【本編完結、番外編は随時更新】愛のない政略結婚のはずがいつからか旦那様がグイグイきてどうしていいのかわからないのですが

asamurasaki

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番外編

ヴァネッサの里帰り ⑥

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確かに卵を使うヘアパックは日持ちしないから販売には向いていないよね。

「腐ったりしないような保存容器とかあればいいんだけどな~。

その保存容器にポンプを付けてそのまま使えるようにすれば、保存容器も売れるしね」

私があれこれと考えながら呟いていると。

「保存容器?ポンプって何かしら?」

お母様に言われてハッとする。
ついつい夢中であれこれ考えてたら口に出ていたわ。

思わずポンプって前世の言葉が出てしまった。

「えっと保存容器というのは野菜とかを保存するものがあるじゃない?あれと同じように腐らなく出来るものがあればということね…。

それとポンプとはその容器に穴の空いた細い棒状のものを入れてバネというものを付けて、上の部分を押せば中身が出てくるものってことなの」

私は怪しいと思われるんじゃないかと弱冠焦りながら答える。

「それ凄いわね!

その保存容器とポンプっていうのが作れたら、他にも使えることが増えそう」

ミーナが興味津々という顔で言う。

この世界は魔法があるから科学はまだ発達していないけど、スマホのような通信魔道具が作れるのなら魔術で腐らない保存容器が作れるのではないかと思ったのだけど。

「ねぇ、ヴァネッサお姉様そういうのはエンヴェリカに相談したらどうかしら?」

「そうなのよ!今魔術で保存容器作れないかなって思ってたのよ」

ミーナの言葉に私もうんうんと頷く。

「あら、それ凄いわね」

お母様の目がキランッと光る。

成功したらこれ他のものにも使えるし売れるよね?

「もし保存容器とポンプが作ることが出来たら、髪用石鹸も液体にして保存容器に入れて一緒に販売すればいいんじゃないかな」

「髪用石鹸も液体に?」

ミーナがキョトンと首を傾げる。

「オイルと卵を合わせた髪に潤いを出して保護するものは髪用石鹸の後にするものじゃない?

同じ湯浴みの時にするのなら同じ保存容器に入ったもので、パッケ、…じゃなくて容器もお揃いにして、保存容器をオシャレにしたらそちらの方が売れるじゃかなと思って」

危ないポンプに続いてパッケージと言いかけてしまった。

あまりに聞いたことがないことを連発するのは良くないと慌てて言い直した。

「やっぱりヴァネッサお姉様は凄いわ!
商品を開発するって凄く楽しいのね。
夢がどんどんと広がっていくわ~」

ミーナが目を輝かせる。

私が凄いんじゃなくて前世の先人の知恵なんだよね~それの受け売りだけなんだけど、そんなことは言えないので黙っておく。

ということで、保存容器のことはミーナがエンヴェリカに聞いてみてくれるということになり、お母様は私と相談しながら髪用石鹸を液体にしてみることと、髪用石鹸とヘアパックの性能をより良いものにすることを相談しながらやることを決めた。

そして私はお母様とミーナが作った髪用石鹸とヘアパックを今晩試してみることにした。


後でこの話を聞いていたお義父様がお金の匂いを嗅ぎ付けて加わってくれたことで、髪用石鹸を液体にすることが早くなった。

それにミーナがエンヴェリカに相談して、エンヴェリカがお父様の魔道具の天才であるクエストベルト子爵卿に相談したことで、思ったより早く保存容器が完成してシャンプーとトリートメントとして売り出されることになるのだ。

湯浴みの時にお母様とミーナが作ったモンファオイル入りの髪用石鹸とヘアパックは、ヘアパックのお陰もあって後髪がバシバシにならずに、今までの髪用石鹸より髪が潤ったままだった。

ただ卵が白身もそのまま使っていたから、ドロッとし過ぎてて洗い流すのが結構大変だったから、黄身だけを使うように改善すればいいよね。

やっぱりモンファオイルは前世のアルガンオイルより優秀だわ。

結果がすぐに出る。
髪がバシバシになったり絡むこともなく潤ったままで、後で香油を使う必要がないくらいだった。

これはいける!と思ったのだった。


さて、昨夜お義父様は王都のブレンダーザス家に戻ったのだけど、クリスはそのままダベンサードルに泊まり、明日は休みだと言うので、私たちと一緒に出かけることになった。

私とレオが私の思い出の花畑で遊んだと聞いて、羨ましくなったクリスが強引にまた休みをもぎ取ってきたことを私は知らず、後でナタから聞いて驚くことになる。


翌日はダベンサードルにある食堂や商店などがある街に行くことになった。

ダベンサードル領は非常に大きい領地ながら、食堂や商店や宿などが並んでいる街は王都やブレンダーザス領に比べると、ほんとに小さい。

ブレンダーザス領の街は王都に負けないくらいお店もいっぱいで賑わっているけど、比べものにならないくらい正直言うと寂れていた。

領の中心地と隣国シュバルツダイン帝国の国旗沿いの砦近くに街があるけど、砦近くの街は砦に勤務している魔術師や騎士たちが利用する道具屋やお酒も出す食堂、宿屋と他の日用品が売っている商店がチラホラしかない。

