次こそは平和な世でのんびり気楽に生きていくつもりだったのに何でか悪役令嬢として生きていくことになってしまった!

asamurasaki

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十八話 国王、これからのことを考える

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ラルフとロランは結論から言うと、少し時間はかかったが、ラルフは俺専属の護衛にロランは専属従者となった。

ハーベント家は公爵なのですぐにとはいかなかったが、ラルフは元は隣国サンドウェンディ王国の侯爵子息、ロランもこの国の元子爵子息と身元がハッキリしていて元貴族であったことが大きかった。

ラルフは元隣国の侯爵令息であっだが、出奔してから親から徐籍されていた。ロランもだ。
ラルフの両親は彼がS級冒険者となっていることを知ると呼び戻そうとしたが、いち侯爵家当主とS級冒険者ではS級冒険者の方が圧倒的に立場が上だ。
彼は拒否したのだという。

彼らが護衛と従者に認められたのは何よりラルフは世界でもごく僅かしかいないS級冒険者であり、その中でもSランクのドラゴンを誰よりも多く討伐している世界最強の冒険者と言われている。
ロランはA級冒険者だが、A級冒険者も冒険者たちの中で1割と言われるくらいしかいない貴重な存在だからだ。

これからのリリアナのことも考えて、ゲオングじいさんの後押しもあり割りとすんなりグェンが了承して、俺の両親の承諾もすぐ下りた。

護衛騎士や従者を雇うのはそれぞれの家の判断で国に了承を取らなくても構わない。
ハーベント家の両親の判断でラルフとロランはリリアナの専属となった。

ケングレット、アルフ、ミランは何か物言いたげだったが、ラルフとロランの実力を見れば納得せざるを得ないよな。


そして俺は昨夜、晩餐会が始まる前に別室で隊長シュテフ、ゲオングじいさん、執事長のグェンを呼んで、今回の魔物討伐は領内の魔術師団、騎士団と冒険者たちで完了したことにして欲しいと言った。

そこに俺はいなかった、関わってなかったことにして欲しいと。

俺が魔法、特に聖魔法を使えることを王都にいるゲームに関係する者たち特に国王、王太子や王族に知られたくなかったからだ。 

そのことに気付いたのは討伐が終わってからだった。
緊急な事態でもあったが、俺はそこまで頭が回ってなかった。

俺が討伐に関わり、イグニスドラゴンを倒したことや瘴気の沼を消したことを知られれば王都に呼び出されることになるだろう。
確実に王族の中に取り込もうとするに違いない。

ずっと病弱ということにして、なるべく王都に行くのは貴族学院に入学してからにしたかった。それまでにまだやらなければならないことがたくさんあるからだ。

それまでにバレてしまったら、その時にまた考えればいい。
いつか知られてしまうことも想定していた方がいいだろう。

グェンと隊長シュテフには本当の理由を話せないが、俺がしたことを王都で知られると病弱だと嘘を言って領地にいるのに、いろいろとややこしくなる、聖魔法を使えることを黙っでいたことで何らかのお咎めがあるかもしれない。 

今は領地で暮らしたいからと嘘は言っていない。 

俺が聖魔法を使えることは知らないことにしてもらいたい。

「ここが大好きなんです。なるべくここでみなさんと暮らしたいので」

と俺がその場で言うとみんな納得してくれたようだ。

俺が聖魔法を使えることを隠していることを王族に知られたら、俺だけでなく隊長のシュテフ、グェン、ゲオングじいさん、そしてハーベント家も処罰されるかもしれない。
シュテフたちはそれもわかって納得してくれたんだ。
それはこれから対策を考えることにしよう。

もし知られたとしても俺が国王に直に交渉することが出来るはすだ。

晩餐会の後で隊長から部下たちに正式に命令してもらうのと、冒険者の方は依頼主であるグェンとラルフ、ロランに口止めを頼んだ。


お兄様は馬でこちらに向かう途中に早馬で魔物討伐が完了したことを聞かされたが、そのまま馬を飛ばしてきたのだろう、晩餐会の翌朝に領地にやってきた。
お兄様が領地の邸に到着してグェンと俺使用人ち全員が出迎えた。

「お兄様、お久しぶりでございます。
お忙しいところ来て頂いてありがとうございます」

俺が笑顔で出迎えると

「お、お前!本当にリリアナか?」

お兄様が俺を見て驚いてポカンとしている。
痩せたからな、まるで違う容姿になってるからそりゃ驚くだろうな。

「はい!リリアナでございます。
お兄様、お疲れのことと思いますが、今回の魔物討伐の隊長シュテフ様をお呼びしておりますので、シュテフ様からお話をお聞きしてもらえますか?」

「あ、ああ…そうするけど…お前?」

お兄様は信じられないという顔をで俺をずっとマジマジと見てくる。
お兄様とは仲が良くなくてお互いに無関心だったと聞いている。
なのにそのリリアナがにこやかにお兄様に話しかけているのだからお兄様が驚くのも無理はないだろう。

