三毛猫マッキーの縁側日記

門脇 賴

文字の大きさ
6 / 10

第6話 解決編3 (謎1)

しおりを挟む
ヒデリンとマッサン、互いに顔を見合わす。

「いやあ、失礼。たぶん、こういうことであろうと予測はしてたんだけどね。マッサンに直接確認したかったんで、わざわざ出向いてもらったんです。でもこれではっきりしましたよ」

「マッサン、解った?」
「いや、全然」

「賴光先生、我々全然解らないですが…」
「説明しましょう。マッサン?」

「あ、はい」
「ヒデリンも一緒に聞いて」

「聞きます」
「聞きますとも」

「今の私の説明に対して、マッサンはまずは相槌を打ったよね? ヒデリン」
「あ、はい」

「傍で聞いてて、マッサンはどのような相槌を打ってた?」
「ええっと、…ええ…」

「ぼ~さ~っと、聞いてたん?」
「えっ、いや、あの、『うん』とか『はい』とか」

「そんなこと言ってないだろ」
「あ、そうでした?」

「今、何て言った?」
「え?」

「先生、ヒデサン、『あ、そうでした?』って、言いました。
「あ、そう!」

 と言いつつ、賴光先生、またまたニヤリ。

「マッサン、キートン氏との会話の中でも『あ、そう…』という相槌を頻繁に使ったんじゃない?」
「ええっと、そう言われると習慣的に結構使ったような気がしますが。えっ、それが下品になるんですか?」

「なるんです、実は。日本人同士の日本語での会話の場合、相手の話したことへの確認の意味でよく『あ、そうですか』、『あ、そうなん』、『あ、そうですね』、軽く『あ、そう』といった相槌を打つよね」
「打ちますね」

「この『あ、そう…』がね、日本語を知らない、所謂ネイティブな外人さんには "Asshole" 或いは "Ass Hole" と聞こえるのです。
「先生、その意味は?」

「まあマッサン、あわてない、あわてない。今、説明します」
「はい」

「"Ass" のあとの "Hole" はご存じですね?」
「ダンスホールとかのですか?」

「ヒデリンはどう?」
「マッサンと同じ」

「違う! "Ass Hole" はHole(ホウル)で、 "Dance Hall" はHall(ホール)。ダンスホールよりマンホールを思い浮かべてみて。"Ass Hole" の "Hole" は「穴」ですね」
「……」
「……」

「だいたい、解ってきた? マッサン」
「いえ、まだ」

「問題は "Ass" 。あまり上流社会では使われない。親しい者同士では普通に使う。さてここで、クエスチョン。少々品位に欠けるが親しい間柄では普通に使う言葉で「尻」と言うと…、ヒデリン?」

「『ケツ』ですか?」
「ザッツライ! 『Ass』とは『尻』という意味ではあるが、ニュアンス的には『ケツ』に極めて近い」

「はあ~、そうでしたか! やっと解ったよ、ヒデサン」
「なるほど。『ケツの穴』か! 確かに、下品と言えば、下品だね。これは難しい」

「まあ、無理はないさ。知らなくて、当然」
「いやあマッサン、驚いたよね」
「驚きましたよ。あーあ、もっと早く知っていれば…」

「まあこれは余談だが、アメリカ英語では "Ass Hole" だが、イギリス英語だと "Arse Hole" になるね。発音はどうか? これは私の考えだが、日本語的には  "Ass Hole" だと「あ、そう」。 "Arse Hole" だと「ああ、そう」ではないかと思う。
 
「賴光先生、こんな下品な言葉、外国ではあまり使われないんですか?」
「英語圏の国では、結構使われると思う。でもね、ちょっと使い方が違ってたりするよ」

「どう違うんですか?」

「うん、あのね。文字通り『ケツの穴』としての使用頻度は多くないだろうね。それよりスラングとして使うことの方が多く、その場合は『クソ野郎』とか『くず野郎』と言った意味になるね。特に相手を罵るときには、前に "You" を付けて『このくそったれ』とか『このクソ野郎』のように、非常に汚い言葉になるね」

「うわっ!」

「まあ今回のマッサンの場合はキートン氏の説明を真剣に聞いていて相槌を打ったのだから、文字通りの『ケツの穴』ととられ、真面目な顔して品位のない日本人と思われたことだろうね、お気の毒に!」


 マッキーです。
 どうやら、無事全問解決したようです。
 マッサン、また遊びにお出でください。
 賴光先生、ごくろうさまでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

処理中です...