


「へ~すごいっすね~!」


「……ツキ。正直に言え。お前晴天族って聞いたことあんのか?」


「……ごめんなさいっす。ないっす」


「「だろうな(ね)。俺(僕)もないわ」」


 ……いや、だって知ってるふりしないとフレイ君追い出すことになっちゃうんじゃないかなと思ったんっすよ。


 だから咄嗟にそれっぽい説明を入れたのにボスに白けた目を向けられた。


 ……ショックっす。結構いい説明だと思ったんっすけど……。


 だが、ここでおずおずと手を挙げるフレイ君。


「……あの、すみません。ツキさんが言っているので大体合っています。僕らの知名度だけはほとんどないのでそこだけは違いますけど……」


「まじっすか!!」


「嘘つけ」


 話に乗っかるなとボスはフレイ君にも白けた目を向けた。


 でも、これでさっき俺が作った話が本当だったらすごくないっすか?


「……フレイ君。何か証明できるものとかあるの?」


 優しく聞くイーラさんも思いっきり疑った目だ。


「……証明。あの晴天族と言っても大きく天候を操ることはできないんですが少しここに雨を降らせることくらいなら……」


「ええ! できるんっすか!?」


「はい」


 フレイ君は頷くと窓の外を見て晴れやかな空をじーっと見上げた。その様子に首を傾げながらも俺もじーっと見ていると、窓にポツリと水滴がつく。


「わっ!! 本当に降ったっすよ!?」


 窓に近づき開けると、空は晴れたままなのに雨が降っている。頑張ってじーっと目を凝らしてやっとわかる程度だと言えども確かにさっきまでは全く降っていなかったし降る気配もなかった。これには流石のボス達も驚いた様子で外を見た。


「まじか。……微妙だけど」


「すごい……。数滴だけど」


「そ、そこまでたくさんは操れませんので……。あの……これで信じてもらえましたか?」


 フレイ君は外から視線を外すと不安気にボスへと尋ねる。それと同時に雨が止んだ……と思う。たぶん。どれだけ見ても手を伸ばしても降ってないし触れないからたぶん止んだ。この現象にボスも怪しげながらも腕を組み考えるように目を瞑った。


 まだなんか引っかかるんすかね?


「ボス? どうしたんっすか?」


「……いや……他にも引っかかるとこはあるが――」


「! じゃあフレイ君ここにおくんっすか!」


「…………」


 許可を出しそうなボスの雰囲気に先走って言ってしまえば、ボスは不満そうにムッと口を閉ざしてしまう。


 もう天邪鬼っすね! けどこれはほぼほぼいけるボスっすからあともう一押しっすよ!


 俺は願いを込めて手を組み、キラキラとした目をボスに送った。


「ボス~キラキラ」


「……」


「キラキラキラ」


「……」


「キラキラキラキラ♢」


「はぁぁ……わかった」


「本当ですか!」


「やった! 弟ゲットっす!!


「え? お、弟?」


「フレイ君これからよろしくっすね!」


 ニパッと笑って戸惑うフレイ君に手を差し出した。


「え? あ、は、はい! ありがとうございます。よろしくお願いします!」


「はいっす!」


 パッと笑顔を見せるフレイ君は本当に可愛い。


 新しい仲間も増えてこれからもっと楽しくなりそうっすね!






「……ボスいいの?」


「……まぁなんか使い道があるかもしれねぇしな」


「……そう。ボスが決めたのなら僕は従うよ(ほんとツキ君に甘いな~)」


「…………なんか言ったかイーラ?」


「いや?」


「…………」



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