不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター

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102.やばい      sideフレイ

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「え? 何? 何今の!?」


 大変な汚物を見ちゃったような気がする。


 え? 僕、何を見ようとしてたんだっけ?


「ええ??????」


 すごく混乱した。けど、すぐにツキさんを見ようとしていたことを思い出して、でもじゃあのブツは? と考えた所で恐る恐るもう一度ツキさんを『視』てみると……


 あのバーカルとか言う変態に押し倒されていた。


 …………あれ?


「なんかすっごくやばい状況になってない!?!?!!」


 ツキさんが下半身丸出しにしたバーカルに押し倒されている。しかも、ズボンまで脱がされそうになっている。


「ど、どうしようっ!?」


 流石の僕もオロオロしてしまう。


 え、いつ捕まったんだろう。え? これ僕のせいなのかな?


 確かにツキさんにかけていた力は解いたよ? 解いたけど、でもちょっと(?)目を離した隙に変態に押し倒されるような状況に陥ってるなんて誰が思うの。これツキさんどこいるんだろ? どうせもう家に帰ってると思ってたのになんでこうなってるんだろ? これってレーラが言った通りになってるってこと? すご。


「え、えっとっば、場所は……」


 確認してみればツキさんはこことは違うもう一つの正解の方のアジトに捕まっているようだった。


 え? やっぱりツキさんの力すごすぎない?


「……けど、流石にこの状況はまずいよね……」


 僕、こういう凌辱系は苦手だしあんまり見たくないんだ。ラックは今引率で忙しいし、向かうにしてもここからだと距離がありすぎるからどうしたって間に合わない。レーラがつけるって言ってた護衛も見当たらないしツキさんの腰は完全に抜けてしまっている。


「ど、どうしよう」


 暇だったから、色々な本を読み漁っていて、こんなシーンならいくらでもあって全然読んできたけど、流石にツキさんをそんな目に合わせたいとは思わない。『視』るのをやめて放置だなんてそこまで僕も鬼ではないし、だけど、せっかく僕が望んだこの機会をみすみす逃すのも……


『フレイ君!』


 その瞬間、浮かぶツキさんの笑顔。


「……いや、そんなこと言ってる場合じゃないよね」


 馬鹿みたいなあの笑顔を無くさせたいわけじゃないんだ。ラック達がこんな状況の今、ツキさんを助けられるのは僕しかいない。もしここで動かずスルーしたとして、これから僕がどれだけ頑張って動いてツキさん達をハッピーエンドにもって行くことができたとしても、事実だけはずっと残るんだ。


 こんなツキさんとラックが離れ離れで片方がピンチに陥いる展開すっごく大好き。だけど、こんな後味が悪くなるような話を僕は求めてないんだよ。……人間なんかって思ってたし、不幸に巻き込まれて散々な目にも遭って……、だけどツキさんと一緒にいたのは楽しかったんだもん。


「……助けないと」


 無理矢理はダメ。絶対! 大丈夫。今ならまだ間に合う!


 ……と、急いで立ち上がり、ツキさんの元に転移しようとした瞬間――


『ッッっっっ無理っすぅぅぅ!!!!』


『へぎゅあッッ!!!???』


「へ?」


 思いっきりツキさんが変態の変態(言葉にするのも悍ましい)を蹴り上げた。変態は悶絶している。


「…………よし!」


 これなら全然有り!! ナイス、ツキさん!!


 浮かしかけた腰をすかさず戻し、座り直した。


「ふっ」


 そして自分で自分を笑ってしまう。


 そうだ。僕は一体何を勘違いしてたんだろう。そうだよ、この人達が僕の想像通りに動いたことなんてあったっけ? いっつも惜しいところまで行って途中で想像とは違う方向に駆け抜けて行くんだった。なんで鬱展開が待ってるとか思ったんだろう? ちょっとしんみりとした空気を出しちゃった自分が恥ずかしいよ。鬱展開どころか悶絶する変態は見ているだけで爽快な気分だよ! 見てあのゴロゴロクネクネとした動き。自業自得!! 馬鹿みたい!!


「ふふっ!」


 ツキさんのあの一撃は天晴れだという他なかった。それからなんとか立ち上がった変態が、ドヤ顔でラックに山賊を仕掛けたとか罠を用意したとか語ってるけど無駄な努力ってこういうことを言うんだろうね。ラック達の遠足風景思い出して可哀想になってきちゃった。


「ま、僕の目を汚したことは許さないけど」


 でも、この調子なら僕が手を出すことはなにもないかもしれない。ツキさんの方もこのまま放置で大丈夫そうだ。どうせそんな時間も掛けずにラック達のこの場所の探索も終わるだろうし、そこからラック達がツキさんが攫われたことに気づいて助けに行ってとなんだかんだで上手くいく未来が簡単に見えるよ。でも――


「もう! なんでラックはこういう時に颯爽とツキさんの元に現れないかなぁ!」


 安心したらすっごく文句を言いたくなってきた。


 仕方がないとはわかってる。わかってるけど普通ああいう状況の時はギリギリヒーローが駆けつけて間に合うとかもうあるある展開でしょう? あそこでラックは綺麗に登場するべきだったんだ。ツキさん見てよ、なんか可哀想に小さく蹲って丸まっちゃったよ。どうしたんだろう? 変態もいなくなったのに……。やっぱりラックが来ないことが寂しいのかな?


「くっそ! ほんっとラックって役に立たな――」


「――楽しそうだなァ、フレイ」


「い!! ……え?」


ドスッ

「……」


 声が聞こえたと同時に上から差した影。それと同時に聞こえたドスッという真横から聞こえた音にギ、ギ、ギと横を向くと、顔面スレスレに剣が突き刺さっていた。


「ヒッ!?」


 デジャブ!?


「……チッ」


「っ……!」


 聞こえた舌打ちに、ギギギと今度はそちらに顔を向けると、口元には笑みを浮かべているのにその目は一切笑っていないラックが眼光鋭く僕を見下ろしていた。


「フレイ。なんでここにテメェがいんだ?」


「…………っ」


 やばい……見つかった!!!



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