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第二章 目覚め
第73話 兄弟騎士
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ヴェルーカとじゃれ合うニックを眺めていると、いつもの声が聞こえた。
「おおっ?ニック!」
ふり返ると、厩舎の方からケリーが歩いて来るところだった。どうやら、ケリーとニックは知り合いのようだ。
「あ、ケリーさん!すみません、お邪魔しています」
ケリーはセロとニックを物珍しそうに見つめている。
「へえ!もう新しい友達ができたんだな。まさか、セロがニックと仲良くなるとは思ってなかったぜ」
ケリーはニックを紹介した。
「ほら、前に話しただろ?オレにサンドイッチを持って来てくれたり、作業を手伝ってくれる後輩がいるって。その後輩っていうのが、ニックなんだ」
「そうだったのか」
「そうそう。オレの代わりに騎乗してくれるおかげで、本当に助かってるんだ。けどさ、ニック。あんまり無理するなよ?最近は特に忙しそうにしてるし、何かあったら、すぐ言ってくれよな!」
「ありがとうございます、ケリーさん」
ニックの肩に腕を回して、ケリーは誇らしげに胸を張る。
「こう見えて、ニックは白馬の王子様なんだぜ?グレイに負けないくらい、いい馬に乗ってるんだ!」
「えっ、ちょっと……ケリーさん!」
ニックは恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「ボクは王子なんかじゃないですよ!それと、ボクの馬は白毛じゃなくて芦毛です!」
「はははっ!じゃあ、ニックは芦毛の王子様だな!」
「ええっ!どうして、そうなるんですか!それに、芦毛だとちょっと聞こえが悪くなるじゃないですか」
先輩騎士のおふざけに、ニックは困った顔をしている。
セロは当たり障りのない言葉で助け舟を出した。
「ケリーがいつも世話になっているみたいだな。彼を支えてくれて、ありがとう」
セロが礼を述べると、ニックは首と両手をブンブンと激しくふった。彼の大げさな動作が、セロの目に幼く映る。
「えっ、いえ、そんな!助けていただいているのは、ボクの方なんです!ボクが困っているときに声をかけてもらったり、解決策を提案してくださったり。ケリーさんがいなければ、乗り越えられなかったことは沢山ありますよ!」
ケリーは満面の笑みで、後輩の肩を揺さぶった。
「おまえってやつは、本当に素直でいい子だな!」
二人は同じ班に所属しているのではないかと思うほど、心から打ち解けている。
そんな彼らを見守っていると、ヴェルーカがセロの背中を鼻で小突いた。
ヴェルーカは何か言いたそうに、じいっとセロを見つめている。
「ああ、早く帰りたいんだな。すぐに手入れを終わらせるから、もう少し待ってくれ」
セロがタオルを手に取ると、ヴェルーカは制服の裾を噛んで、グイッと強く引っ張った。力任せな馬の悪戯に体勢を崩されながらも、セロは馬の口から裾を離させる。
放っておけば、制服を破られそうだ。
「ヴェルーカ、お遊びはあとにしてくれ」
ヴェルーカはちらりとセロを見て、すぐにまたちょっかいを出し始める。セロは馬の口を軽くいなしながら、タオルで牛柄の顔を拭いた。
「しつこいな……どうしたんだ?」
セロの問いに答えるかのように、ヴェルーカは耳をピンッと前に向けて大人しくなった。視線を追ったセロは、馬の言いたいことがわかった気がした。
少し離れた場所で、ケリーとニックが肩を並べて立っている。馬に乗る騎士たちを眺める彼らは、まるで兄弟みたいだ。
二人の穏やかな後ろ姿に、セロはふっと優しい笑みを漏らす。
「もしかして……嬉しいのか?」
セロが問うと、ヴェルーカはブルルッと鼻を鳴らした。
これまでは「偶然」の一言で片付けていたが、きっとそうじゃない。ヴェルーカには、セロの言葉も心もすべてお見通しなのだ。
「そうか。実は、僕も嬉しいんだ」
遠征で一人ぼっちになってしまったケリーが、ニックという新しい仲間を見つけられたことに、セロは心の底から安堵していた。
