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101.ラック達らしい sideフレイ
しおりを挟む……うん、『視』ていて楽しいけどなんだろうこの複雑な気持ち。
現場では、モー達を引き上げている仲間達を尻目に、ラックが紐を引っ張った仲間その二を踏みつけていた。そして思い出したかのように他の連中へと声をかける。
『……おい。そういえばさっきからレトが見当たらねぇんだけどどこ行った?』
『『『『『さあ?』』』』』
全員ピタリと動きを止め、首を傾げた。そしてそう答えた後は心配した素振りも一切見せずに楽しそうにみんな罠にかかりに行ったり避けたりしながら洞窟探検に戻っていった。
「っ」
ここ遊び場じゃないんだから楽しむなよ!! もっと緊張感持って進みなよ!!! ラックも「ったくあいつは」で終わらせずに心配してあげなよ!!
込み上げる言葉達に僕の可愛い顔がだんだんと引き攣っていってしまう。
「もう!」
モニモニ揉んで顔を戻した。ここが罠の拠点だということはわかってるはずなのにこの軽い空気はなんだろ? 流石の僕もちょっとレトに同情してしまいそうだよ。
そんな中、引き上げられひょっこりと穴から出てきたモージーズー達三人。
『あぁー……死ぬかと思った……』
『紐引っ張った奴マジ許さん』
『レトならさっきなんかの罠にかかってどっかに落ちて消えてったぞ?』
『はぁ? あいつも何遊んでんだよ。……ま、そのうち合流するか』
「……っ」
いや、だからもっと心配して探してあげなよ!
入った情報にレトを『視』てみれば、どうやらモンスタートラップ的な罠にハマってしまっていたようで必死……じゃないな。なんか「うおお!」って叫びながらまぁまぁいる数の魔物を倒していっていた。
……こっちは大丈夫そうだね。すごい気迫。というかなんでモー達は無傷なんだろう。下、剣山だったよね? 落ちてってた気がするんだけどどうやって生還したんだろ?
『視』た光景と落ちたはずのモー達の呑気さに遠い目になった。
「……はぁぁ~ダメだ。やっぱこいつら全然予想つかない」
だからこそ新鮮で楽しいんだけどなんか疲れてきちゃったよ。僕、ツッコミキャラじゃないのに。
どうして僕のような尊い存在がこんなにもツッコミばかりしてしまっているんだろう。ただ、焦って悩んで、恐怖して、逃げ惑って、それでも立ち向かう姿を上から優雅に見物していたいだけなのに。
ちょくちょく無動作で罠を作動させても、ラックも他の奴らも普通に避けるしなんでだろ?
『いや~にしてもここ罠いっぱいだな~』
『だな~でも 生きた罠製造機とずっと一緒にいるからな~』
『このくらい可愛いもんだよな!』
はい。説明ありがとう。
「くそっ! やっぱりツキさんかっ!」
悔しさにギリギリと歯を噛み、手を握りしめてしまう。
考えてみれば今起こっていること全てものは違えどツキさんがいれば日常で普通に起こっていることだった。今まで普通にラック達も躱しているしある種の日常の一種になっていたから全く気にも留めていなかった。
……でもだからってなんなの? そんなにも回避能力と反射神経鍛え上げられるものなの? どれだけ危険が日常と一体化してるんだよ!!
「……あれ? そういえばなんでラック達ってここにいるんだろう?」
ふと思ったこと。
確かこの場所は僕達のアジトから言えば人間だとまぁ少し頑張ったとしても数日はかかる場所の筈。遅いなって待ってたけど普通なら来ないよね。どうやって半日もせず……
「…………いや、やめとこ」
……考えないでおこう。それを考えてしまえばもうこの人間達が人間に見えなくなっちゃいそうだ。きっと魔法か道具か何かそういうすごく早く来られるようなものを使ったんだろう。
その後も、わーわーと統率もなく、罠を発動させてははしゃぎ進む連中。そんな仲間達にとうとうラックがキレて……
『あーもう! うるせぇわかった!! お前ら四人一組に分かれろ!! んで散れ!』
なんて言うから、
『ボス~、一組三人になるとこでますよー』
『あれそう言えばレトどこ行った?』
『レトの癖に一丁前に一人行動か!』
『先走って行きやがったなあいつ!』
『いい。ほっとけ。たぶん大丈夫だろ。あと俺んとこが三人でいいから。ほら、お前ら集合場所はわかるな?』
『『『『『はーい!』』』』』
『よし、じゃあ怪我に気をつけろよ? ツキが悲しむからな。返り血も浴びるなよ。ツキが泣くからな。それじゃあ散れ!』
『『『『『よっしゃー!!!』』』』』
みんな喜んで四方八方に散っていっちゃったよ。いつもは三人常に一緒のモー達ですら別行動で分かれて喜んで走って行っちゃった。
……遠足に来たのかな? ラック引率者じゃん。
「はぁぁ……」
これはダメだな~と空を仰いだ。空と言っても見えるのは岩だけだけど。
「…………ふふ」
思わず笑ってしまう。
ほんっとあいつら全然思い通りにならないよね。
残念に思いながらも「まぁそれがラック達だし」と苦笑して、しばらくラック達を『視』続けた後、『視』るのをやめて、今度はツキさんの様子を『視』てみることにした。こっちが濃すぎて全然見てなかった。
ごめんなさいツキさんとか思いながらも、まぁ今の時間なら寝る準備整えながら僕がいない寂しさに泣いてるか、お茶飲みながら頑張ってかっこつけながら泣いてるか、それを見兼ねたレーラと話してるか、そのどれかだろうなと思ってまた笑ってしまった。
「……もうさっさとラックに手紙渡して帰ろうかな?」
絶対ツキさん僕がいなくて寂しがってるだろうし、心配もしてると思うんだよね。力も解いちゃったから僕が帰ったら「心配したっすよ!」なんて言って泣きながら抱きついてくると思う。そうなったらちゃんと謝らないと。あ、でもそうだ。ツキさんがレーラの屋敷に帰ってるんなら作戦は失敗したってことだし手紙も渡さなくてもいいのかな? まぁでも渡してって言われてたし渡したらいっか。そしたらラックも急いで帰って来るだろうしツキさんも喜ぶかも。
そうやって、どうしようかなーと思いつつツキさんを『視て』みると……
「!? っぎゃあ!?」
気持ち悪い卑猥なブツが僕の尊い眼を汚した。
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