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第一章
第9話 解毒草って何?
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「もふちゃん、それで解毒草の詳細ってわかる?」
『ハイ、ハルカ。解毒草。湿り気のない高い場所に咲き、赤い花をつける植物です。特徴的な匂いを発します。この辺りでもよく見られる比較的珍しくない植物です』
「特徴的な匂い?」
「なぁ、ハルカ。もふちゃんって誰だ? スライムがライム、よくわからん獣型の小さい魔物がソラだろ? 他に誰が?」
「あ、そっか。えっと、これがもふちゃん。色々教えてくれる私のスキル」
「魔物使いのスキル? この光の粒が? 教えてくれるって、スキルに人格があるのか?」
「え、ないの?」
「いや、聞いた事ない。でも、もしかしてハルカはただの魔物使いのスキルじゃない特別なものなのかもしれないな」
するどい。本当は魔物使いではなくて特別も特別、回復魔法も調合も出来ちゃうスキルだって知られたら、私売られちゃうのかな。カナタはそんな事しないよね。そう思いつつも口にすることは出来なかった。だって、せっかく歩き回る事が出来る体になったんだもの。ずっと部屋に閉じ籠もるのはもうしたくない――。
「それで、匂いって何だ?」
「あ、えっとね。解毒薬の材料解毒草は特徴的な匂いがあるんだって」
「そうなのか。で、どんな匂いだ?」
「もふちゃん」
『ハイ、ハルカ。とても強い匂いで獣人族が忌避する可能性があります。甘い匂い、ハルカの世界の桃が該当します』
「桃、桃の匂いかぁ」
お見舞いでたまに叔父さんや叔母さんがフルーツいっぱいのカゴもってきてくれてたなぁ。食べる事なくお母さんかお父さんが持って帰ってしまったけれど。
匂いはわかる。わかるけど。
「カナタ、桃の匂いってわかる?」
「ももの匂い?」
「こういうカタチの果物、ないかなぁ」
指でハートの形を作る。
「か、かわ……」
「皮?」
「ななな、何でもない!」
カナタなんで、顔が赤くなるんだろう?
「そういう形の果物は見た事ないな」
「そっか。その果物の匂いみたいなんだけど。うーん」
「どんな匂いなんだ?」
「んと、甘い匂い」
「甘い……か。俺が甘いって思う匂いを探してみる」
「え?」
ふんふんと鼻を鳴らし、地面に顔を近づけ、立ち上がり空中も探るように顔を動かす。少しして、カナタはこっちと指を指した。小高い丘の上。ぐるっと回り込めばいけるかな? という場所。
大きな木もなく風通りは良さそうな高い場所。
条件は合ってそうだ。
私も鼻を上に向け空気を吸い込んでみた。うん、美味しい空気!
「よくわかるね。もしかして、すごく鼻がいい?」
「鼻も耳もいいぞ。なんたって村一番強い父ちゃんの息子だからな!」
「そっか」
なるほど、だから昨日小さな声まで拾ってたんだ。
見た目は人だけど、犬や猫みたいに耳や鼻がきくのかな。
「でも、この匂い、確か……」
「ん、行ってみようよ」
「……そうだな」
何か思い出そうとしてるカナタの手を引っぱる。
そういえば、もふちゃんも何か言ってたような。
答えはすぐだった。少し進んだ先で、あっ……と思い出した。
「ハルカ、ごめん。これ以上無理だ」
「カナタ? どうしたの?」
「匂いが強すぎてくらくらする。目を回しそうなんだ」
「あ、そっか。もふちゃんが言ってた――」
『ハイ、ハルカ。獣人族にはキツすぎる匂いになります。ただし、この匂いは地面に生えている時のみ発するので、切り離すか抜いてしまえば止まります』
「わかった。じゃあ、私だけで行ってみるね」
「あぁ、だけど何かあれば呼べよ。すぐ行くから」
「無茶しなくても大丈夫だよ。草をとってくるだけだし、そこで待っててね」
『そうラム、ハルカはライムとソラがついてるラム。お前のでる幕はないラム!』
『ついてるモャー!』
自信アリげに胸を張る二人。あ、ライムに胸はないけど、それっぽいとこを張ってる。
ライムとソラに護衛されながら、あと少しで着く丘の上を目指す。
桃みたいな甘い匂いが漂ってきた。
「あ、あったー!!」
丘の上のところに赤い花の咲いてる草がいっぱいあった。
あれだけあれば、解毒薬作れるよね。
近寄ってしゃがんで見てみる。これであってるよね?