俺は母の薄紫の髪に父の紫の瞳を受け継いだ母親似の顔で、お兄様カーチェスは父のプラチナブロンドの髪に母の碧眼を受け継いでいて父に似ているが、やはり兄妹、俺が痩せると兄にも似ている。

「お兄様、こちらで療養していて食事や生活習慣を見直したのですよ」

笑顔で言うと

「…そ、そうか…そうなのか…」

お兄様は呆気に取られしばらく俺をボーッと見ていたが、俺の言葉にハッとして返事してくれた。

「さあ若様、お疲れのところ申し訳ございませんが、隊長のシュテフ様がお待ちでございますので報告を聞いて頂けますか?」

俺の後ろからグェンに声をかけられたお兄様はハッとして

「あ、ああ、そうだな。案内してくれ」

お兄様はグェンの案内で邸内の応接室へと歩いていく。

俺は部屋へと戻って行く。
部屋の中ではミランと二人だ。

「お兄様は貴族学院があるからそんなに長く滞在されないと思うわ。お兄様が王都に戻られてから現地を浄化していかないとね」

「お嬢様、よろしいんですか?」

ミランが俺の顔を真剣に見つめてくる。

「ん?何が?」

「今回の魔物討伐のことですよ!お嬢様の活躍であんなに早く終わったのですよ。
身内である若様には話した方がよろしいんじゃないですか?」

「いや、お兄様も家族全員、わたくしが聖魔法を使えることを知らないし、療養でこちらで来てることになってるのよ。ピンピンしていたら王都に帰ってこいと言われてしまうじゃない?」

「えっ?お嬢様!聖魔法を使えること内緒にしておくつもりですか?」

目を瞬きながら聞いてくるミラン。

「ええ、そのつもりよ。
婚約者の王太子殿下はわたくしのこと嫌ってらっしゃるのよ。
今回のことが知れたらややこしくなってしまうわ」

「で、でもお嬢様が痩せてお美しくなられて聖魔法も使えるとなれば王太子殿下も変わられるかもしれませんわ」

見目が変わって聖魔法が使えるからと態度が変わるような男なら尚更嫌だけどな。

「わたくし王家に嫁ぐことに今はもう興味ないの。まあ、家同士で王家の方からの要望で決まったことだし、こちらから解消なんて出来ないから、一応王太子妃教育はちゃんと受けるつもりよ。
文句言われない為にね。それも王宮に呼び出されればの話だけどね」

今までリリアナはずっと領地にいることが出来たと聞いている。体調が良くないと言っていたからだろうが、王太子は最初からリリアナに期待していなかったのはわかるが、国王も何も言ってこなかったということは国王からも期待されてなかったということなのか?王家からの要望で婚約したのに普通考えられないが、それもゲームの強制力というものだったのかもしれないが、今までは王太子教育を受けていなくても良かったのだろうか?
普通なら考えられないことだな。
それも邪魔する存在が関わっているのか?
今までの生活で考えてなかったが、邪魔する存在が頭を過ぎった。

今回はわからないが、なるべくなら王宮に行きたくないものだな。

「お嬢様、王太子殿下との婚約が決まった時、喜んでいらしのに」

ミランが首を傾げる。
確かに昔のリリアナは王太子との婚約が決まったことを素直に喜んでいたらしい。
最初のリリアナは自分が特別だと思っていたから王太子妃になるのは自分しかないと思っていたからね。

でも今の俺はそのリリアナではない。

「こちらに来てからいろんな世界があることを知ったのよ。魔法だってゲオングじいさんに出会えたからいろんなことが出来ると知ることが出来た。
王族にならなくても出来ることがいっぱいあるでしょ?ミランもそう思わない?」

「確かに…確かにそうですね!」

ミランは目を瞬かせてから頷いた。

「ミランだって出来ることたくさん増えたじゃない?貴方こそ今なら貴族令嬢として立派にやっていけると思うわよ」

ミランに微笑みかける。

「私が望むことは貴族令嬢に戻ることではございません。
いつまでもお嬢様の側にいます!
私の生き甲斐を奪わないで下さい!」

ミランの一生懸命な言葉に俺は嬉しくなる。

「ミランありがとう、嬉しいわ。
わたくしはね、この領地の民が安全に暮らせるようにそしてこの領地をもっと暮らしやすく発展させていきたいと思ってるの。もちろん16になったら貴族学院に通うわよ。でも学院で学んでまたこここに戻ってくるつもりだわ。
お兄様がいるから後継者はもちろんお兄様だけど、わたくしにも出来ることがあると思ってるの」

貴族学院に入学してゲームというものが始まったらどういう結末になるかはわからないけど、でも絶対に生きてここに戻ってくるつもり。
お兄様が結婚して後継者になり俺が邪魔になれば、平民になって冒険者になってもいい。

「お嬢様!素晴らしいお考えですわ。
そうですよね。違う生き方もございますもんね…私はどんなことがあってもずっとお嬢様について行きますわ」

「フフッ、ミランありがとう」

私とミランは微笑み合った。





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