不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター

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73.日光浴っす! 

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「ふぅ~」


 お昼過ぎ、アジト近くにある緩やかな小高い丘の草原で、俺とフレイ君は気持ちのいい日差しを浴びながら寝転び、日光浴をしていた。


 今日は一日、平和な一日だ。なにせアジト内にボスがいない。なにやら姉さんと仕事の話があるようで、ボスはレト兄とモー達を連れて朝早くから姉さんの元へと出掛けてしまったのだ。フレイ君の送迎で。


 ボス、フレイ君こき使うっすよね~。


 帰りは近道を通って普通に帰って来るらしいが、あれだけフレイ君を敵視していたというのに丸くなったものだ。そんな、当の本人であるフレイ君はボス達を転移で送り届けてすぐに帰ってきて、今は俺の隣ですやすや夢の中だ。日差しだけだと少し暑い気もするが、今日はちょうどいいそよ風も吹いているためとても気持ちがいいのだ。


「んー!!」


 グイッと背伸びをした。


「はぁぁ~」


 静かっすね~。


 耳をすませば微かに草木の揺れる音が聞こえる。静かだが、ここは謹慎部屋のような密室とした静けさがあるのではない、広い開放的な視界に爽やかな風の、心地のいい静けさが広がっており心が安らぐ。


 最近はすぐボスが引っ付いてこようとして大変(主に心が)だったっすからね~。たまにはこういう日があってもいいと思うっす。


 ゆっくりと、安心して目を瞑る。ボスがいない。少し寂しいがなんの心配もない。レト兄やモー達がついているし、俺の体質もフレイ君のおかげで静かなものだ。こうしてゆっくりと、安心して過ごせる日が来るとは思わなかった。フレイ君様々だ。


 ボス達、今頃何してるっすかね。ご飯何食べたっすかね? まだ帰ってこないっすしお仕事の話してるんっすかね~。いつ頃帰ってくるっすかね~、ボスすぐ抱きつくのやめてくれないっすかね~もうちょっと距離とってくれないっすかね~。


 ……と、そんな事を、うとうとしながら考えていた。


 んー、お土産もほし――っ!?


「っ!?」


 バッと飛び起きる。


「……んん? ツキさん?」


 きょろきょろと辺りを見回すも何もない。……じーっと丘近くにある森を見つめた。


「ツキさん? どうしたんですか?」


「あ、フレイ君起こしちゃってごめんっす」


 目をパチクリさせながら俺を見上げるフレイ君に視線を移し、チラリともう一度森を見るも何も感じない。


 ……んー、なんか一瞬視線みたいなのを感じたような気がしたんっすけどね? 気のせいっすかね?


「ツキさん?」


「あ、なんでもないっす」


「……何かあったんですか?」


 不審な態度をとってしまったせいでフレイ君は心配そうに森の方を見る。


「んー、なんかいたような気がするんっすけどたぶん気のせいか、動物かなにかいたんだと思うっす」


「動物ですか?」


「まぁ山に森にと野生動物やら魔物が多い地域っすからね~」


「え゛? その二つを並べたってことは小動物とかそっち系じゃないんですか?」


「たぶん……。ボス達がよく狩りしてるっすし、そうそう出ないとは思うっすけど……まぁ……」


 絶対とは限らないっすよね? 熊とか狼とか猪とかそれに類似する、しないの魔物とかたまーに出たりするっすし?


 そう言えばフレイ君の顔が引き攣った。


「そ、それって大丈夫なんで……」


「大丈夫っすよ! いざとなれば俺戦うっすし、素手でも俺強いっすよ?」


「…………」


「それに俺の体質は今フレイ君が封印してくれてるっすからね、きっと大丈夫っすよ!」


「……あ、そ、そうですね! 大丈夫ですよね!!」


「…………ん?」


 フレイの元気が戻った。


 ……俺の強さより体質がない方が安心感強い感じっすか?


 いいのだ。いいのだけれど少し悲しくなった。


「ツキさん。僕顔洗いに行きたいんですけどいいですか? あと冷たい水に触りたいです」


「そうっすね。じゃあ行こっすか!」


 目を擦りながら言うフレイ君に笑って丘下にある小川へと駆ける。そこでフレイ君は顔を洗い、草地に二人揃って腰を下ろして「気持ち~」っと川に足をつけた。


 うん、日光浴で寝転ぶのも気持ちいいっすけど、足を浸したまま日光と風を浴びるのもまた気持ちいいっすね!


 隣にいるフレイ君も、足をパシャパシャ小さく跳ねさせて嬉しそうだ。――が、やっぱり……


「……フレイ君。そろそろ帰ろっすか」


「え? 僕まだもうちょっと……」


「ダメっす。帰ろっす」


 立ち上がり、フレイ君の手を引っぱってチラリと森に視線をやった。そんな俺にフレイ君は察してくれたようで……


「っ、わ、わかりました」


 と、立ち上がってくれた。そんなフレイ君に俺はニコリと笑顔を向け、


「そろそろボスも帰って来た頃っすし! お土産あるか聞きに行こっす!」


 できるだけ大きな声でそう言って、俺達は家へと戻った。



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