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第一章 聖女と竜
第2話 見せられる?
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男にかけたマントがはらりと落ちて何かを見てしまったせいだろう。私は気を失ってしまった。――たぶん。
……あったかい。
お父さんにしてもらったおんぶみたい。横にはお母さんがいて、笑ってて。会いたいな。お父さん、お母さん。もうどこにもいないけれど。
「おい、大丈夫か?」
ぐわんぐわんと容赦なく体を揺すられる。
「何するのよ!!」
せっかくお父さんとお母さんに会えたのに、消されてしまった。言い様のない怒りを揺すった犯人に目を瞑ったままぶつける。非力パンチだ。
「からの、追加頭突きぃぃ!!」
ふにゅと手ではなく唇が何かにあたる。私は目を開けると、金色の瞳と目があった。まって、これって、これって!?
「✕✕○○✕△!!??」
言葉にならない言葉で叫ぶ。
私の拳は空へと伸びて、なぜか口は彼と口付けを交わしていた。わた、わた、私のファーストキスがぁぁぁ。泣きそうになりながら目を白黒させていると彼は後ろに下がって、眉をひそめながら喋りだした。
「もう大丈夫か?」
「え?」
「あのあと、いきなり倒れただろう? 大きな腹の虫の音と一緒に」
「は?」
知らない。知らない。だって、私。
ぐぅぅぅとお腹がなる。
「お腹、空いてます……」
そうよね。今までずっと食べてたんだもの。人は急に変われるわけなかった。
「エマー」
「ルニア!」
食べ物(赤くて丸い、果物?)らしき物を手に持ってルニアがかけよってきた。ありがたい。ちょうどお腹がすいてたの。
あれ、というかここどこ?
「良かった。わたしひとりでおいていかれたかと思ったよぉぉぉ」
ルニア、そんなこと言って、あの時私を盾にしようとしなかったっけ? まったく。
「あの、ここはどこ?」
「あ、あぁ、ここはボクの城だ」
…………? 城? 城って言いました? この人。
ボロボロの壁面。崩れそうな窓枠。どれもこれも古い壊れかけの家具。
うん、私が知ってるお城じゃない! 整った家具、しっかり磨かれた床、ホコリひとつ見当たらない廊下はどこ。
「じゃあ、あなたは王子様ってわけ? 信じられると思う? だって、レディに脂肪なんて言葉を投げ掛ける男がそんなわけ」
自分で言ってダメージを受ける。私の体は毎日毎日続く浄化のストレスで確かにひどい有り様だった。
そして今もルニアが持ってきてくれた食べ物を無自覚に口に運んでいた。
ぽろぽろと涙が出てくる。
醜く肥え太ったお前と言われた言葉が何度も頭に浮かんでくる。
「大丈夫! 一緒に痩せよう! それで王子を見返してやろうよ」
「ルニアぁ。でもあなたは痩せる必要はないじゃなぃぃぃぃ」
「なぁ、ボクの話はもういいか? どうせ信じないんだろう?」
「あ、まって。エマに説明してあげないと。ほら気絶してたからさ」
「説明?」
何を説明してもらえるんだろう。私はルニアのもってきた食べ物を食べながら耳を傾けた。
「あのな、まずここは彼の家で間違いない。エマが気絶したから、おぶって連れてきてくれたんだ。彼が」
う、あれは夢じゃなかったんだ。食べ物がのどにつまりかけたので胸をぐーでトントンする。
それはきちんとお礼しておかないとよね。
「ありがとう。えっと……」
そうだ。彼について何も知らない。なんて名前なのかも。
「あ、あぁ、そうか。ボクはブレイド。気軽にブレイドって呼んでくれていいよ」
「ありがとう。ブレイド。それで説明って?」
聞くのか? と、疑うような視線のあと彼は小さくため息をついた。
「ここに国があったのは知っているか?」
「え、えぇ。でも瘴気がひどくなって確か国ごと移動したはずでは。えっと……」
何年前だっただろうか。最近の出来事であったのは聞いたけれど、私はこもりきりで瘴気の浄化をしていたから外のことには疎くなってしまっていた。
「三年前だ。確かにほぼすべての国民は王とともに山むこうへと移動した。移動に伴って、戦争になったり、色々あった。瘴気が消えた時のためにここに残された者達もいたんだ。それがボク。ボクは特殊な力があったから。だけどそのせいで臣下達が道連れに……」
「特殊な力?」
聞き返した時、何かがぺとりぺとりと近付いてきた。
ぬぅと顔を出したのは角があり皮膚の色が緑色の生き物だった。
「魔物!?」
私が叫ぶとむこうも驚いたのかボロボロの壁の陰にかくれてしまった。
「大きな声をださないでくれ。シル、出たんだね」
シルと呼ばれた生き物はこくこくと頷いた。返事はないけれど言葉はわかるのだろうか。
「ちょうどいい。見せよう」
ブレイドはシルの元へと向かうと私達についてくるようにと手で合図した。
「何? 何を見せるつもり?」
言葉で説明してくれていいのだけど。
「見たら驚くかも」
「だから、何をーー!?」
ルニアにぐいぐいと押され、私は彼の後を追いかける事になった。
……あったかい。
お父さんにしてもらったおんぶみたい。横にはお母さんがいて、笑ってて。会いたいな。お父さん、お母さん。もうどこにもいないけれど。
「おい、大丈夫か?」
ぐわんぐわんと容赦なく体を揺すられる。
「何するのよ!!」
せっかくお父さんとお母さんに会えたのに、消されてしまった。言い様のない怒りを揺すった犯人に目を瞑ったままぶつける。非力パンチだ。
「からの、追加頭突きぃぃ!!」
ふにゅと手ではなく唇が何かにあたる。私は目を開けると、金色の瞳と目があった。まって、これって、これって!?