「もふちゃん、これで大丈夫そう?」
『ハイ、ハルカ。解毒草。肺毒症に効果がある解毒薬の材料になる種です。必要量はハルカの一握り相当です』
「よし、じゃあ少し多めにもらって帰ろうか。ライム、私が使わなかった分はあそこに――――」
視線をライムに向けると、伸びて私の前で壁になっていた。ソラはその向こう側で何かがくることに構えている。
「どうしたの? 二人とも」
『ハルカ、魔物がくるラム』
『怒ってるモャ』
「え、え?」
ライムグリーンの壁の向こうに女の人が立っていた。下半身に大きな花びらみたいなドレスをつけていて、その下から蔓が何本も出ている。
『ハルカ、アルラウネです』
「え、アルラウネ? って、確か植物型の魔物の名前だよね」
『ハイ、ハルカ。その認識で合っています』
『ワタシの花畑――――』
もふちゃんともライムともソラとも違う、きれいな高い音の声が響いた。もしかして、アルラウネの声なのかな?
『ワタシの花畑を荒らさナイでっ!!』
「えっ、アルラウネさんの花畑なの!?」
私は草にかけようとしていた手を引き上げる。
立ち上がって謝ろうとすると、目の前でソラがアルラウネから伸びてきた蔓で叩かれ、数メートル飛ばされた。
「ソラっ!!!!」
『ハイ、ハルカ。解毒草。湿り気のない高い場所に咲き、赤い花をつける植物です。特徴的な匂いを発します。この辺りでもよく見られる比較的珍しくない植物です』
「特徴的な匂い?」
「なぁ、ハルカ。もふちゃんって誰だ? スライムがライム、よくわからん獣型の小さい魔物がソラだろ? 他に誰が?」
「あ、そっか。えっと、これがもふちゃん。色々教えてくれる私のスキル」
「魔物使いのスキル? この光の粒が? 教えてくれるって、スキルに人格があるのか?」
「え、ないの?」
「いや、聞いた事ない。でも、もしかしてハルカはただの魔物使いのスキルじゃない特別なものなのかもしれないな」
するどい。本当は魔物使いではなくて特別も特別、回復魔法も調合も出来ちゃうスキルだって知られたら、私売られちゃうのかな。カナタはそんな事しないよね。そう思いつつも口にすることは出来なかった。だって、せっかく歩き回る事が出来る体になったんだもの。ずっと部屋に閉じ籠もるのはもうしたくない――。
「それで、匂いって何だ?」
「あ、えっとね。解毒薬の材料解毒草は特徴的な匂いがあるんだって」
「そうなのか。で、どんな匂いだ?」
「もふちゃん」
『ハイ、ハルカ。とても強い匂いで獣人族が忌避する可能性があります。甘い匂い、ハルカの世界の桃が該当します』
「桃、桃の匂いかぁ」
お見舞いでたまに叔父さんや叔母さんがフルーツいっぱいのカゴもってきてくれてたなぁ。食べる事なくお母さんかお父さんが持って帰ってしまったけれど。
匂いはわかる。わかるけど。
「カナタ、桃の匂いってわかる?」
「ももの匂い?」
「こういうカタチの果物、ないかなぁ」
指でハートの形を作る。
「か、かわ……」
「皮?」
「ななな、何でもない!」
カナタなんで、顔が赤くなるんだろう?
