次こそは平和な世でのんびり気楽に生きていくつもりだったのに何でか悪役令嬢として生きていくことになってしまった!

asamurasaki

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六十話 ルドルフside ④

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私はやってきた冒険者たちに驚きを隠せず目を見開いだ。

ハーベント公爵令嬢の護衛と従者をしている赤い髪の男性と薄灰色の髪の男性にも驚いたが、こんな現場に少女がくるなんて。

でも父上が「サラ殿たちよく来てくれた。感謝する」と冒険者たちにまず礼を言っているので、私は声を出さず黙って父上の後ろに控えていた。
ジョシュアも黙っている。

父上からサラ殿と言われた少女が父上に状況などを聞いている現実に私は信じられない気持ちで事の成り行きを見守るしか出来ない。

その時、現場から走ってきた自領の騎士が「ゴールドドラゴンが出現しました」と父上に報告をしてきた。
騎士の顔色が悪い。
えっ?Sランクのゴールドドラゴンが出てきた?
こんなことがあるのか?
一大事どころではない!

それをサラ殿と言われた少女が冷静に受け止めS級冒険者のラルフ殿とロラン殿に討伐を指示して赤髪と薄灰色の髪の男性たちが戻ってきた騎士と共に現場に向かって行った。

ハーベント公爵令嬢の護衛と従者がS級冒険者のラルフ殿とA級冒険者のロラン殿だったなんて!
それだけでも驚きなのにそのサラ殿が父上に重症の負傷者を治療すると言っている。

最初「し、しかし…」と戸惑っていた父上もさらに死者が出てしまうかもしれない、助けられる者は助けるべきだというようなことをサラ殿に進言されて決心したように私にサラ殿を救護室のあるテントに案内するように指示してきた。

少し年配のゲオという冒険者を残して私の案内で、サラ殿とグレン殿が私について来る。

私はサラ殿とグレン殿を案内しながらも重症の負傷者も一応止血などされて治療されているはずだが、サラ殿はどうするつもりだろう?
でも父上はサラ殿に治療を依頼した。
それはいったいどういうことなのだろう?

考えている間にテントに着いてからサラ殿から私とグレン殿により重症者を見つけて教えて欲しいと言われて、グレン殿と私はテントの中に入っていき、まず命の危険のある重症者を探してサラ殿に声をかける。

一人目は我が領地の騎士で腹を裂かれて包帯を巻かれて寝転んでいるが、もう虫の息になっている者だった。
絶対助からないと思っていたのに、サラ殿が両手をかざすと騎士の傷を負った腹辺りに白い光が強く輝きあっという間に傷口が塞がっていった。

虫の息で顔色が白くなって身体も痙攣していた騎士の顔色がみるみる赤みをさし完全に傷口が塞がっていくのを目の前で見た。

その瀕死だった騎士は驚きで目を見開き「…あ、…あっあっ…」としか声を出せない状態だ。

「もう大丈夫ですよ。
でもかなりの出血をしていたはずだから、水分と果物など口に出来る物を食べて今はここでゆっくり休んで下さい」

とサラ殿がその騎士の肩に優しくゆっくり触れて告げている。

何てことだ?!
こんな凄い光属性魔法なんて見たことがない。
サラ殿という少女はいったい何者なんだ!?

「凄い…!」

私が思わず口から出た言葉だ。

「本当に凄いよ!こんな威力のある治癒魔法を初めて見たよ」

私の背後からジョシュアの感激した声が聞こえた。
ジョシュアも私たちについて来ていた。

そこでサラ殿はジョシュアのことをテンペスト伯爵令息と知っていて、現場に行っている治癒魔法を使える王国魔術師を数人呼び戻してきて欲しいとジョシュアに頼み、ジョシュアはすぐ走って行った。

サラ殿は私のこともすぐにメッケンナー侯爵令息と呼び、私のことも知っていた。

父上との会話を聞いていて、父上とも以前からの知り合いのようだし、父上が私に案内を指示したから私のことを知っていても不思議ではないが、それでもいち平民らしき冒険者がジョシュアを一目見てテンペスト伯爵令息だとわかるのだろうか? 
冒険者たちは王国騎士団や魔術師団の子息まで把握しているということなのだろうか?

しかしこれ程の治癒魔法が使える冒険者が今まで名も知られていないことが不思議でならない。

それからサラ殿は手足が欠損してしまった騎士や魔術師たちをすんなりと元に戻していく。

治癒魔法のその凄い威力にも驚くが、何人もに治癒魔法を使っているのにまったく問題なくケロッとしていることにも驚き、どれだけ膨大な魔力を持っているのだろう?

