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11.子どもの話
しおりを挟む私が変な寒気を感じてキョロキョロしていると、ロゼリア様は何でもないかのようにニコニコと笑顔で会話を続けます。
「それにしてもユユ様とヨルト様って私が思っているより関係は悪くないのかも知れませんね」
「え?」
「だってこの間のヨルト様ったらユユ様のことばかりだったもの!」
「そうですか?」
「そうですよ!ほんっとこれで早く子どもでもできたらいいんですけどね!」
「っそ、そうですね」
「ユユ様、子どもはまだできていないんですか?」
「…はい」
子ども…ロゼリア様の言葉が私の心に重くのしかかります。最近ロゼリア様が屋敷に来た時によく仰る言葉です。
ロゼリア様はそのまま結婚をして2年も経つのに…と溜息を吐きつつ言葉を続けます。
「ユユ様、やっぱり1度お医者さんに見てもらった方がいいんじゃないんですか?私達は貴族ですし、子どもは必要だと思うんですよ!それなのにいつまで経っても子どもができないようなら、ヨルト様の迷惑になりますよ?」
「……そうですね」
「そうですねってちゃんと話を聞いていますか?ユユ様は何の取り柄もない方なのですからちゃんと貴族の妻としての義務くらい果たさなくては!そんなんだからヨルト様に避けられ「ーーそこまでです。ロゼリア様全て余計なお世話ですよ」…っ!」
「…ローレンさん」
ロゼリア様の話を遮って仕事で外に出ていたはずのローレンさんが部屋に入ってきました。そして私の方に近づいてくると優しげな笑みを浮かべました。
「奥様大丈夫ですか?」
「…はい」
「…ローレンあなた…」
「ロゼリア様申し訳ありませんがそろそろお引き取り願えますでしょうか?」
「っどうしてですか!今ユユ様と楽しくお話ししていた所だったのに!」
「はぁぁ…。どこが楽しくですか?私にはそうは見えませんでしたよ。子どものことなど貴方が口出すものではないでしょう。それに奥様はまだ病み上がりです。それなのにいつまで居座るおつもりで?」
「っでもユユ様、元気そうだし別にいいじゃないですか!」
「いいわけないでしょう。勝手に判断しないで下さい。さぁ、奥様。部屋に戻ってお休みください。旦那様にも言われていたでしょう?ラン、ラミ奥様を」
「「はい、行きましょう奥様」」
ローレンさんはロゼリア様の扱いに慣れているのかロゼリア様が何を言っても軽く流しています。
そんなローレンさんの言葉にすぐさま私の側に来たお2人は私を部屋に戻そうとしますが、このままロゼリア様をお見送りせずに戻っていいものでしょか?
「ですが…」
ローレンさんに色々と叫んでいるロゼリア様の方をチラリと見るとお2人とも大丈夫だというように頷きます。
「あの方は無視していていいですよ」
「ローレン様がすぐに摘み出しますからね。放っておきましょう」
…それはそれでロゼリア様へのその扱いはいいのでしょうか?
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