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第一章
第39話 復活治療の条件って何?
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「……イーシャ」
「あ、目が覚めましたか? びっくりしました。いきなり眠っちゃって……」
ヒナツの目が開いた。声をかけるとちょうど瞳の端から涙が一筋流れた。私はそれを袖でそっと拭い取った。
「君は? たしかウルズさんのうちにいた――、そうだ! イーシャは!? ――ッ!?」
「あぁ、ごめんなさい。カナタ、まだ取っちゃダメ? これ」
「ダメだ。いくら、催眠状態だったからって、やったことは悪い事だ。それにまた悪い事しだすかもだろ!」
ヒナツの体や足、腕、口にはカナタ達がつけられていた拘束具や縄がつけられていた。
視診によればヒナツの状態異常も消えているし、問題はなさそうなんだけど。念の為だそうだ。
ここは彼の家。ウルズさんの家より小さくて物が少ない。一人暮らし用だからだろうか。
「父ちゃん呼んでくる」
「うん」
ウルズさん達はヒナツと一緒にいた、あのぐるぐる巻きにした獣人達を見張っていた。
「――取らなくて結構だ。僕は自分が何をしたか覚えている。何をされたって仕方がない。僕は、村に毒を撒いてしまったんだ……」
ヒナツはまた目を閉じた。
「イーシャ、助けるどころか僕がこの手で……」
「あの――! ヒナツさん。イーシャさんは……生きてます」
「ハルカちゃん――」
ウルズさんがちょうどはいってきた。そして、大人二人が同時に時を止めた。
少し間が空いて、先に動いたのはウルズさんだった。
「本当か? イーシャちゃんは生きてるのか?」
「え、あの、はい。ただ、少し問題があっ――」
「聞いたか!! ヒナツ。生きてる。イーシャちゃんが生きてるんだぞ!!」
ウルズさんがとても喜んでいた。
「良かったな! ヒナツ。そうだ、それなら、ジューイに言って喜ばせてあげなけりゃ。ハルカちゃん、イーシャは今どこに?」
「あの、だから、えっと――」
「ハルカちゃん、大事な事なんだ。イーシャが生きてれば、ヒナツは何もしてない。だって、そうだろ。この村にはもうあの症状の子どもはいない。オレ達は、まー、殴られはしたが獣人の喧嘩なんて良くあることだ。だから、イーシャさえ無事なら――」
◇◇◇
「イーシャさんはここにいます」
再び村からだいぶ上にある神様の聖域を訪れた。
キラキラを指さし私は説明する。
「ハルカちゃん、ここは……。ここに入ったら、もう」
「生きてるんです。この中で!」
「そんなバカな」
ぐるぐるに縄をかけられ、繋がれたヒナツはウルズさんとカナタに連れられてここにいた。
痛そうだし取っても大丈夫だと思うのにヒナツはこのままでいいを継続している。
なんだか難しい。
「イーシャさんのスキル、神の写身。それに呼ばれたのが私で、その時生まれたスキルがこのもふちゃんなんです」
私が手をかざすとその上をもふちゃんは踊るように飛び回る。
「イーシャさんはスキルを使った反動で心と体が別れてしまって、ここから動けなくなってしまってるんです。今は別々の心と体を神様が維持してくれてます。その状態を治療すればイーシャさんはここから出られるそうなんです」
「……証拠はあるのか?」
「――証拠がないと信じられませんか?」
「いや、オレはハルカちゃんという奇跡を見たから信じられるんだが、ヒナツは」
「少しだけ待って下さい。もふちゃん、イーシャさん呼んでも大丈夫?」
『ハイ、ハルカ。イーシャを呼び出します』
キラキラがここまで伸びてくる。そしてそれは私の体を包み込んでいく。
「イーシャだ……」
「あれは夢ではなかった――。イーシャ、すまない!! 僕のせいでっ!!」
「ごめんなさい。イーシャさんの心は入ってないんです。これは神様が維持してくれてる体の方で……。イーシャさんが貸してくれてるんです」
無理をさせてはいけないと思い、もふちゃんにお願いして体をすぐに返す。
「何をすればいい。どうすれば、イーシャは帰ってこられるんだ!?」
「ヒナツ、落ち着け。ハルカちゃんが驚いちまうだろ」
ハッと気がつき、ヒナツは静かになった。
前は村の人達を諌めてたのに、今度はヒナツが諌められている。
それだけイーシャの事を思ってくれているなら、きっと伝えても大丈夫だろう。
