恋する乙女なロリ魔王は『百万回のキンキン』を経て、勇者に恋をする。~交わした剣の数だけ募る想い。~アイ・ラブ・キンキン!

おひるね

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 魔王様はコンクリームで一杯引っ掛け終わると、朝シャンへと向かった。

 その隙を狙ってか、勇者がどこからともなく現れ私の卓に座ると水を注文した。

「ルシファー君。少しいいかな」
「なんでしょうか?」

 やはり私に話があったか。
 あまりにも不自然でしたからね。

 と、悠長に構えていたのですが……、

「今日で俺と魔王の決闘は最後になる」

「な、なにをいったい? まさか、魔王様を討ち滅ぼすとでも?」
「違うよ。そうじゃない。俺が勇者で居られるのは今日が最後なんだ」

 あぁ、なんと……。
 今日がタイムオーバーの時でしたか。

 いやはや、名実ともに昨晩の絵本読み聞かせ添い寝腕枕がラストチャンスだったのですね。

 否! 諦めるにはまだ早い!

「勇者殿、その件に関しての噂なら存じております。そこでひとつ、ご相談なのですが」

「一緒に山菜を食べた仲だ、なんでも言ってくれ」

 さすが勇者。
 優しいお兄ちゃん属性は私の前でも健在か。
 それなら、一か八か。言ってみるだけの価値はある!

「魔界側に寝返ってしまってはいかがでしょうか? 勇者殿と魔王様が手を取り合えば、平和な世界が訪れるのではないでしょうか」

「さすがルシファー君だ。俺もそれについては何度も考えた。でも、できないんだ。親、弟妹、親戚などに迷惑がかかってしまう。きっと、俺がそんなことをしたら、皆──」

 勇者はそこまで言いかけて口をつぐんだ。
 
 なるほど……な。いやはや、いやはやですな。

「なんと愚かな。それが奴らのやり方なのか……」

「責任は俺にある。魔王を討つことができなかったのだから。その気持ちは今も変わらず、この胸の中で日に日に大きくなっている。俺にはあの子を討つなんてこと、できないよ。それはこれから先も、ずっと」

「勇者殿…………くっ」

 勇者は唇を噛み締める私に微笑むと首を横に振った。

 そして話を本題へと戻した──。

「それで、この件に関してのお願いがあるんだ。いいかな?」
「ええ、いかようにも。勇者殿の頼みとあらば」

 敵ながらして、優しいお兄ちゃんだ。
 最後の頼みなら、なんだって聞くさ。

「ありがとうルシファー君。おそらく俺の後釜として勇者になる男は弱い。今の魔王とでは相手にならないだろう。でもそこで、魔王が勝つようなことになれば──」

 勇者は私を試すようにそこで言葉を止めた。

「戦争が始まる」
「そうだ。話が早くて助かる」

 なるほど。この男、私と見えている景色は同じだったのか……。今更過ぎる。もっと早くに気付けていれば……。

「俺は牢獄行きになると思う。おそらくもう二度とお日様の下を歩けない。それだけ俺の信用は王都では地に落ちている。だからルシファー君には魔王が変な気を起こさないように見ていて欲しいんだ。それからこのことは魔王には言わないでくれ。頼む」

 勇者の瞳から覚悟が見えた。
 もう、決めたことなのだろうな。


「勇者殿の願い、確かに。悪魔大執事ルシファーの名の元に、必ずや……」
「ありがとうルシファー君。君と出会えた奇跡に感謝する。本当に、ありがとう」

 そうか、もうこの男とは一緒に山菜は食べられないのだな。

 寂しくなるな──。


 
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