命の危険があった者たちもそうだが、命が助かっても手足が欠損した者たちは今後、騎士、魔術師としては生きていけないと絶望していただろうに、サラ殿に負傷する前の元の状態に戻してもらい驚愕しながらも涙を流しながら感謝の言葉を述べている。

サラ殿はその者たちに今までの健闘を称えた上で、これからも国には貴方たちが必要不可欠なのですよと説いて周り、救護テント内は号泣する兵士たちとサラ殿に対する歓声で盛り上がっていく。

重症者たちを全員治癒した後、ジョシュアが連れてきた治癒魔法が使える王国魔術師たち5人に後の指示をしたサラ殿は私たちと共に父上のところに戻った。

戻ると父上ともう一人の壮年の冒険者ゲオと打ち合わせをしていたようでサラ殿がどうなったか聞くと。

ラルフ殿とロラン殿がゴールドドラゴンをあっさりと倒して、他の高ランクの魔物たちを粗方倒してくれたと父上がサラ殿に報告している。

本当に良かったと思ったが、サラ殿が瘴気の沼を消しに行くと聞いて私はまた驚く。

サラ殿には何度驚かされるのだろう。
こんな現場でみなが緊張し、大人たちがみな危機に顔を強張らせているのにサラ殿は冷静に父上や冒険者ゲオの話を聞いて自分が瘴気の沼に向かうと言うのである。

この少女はいったい何者なんだ?
見た目は茶色の髪に茶色の瞳の平民によくある色見で冒険者なのだろうけど、こんなに緊迫した現場で私とそう変わらない年頃の少女が堂々と落ち着いて父上と渡り合い、自分の意見を澱みなく述べている。

冒険者としての経験の差なのか?

サラ殿が瘴気の沼に向かうと聞いてジョシュアも行くも言い出した。
何を言い出すんだ?
私もだが、ジョシュアもそんなに経験はないはずだ!
無謀過ぎる!
私はジョシュアを止めようとしたが、ジョシュアは自分が補助魔法のドランクネスを使えると言い出した。

ドランクネスという魔法はかかった魔物を酩酊状態にして動けなくすることが出来る。
ジョシュアは魔力も私より高く膨大で強いドランクネスが使えるからある程度高ランクの魔物にも効くだろう。

しかし経験がそんなにないジョシュアを連れて行くのは無謀ではないか?

でも冒険者のゲオ殿が「それはいいな」
と言う。

このままでいくとジョシュアもサラ殿と一緒に現場に向かうことになる。
経験のないジョシュアがどうなるか?無茶をするのか?実際の魔物を前にして動けなくなるのではないか?と不安になり、気付いたら私も行かせてぐださいと言ってしまった。

サラ殿はそんな私とジョシュアを見極めるように見つめてから「わかりました」と了承した。

父上から私とジョシュアに絶対サラ殿の指示に従うことを条件に許しを得た。

私はジョシュアが心配で名乗り出たのだが、ゲオ殿の話ではまたSランクの魔物が出現する可能性が高いと言っていた。
一度Sランクの魔物が出現すると、同じランクの魔物が出現しやすいのだそうだ。
不安や怖さがない訳ではなかった。

でも平然と父上とゲオ殿と作戦を話し合うサラ殿を見て、彼女の底知れなさと彼女が魔物と相対するのを間近で見たいとも思った。

本当に不思議な少女だ。

いざ作戦を実行する為にラルフ殿とロラン殿が呼び戻され、サラ殿や私たち、騎士、魔術師たちと瘴気の沼に向かうメンバーが選ばれ、ジョシュアのドランクネスをきっかけに瘴気の沼に向かって走り出した。

ラルフ殿とロラン殿がゴールドドラゴンを始め、多くの魔物を倒してくくれていたので、瘴気の沼の近くまで順調だった。

私とジョシュアはサラ殿の指示で騎士や魔術師たちの中、輪の中心近くにいて、襲ってくる魔物たちは騎士や魔術師たちが倒していくので周りに注意しながら自分を襲ってくる魔物だけに対処するように言われた。

ジョシュアはすぐ近くの魔物たちの動きを止める為にドランクネスをサラ殿の指示に従い使っていたが、私は瘴気の沼近くまで魔法を使うことなくやってくることが出来た。

このまま瘴気の沼を火属性魔法と土属性魔法で消してしまえば終わると安心しかけていた時、あと瘴気の沼まで30メートルくらいとなったところで私たちは一気に危機に陥った。

瘴気の沼からヌゥッと3体のSランクの魔物が現れたのだ。

ゴールドドラゴン1体とシルバードラゴンが2体が間を置くことなく私たちの前になり現れたのだ。



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