「そういう形の果物は見た事ないな」
「そっか。その果物の匂いみたいなんだけど。うーん」
「どんな匂いなんだ?」
「んと、甘い匂い」
「甘い……か。俺が甘いって思う匂いを探してみる」
「え?」
ふんふんと鼻を鳴らし、地面に顔を近づけ、立ち上がり空中も探るように顔を動かす。少しして、カナタはこっちと指を指した。小高い丘の上。ぐるっと回り込めばいけるかな? という場所。
大きな木もなく風通りは良さそうな高い場所。
条件は合ってそうだ。
私も鼻を上に向け空気を吸い込んでみた。うん、美味しい空気!
「よくわかるね。もしかして、すごく鼻がいい?」
「鼻も耳もいいぞ。なんたって村一番強い父ちゃんの息子だからな!」
「そっか」
なるほど、だから昨日小さな声まで拾ってたんだ。
見た目は人だけど、犬や猫みたいに耳や鼻がきくのかな。
「でも、この匂い、確か……」
「ん、行ってみようよ」
「……そうだな」
何か思い出そうとしてるカナタの手を引っぱる。
そういえば、もふちゃんも何か言ってたような。
答えはすぐだった。少し進んだ先で、あっ……と思い出した。
「ハルカ、ごめん。これ以上無理だ」
「カナタ? どうしたの?」
「匂いが強すぎてくらくらする。目を回しそうなんだ」
「あ、そっか。もふちゃんが言ってた――」
『ハイ、ハルカ。獣人族にはキツすぎる匂いになります。ただし、この匂いは地面に生えている時のみ発するので、切り離すか抜いてしまえば止まります』
「わかった。じゃあ、私だけで行ってみるね」
「あぁ、だけど何かあれば呼べよ。すぐ行くから」
「無茶しなくても大丈夫だよ。草をとってくるだけだし、そこで待っててね」
『そうラム、ハルカはライムとソラがついてるラム。お前のでる幕はないラム!』
『ついてるモャー!』
自信アリげに胸を張る二人。あ、ライムに胸はないけど、それっぽいとこを張ってる。
ライムとソラに護衛されながら、あと少しで着く丘の上を目指す。
桃みたいな甘い匂いが漂ってきた。
「あ、あったー!!」
丘の上のところに赤い花の咲いてる草がいっぱいあった。
あれだけあれば、解毒薬作れるよね。
近寄ってしゃがんで見てみる。これであってるよね?
「もふちゃん、これで大丈夫そう?」
『ハイ、ハルカ。解毒草。肺毒症に効果がある解毒薬の材料になる種です。必要量はハルカの一握り相当です』
「よし、じゃあ少し多めにもらって帰ろうか。ライム、私が使わなかった分はあそこに――――」
視線をライムに向けると、伸びて私の前で壁になっていた。ソラはその向こう側で何かがくることに構えている。
「どうしたの? 二人とも」
『ハルカ、魔物がくるラム』
『怒ってるモャ』
「え、え?」
ライムグリーンの壁の向こうに女の人が立っていた。下半身に大きな花びらみたいなドレスをつけていて、その下から蔓が何本も出ている。
『ハルカ、アルラウネです』
「え、アルラウネ? って、確か植物型の魔物の名前だよね」
『ハイ、ハルカ。その認識で合っています』
『ワタシの花畑――――』
もふちゃんともライムともソラとも違う、きれいな高い音の声が響いた。もしかして、アルラウネの声なのかな?
『ワタシの花畑を荒らさナイでっ!!』
「えっ、アルラウネさんの花畑なの!?」
私は草にかけようとしていた手を引き上げる。
立ち上がって謝ろうとすると、目の前でソラがアルラウネから伸びてきた蔓で叩かれ、数メートル飛ばされた。
「ソラっ!!!!」
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