ぼくらの森

かつて、この大陸には魔界軍と戦う二人の英雄がいた。青いドラゴンに乗って空を駆けるドラゴン乗り「空の英雄ジアン・オルティス」と、白黒斑毛の小さな馬に乗る騎士「地上の英雄レイ・ホートモンド」だ。
 地上の征服を企む魔界軍に立ち向かう彼らのおかげで、今日もこの国は守られている。

 ……誰もがそう信じていた。

 しかし、その平和は長く続かなかった。魔界軍に止めを刺すべく出陣した遠征軍が消息を断ち、ついに誰一人として帰って来なかったのだ。

 大草原遠征の指揮を取っていた二大英雄はたちまち「逃げ出した英雄」という汚名に染まり、二人を失った地上は、再び魔界軍の脅威にさらされることとなる。

 ――あの遠征から四年。

 人々の記憶から英雄の存在が薄れつつある今、一人の青年に大陸の運命が託されようとしていた。
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