「ふっざけんな──ッ!」誰も居ない夜の教室で、イケ好かないギャルの机を蹴飛ばしたら──。ぼっちで陰キャな俺の日常はハレンチに包まれた。

おひるね

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第2話 ごめんなさいマシーンからの卒業(前編)

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「おいっちにー! おいっちにー! ジャンプジャンプジャーンプ!」

 家に帰って来た俺は、自分の部屋でさっそくストレッチを始めた。

 ネットで検索して出てきたストレッチ動画を再生し、言われるがままに体を動かす。

 理由はこれから『地獄の筋トレ』を始めるからだ。

 思いたったら吉日。
 今日までの自分との決別。

 俺はNOと言える男になる!
 そのための第一歩として、俺が取り組むことにしたのは肉体強化だ!

「おいっちにー! おいっちにー! ホップステップジャーンプ!」

 筋肉とは自信の象徴。
 ライオン相手にNOと言えるだけのメンタルを養う上で、肉体の強化は必要不可欠と言っても過言ではない。なんせ相手はライオンだ。ライオンなんだよ……!

 筋肉は裏切らない! って、ネットに書いてあったし!

「おいっちにー! おいっちにー! おいっちおいっちにー!」

 ゆえに、今日から俺は筋トレを始める!
 
 そのためのストレッチにして準備体操!

「おいっちにーさんしーご! おいっちにーさんしーご!」

  〝ドンッ!〟
 
 しかし息巻く感情とは裏腹に、隣の部屋から強烈な〝壁ドン〟が放たれてしまった。

 ──ビクンッ……。

 一瞬にして俺の体は恐怖に震え上がる。
 すぐさまストレッチを中断して、息を殺す。

 しかし、無情にも──。

  〝ドンッ!〟

 二度目の〝壁ドン〟が放たれてしまった。

 一度目は牽制、二度目は……オコのサイン。

 た、大変なことになってしまった……。軽井沢さんの机を蹴飛ばせたことで、なんでもできると舞い上がっていた。

 何やってるんだよ、俺……。

 後悔しても、もう遅い。隣の部屋から〝バタンッ!〟とドアが開く音がすると、すぐに──。

  〝バターンッ!〟

 ノックもなしに俺の部屋のドアが勢いよく開かれた──。

 現れたのはひとつ下の義理の妹、楓だ。
 腕を組み、蔑んだ視線で俺を睨み付けてきた。

「あのさ、さっきからうるさいんだけど? 喧嘩売ってんの?」

 やばいやばい。謝らないと。とにかく謝らないと!

「ご、ごめん。そんなつもりはないんだ。筋トレをしようと思って、ストレッチをしていただけで……。ごめん……」
「はぁ? 突然なにやりだしちゃってんの? キモいんだけど? やめろよ?」
「本当にごめん。静かにするから……。もう絶対に騒がしくしないから……。だからどうか、それだけは……」

「あぁね。しょうがないから今回だけ特別に許してあげるよ。でも次またうるさくしたら許さないから。そのつもりでいてよねー?」
「ありがとう! 絶対騒がしくしないから! 本当にありがとう!」

「キモ。なに嬉しそうにしちゃってんの。まじむり」

 言いながら冷めた薄ら笑いを見せると、楓は俺の部屋から出て行った。

  〝バタンッ!〟

 ……助かった。
 どうにか筋トレは続けられそうだ……。
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