高く晴れ渡った青空の下。
午後の暖かい日差しのなかで、セロとヴェルーカは二人の騎士を見守っていた。
「おおっ?ニック!」
ふり返ると、厩舎の方からケリーが歩いて来るところだった。どうやら、ケリーとニックは知り合いのようだ。
「あ、ケリーさん!すみません、お邪魔しています」
ケリーはセロとニックを物珍しそうに見つめている。
「へえ!もう新しい友達ができたんだな。まさか、セロがニックと仲良くなるとは思ってなかったぜ」
ケリーはニックを紹介した。
「ほら、前に話しただろ?オレにサンドイッチを持って来てくれたり、作業を手伝ってくれる後輩がいるって。その後輩っていうのが、ニックなんだ」
「そうだったのか」
「そうそう。オレの代わりに騎乗してくれるおかげで、本当に助かってるんだ。けどさ、ニック。あんまり無理するなよ?最近は特に忙しそうにしてるし、何かあったら、すぐ言ってくれよな!」
「ありがとうございます、ケリーさん」
ニックの肩に腕を回して、ケリーは誇らしげに胸を張る。
「こう見えて、ニックは白馬の王子様なんだぜ?グレイに負けないくらい、いい馬に乗ってるんだ!」
「えっ、ちょっと……ケリーさん!」
ニックは恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「ボクは王子なんかじゃないですよ!それと、ボクの馬は白毛じゃなくて芦毛です!」
「はははっ!じゃあ、ニックは芦毛の王子様だな!」
「ええっ!どうして、そうなるんですか!それに、芦毛だとちょっと聞こえが悪くなるじゃないですか」
先輩騎士のおふざけに、ニックは困った顔をしている。
セロは当たり障りのない言葉で助け舟を出した。
「ケリーがいつも世話になっているみたいだな。彼を支えてくれて、ありがとう」
セロが礼を述べると、ニックは首と両手をブンブンと激しくふった。彼の大げさな動作が、セロの目に幼く映る。
「えっ、いえ、そんな!助けていただいているのは、ボクの方なんです!ボクが困っているときに声をかけてもらったり、解決策を提案してくださったり。ケリーさんがいなければ、乗り越えられなかったことは沢山ありますよ!」
ケリーは満面の笑みで、後輩の肩を揺さぶった。
「おまえってやつは、本当に素直でいい子だな!」
二人は同じ班に所属しているのではないかと思うほど、心から打ち解けている。
そんな彼らを見守っていると、ヴェルーカがセロの背中を鼻で小突いた。
ヴェルーカは何か言いたそうに、じいっとセロを見つめている。
「ああ、早く帰りたいんだな。すぐに手入れを終わらせるから、もう少し待ってくれ」
セロがタオルを手に取ると、ヴェルーカは制服の裾を噛んで、グイッと強く引っ張った。力任せな馬の悪戯に体勢を崩されながらも、セロは馬の口から裾を離させる。
放っておけば、制服を破られそうだ。
「ヴェルーカ、お遊びはあとにしてくれ」
ヴェルーカはちらりとセロを見て、すぐにまたちょっかいを出し始める。セロは馬の口を軽くいなしながら、タオルで牛柄の顔を拭いた。
「しつこいな……どうしたんだ?」
セロの問いに答えるかのように、ヴェルーカは耳をピンッと前に向けて大人しくなった。視線を追ったセロは、馬の言いたいことがわかった気がした。
少し離れた場所で、ケリーとニックが肩を並べて立っている。馬に乗る騎士たちを眺める彼らは、まるで兄弟みたいだ。
二人の穏やかな後ろ姿に、セロはふっと優しい笑みを漏らす。
「もしかして……嬉しいのか?」
セロが問うと、ヴェルーカはブルルッと鼻を鳴らした。
これまでは「偶然」の一言で片付けていたが、きっとそうじゃない。ヴェルーカには、セロの言葉も心もすべてお見通しなのだ。
「そうか。実は、僕も嬉しいんだ」
遠征で一人ぼっちになってしまったケリーが、ニックという新しい仲間を見つけられたことに、セロは心の底から安堵していた。
高く晴れ渡った青空の下。
午後の暖かい日差しのなかで、セロとヴェルーカは二人の騎士を見守っていた。
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