中心地の方は砦よりは栄えてはいるものの、本当に小ぢんまりとしたものだ。

いくら裕福になったとはいえ、私が離れてからまだ5年程。

クリスとレオと一緒に街に出ても
そんなに見るところがないかもと、私はちょっと心配していた。 

でもお父様とお母様も一緒に中心地の街に出てみて、馬車を下りた私は驚きに固まった。

あんなに小ぢんまりとして商店や食堂がチラホラあるだけだった街が、凄く広くなっていてあらゆる商店が軒を連ね、食堂も以前と比べようがないくらい並んでいて、これは高級宿では?といえる宿も並んでいた。

おまけに店舗が二階建てというところもあったりしたのだ。

「えええー嘘ー?」

私は素っ頓狂な声を上げる。

「ヴァネッサビックリしたか?」

お父様がしてやったりというニヤリ顔をしている。

「ちょっとここは本当にダベンサードル領?」

私は目を丸くする。

「そうよ、この5年で商人もたくさん移住してきてね、賑わっているでしょ」

お母様がドヤ顔をする。

いや、ドヤ顔するのがわかるよ。

本当に見違えてたくさんのお店が並んでいて、人もたくさんいて賑わっている。

私はまだ呆気に取られて立ち尽くしている。

「ヴァネッサまずは昔から我が領地にあるベルレント商会に行ってみない?」

お母様に言われて、私は口をポカンとさせながらコクコクと首を縦に振った。

「おかぁしゃま~」

王都の街にも出たことがないレオがワクワクしてるというのが、わかるほど私の手を引いて先に行こうとする。

「レオわかったわ、一緒に行こうね。

人がたくさんいるから絶対繋いるお母様の手を離さないでね」

「だいじょーぶおかぁしゃま。
おとうしゃまともおててつないでゆー」

レオが反対側の手を上げてクリスと繋いでるを手を見せる。

もう本当にうちの子可愛い!

「わかったわ、レオとてもお利口さんよ」

私がレオに笑いかけると、レオは輝かんばかりの天使の笑みを見せて、早く早くと先を急ごうとする。

まずはお母様が言っていた昔から領地にあるベルレント商会の前まできて、私はまた呆気に取られる。

街で唯一いろんな物が揃う商会だったベルレント商会だけど、古ぼけた平屋のお店だったのに目の前には二階建ての瀟洒なお店があった。

「ここ、ほんとに?」

私が店を見上げてまたポカンとしてると。

「これは旦那様と奥様ようこそいらっしゃいました!

ブレンダーザスの若様とヴァネッサお嬢様、ご子息様もよく来て下さいましたな」

と声がして、そちらを見ると茶色の短髪に同じ色の丸い瞳で眼鏡をかけた50代くらいの質の良さそうな服を着た男性が声をかけてきた。

「えっ?ベルレントさん?」

「そうでございますよ、ヴァネッサお嬢様。

街の者たちが噂しておりましたが、本当に輝かんばかりにお美しく立派な大人になられましたな。

ヴァネッサお嬢様とはもう長くお会いしておらませんでしたが」

ベルレントさんが私を見て目を潤ませている。

ベルレントさんは私が学院に入学する前に会ったきりだから、8年振りくらいだ。

8年前より少し歳がいった感じだけど、以前より顔色も良くてボサボサだった髪もちゃんと整えていて、今の方が若々しく見えるくらいだ。

「ベルレントさんお元気でしたか?」

「はい!それはもう、ヴァネッサお嬢様のお陰でうちも大きくなりましたし、うちだけじゃなくいろんな店が増えたでしょう?」

「ええ、ダベンサードルの街じゃないみたいだわ」

ベルレントさんが目を潤ませながらもニッコリとする。

「それもすべてヴァネッサお嬢様のお陰ですぞ。

お嬢様はダベンサードルの女神様じゃ」

いやいや女神様なんて、この国の守護神、女神セレナ様に怒られるわ!

「そんなことないですよ」

「まあ、こんなところではお嬢様やご主人様、ご子息様を一目見ようと人が集まってきますでな。

さあさあ中へお入り下さい」

ベルレントさんに案内されて、レオと手を繋いだまま店内に入る。

店の中に入ると、ベルレントさんが私が張り付いているとゆっくり出来ないからだろうからと「ごゆっくりどうぞ」と言っていったん私たちの元を離れた。

まずは二階から見せてもらったのだけど、品揃えが凄い!

服も平民服だけでなくドレスやスーツの見本も置いてあったり、たくさんの種類の生地が並んでいる。

平民が着る服はお店に並んでいるけど、ドレスやスーツはオーダーメイドを発注出来るようになっているのか。

あとは靴だとか、二階は衣服や日用品が置いてあった。

そして奥には魔道具を売っているスペースもあったりと、外観より中のは凄く広い。











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