「イーシャさんを救うためには、私がレベルをいっぱいあげないといけないんです。だからこれから――――」
「あ、目が覚めましたか? びっくりしました。いきなり眠っちゃって……」
ヒナツの目が開いた。声をかけるとちょうど瞳の端から涙が一筋流れた。私はそれを袖でそっと拭い取った。
「君は? たしかウルズさんのうちにいた――、そうだ! イーシャは!? ――ッ!?」
「あぁ、ごめんなさい。カナタ、まだ取っちゃダメ? これ」
「ダメだ。いくら、催眠状態だったからって、やったことは悪い事だ。それにまた悪い事しだすかもだろ!」
ヒナツの体や足、腕、口にはカナタ達がつけられていた拘束具や縄がつけられていた。
視診によればヒナツの状態異常も消えているし、問題はなさそうなんだけど。念の為だそうだ。
ここは彼の家。ウルズさんの家より小さくて物が少ない。一人暮らし用だからだろうか。
「父ちゃん呼んでくる」
「うん」
ウルズさん達はヒナツと一緒にいた、あのぐるぐる巻きにした獣人達を見張っていた。
「――取らなくて結構だ。僕は自分が何をしたか覚えている。何をされたって仕方がない。僕は、村に毒を撒いてしまったんだ……」
ヒナツはまた目を閉じた。
「イーシャ、助けるどころか僕がこの手で……」
「あの――! ヒナツさん。イーシャさんは……生きてます」
「ハルカちゃん――」
ウルズさんがちょうどはいってきた。そして、大人二人が同時に時を止めた。
少し間が空いて、先に動いたのはウルズさんだった。
「本当か? イーシャちゃんは生きてるのか?」
「え、あの、はい。ただ、少し問題があっ――」
「聞いたか!! ヒナツ。生きてる。イーシャちゃんが生きてるんだぞ!!」
ウルズさんがとても喜んでいた。
「良かったな! ヒナツ。そうだ、それなら、ジューイに言って喜ばせてあげなけりゃ。ハルカちゃん、イーシャは今どこに?」
「あの、だから、えっと――」
「ハルカちゃん、大事な事なんだ。イーシャが生きてれば、ヒナツは何もしてない。だって、そうだろ。この村にはもうあの症状の子どもはいない。オレ達は、まー、殴られはしたが獣人の喧嘩なんて良くあることだ。だから、イーシャさえ無事なら――」
◇◇◇
「イーシャさんはここにいます」
再び村からだいぶ上にある神様の聖域を訪れた。
キラキラを指さし私は説明する。
「ハルカちゃん、ここは……。ここに入ったら、もう」
「生きてるんです。この中で!」
「そんなバカな」
ぐるぐるに縄をかけられ、繋がれたヒナツはウルズさんとカナタに連れられてここにいた。
痛そうだし取っても大丈夫だと思うのにヒナツはこのままでいいを継続している。
なんだか難しい。
「イーシャさんのスキル、神の写身。それに呼ばれたのが私で、その時生まれたスキルがこのもふちゃんなんです」
私が手をかざすとその上をもふちゃんは踊るように飛び回る。
「イーシャさんはスキルを使った反動で心と体が別れてしまって、ここから動けなくなってしまってるんです。今は別々の心と体を神様が維持してくれてます。その状態を治療すればイーシャさんはここから出られるそうなんです」
「……証拠はあるのか?」
「――証拠がないと信じられませんか?」
「いや、オレはハルカちゃんという奇跡を見たから信じられるんだが、ヒナツは」
「少しだけ待って下さい。もふちゃん、イーシャさん呼んでも大丈夫?」
『ハイ、ハルカ。イーシャを呼び出します』
キラキラがここまで伸びてくる。そしてそれは私の体を包み込んでいく。
「イーシャだ……」
「あれは夢ではなかった――。イーシャ、すまない!! 僕のせいでっ!!」
「ごめんなさい。イーシャさんの心は入ってないんです。これは神様が維持してくれてる体の方で……。イーシャさんが貸してくれてるんです」
無理をさせてはいけないと思い、もふちゃんにお願いして体をすぐに返す。
「何をすればいい。どうすれば、イーシャは帰ってこられるんだ!?」
「ヒナツ、落ち着け。ハルカちゃんが驚いちまうだろ」
ハッと気がつき、ヒナツは静かになった。
前は村の人達を諌めてたのに、今度はヒナツが諌められている。
それだけイーシャの事を思ってくれているなら、きっと伝えても大丈夫だろう。
「イーシャさんを救うためには、私がレベルをいっぱいあげないといけないんです。だからこれから――――」
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