「✕✕○○✕△!!??」
言葉にならない言葉で叫ぶ。
私の拳は空へと伸びて、なぜか口は彼と口付けを交わしていた。わた、わた、私のファーストキスがぁぁぁ。泣きそうになりながら目を白黒させていると彼は後ろに下がって、眉をひそめながら喋りだした。
「もう大丈夫か?」
「え?」
「あのあと、いきなり倒れただろう? 大きな腹の虫の音と一緒に」
「は?」
知らない。知らない。だって、私。
ぐぅぅぅとお腹がなる。
「お腹、空いてます……」
そうよね。今までずっと食べてたんだもの。人は急に変われるわけなかった。
「エマー」
「ルニア!」
食べ物(赤くて丸い、果物?)らしき物を手に持ってルニアがかけよってきた。ありがたい。ちょうどお腹がすいてたの。
あれ、というかここどこ?
「良かった。わたしひとりでおいていかれたかと思ったよぉぉぉ」
ルニア、そんなこと言って、あの時私を盾にしようとしなかったっけ? まったく。
「あの、ここはどこ?」
「あ、あぁ、ここはボクの城だ」
…………? 城? 城って言いました? この人。
ボロボロの壁面。崩れそうな窓枠。どれもこれも古い壊れかけの家具。
うん、私が知ってるお城じゃない! 整った家具、しっかり磨かれた床、ホコリひとつ見当たらない廊下はどこ。
「じゃあ、あなたは王子様ってわけ? 信じられると思う? だって、レディに脂肪なんて言葉を投げ掛ける男がそんなわけ」
自分で言ってダメージを受ける。私の体は毎日毎日続く浄化のストレスで確かにひどい有り様だった。
そして今もルニアが持ってきてくれた食べ物を無自覚に口に運んでいた。
ぽろぽろと涙が出てくる。
醜く肥え太ったお前と言われた言葉が何度も頭に浮かんでくる。
「大丈夫! 一緒に痩せよう! それで王子を見返してやろうよ」
「ルニアぁ。でもあなたは痩せる必要はないじゃなぃぃぃぃ」
「なぁ、ボクの話はもういいか? どうせ信じないんだろう?」
「あ、まって。エマに説明してあげないと。ほら気絶してたからさ」
「説明?」
何を説明してもらえるんだろう。私はルニアのもってきた食べ物を食べながら耳を傾けた。
「あのな、まずここは彼の家で間違いない。エマが気絶したから、おぶって連れてきてくれたんだ。彼が」
う、あれは夢じゃなかったんだ。食べ物がのどにつまりかけたので胸をぐーでトントンする。
それはきちんとお礼しておかないとよね。
「ありがとう。えっと……」
そうだ。彼について何も知らない。なんて名前なのかも。
「あ、あぁ、そうか。ボクはブレイド。気軽にブレイドって呼んでくれていいよ」
「ありがとう。ブレイド。それで説明って?」
聞くのか? と、疑うような視線のあと彼は小さくため息をついた。
「ここに国があったのは知っているか?」
「え、えぇ。でも瘴気がひどくなって確か国ごと移動したはずでは。えっと……」
何年前だっただろうか。最近の出来事であったのは聞いたけれど、私はこもりきりで瘴気の浄化をしていたから外のことには疎くなってしまっていた。
「三年前だ。確かにほぼすべての国民は王とともに山むこうへと移動した。移動に伴って、戦争になったり、色々あった。瘴気が消えた時のためにここに残された者達もいたんだ。それがボク。ボクは特殊な力があったから。だけどそのせいで臣下達が道連れに……」
「特殊な力?」
聞き返した時、何かがぺとりぺとりと近付いてきた。
ぬぅと顔を出したのは角があり皮膚の色が緑色の生き物だった。
「魔物!?」
私が叫ぶとむこうも驚いたのかボロボロの壁の陰にかくれてしまった。
「大きな声をださないでくれ。シル、出たんだね」
シルと呼ばれた生き物はこくこくと頷いた。返事はないけれど言葉はわかるのだろうか。
「ちょうどいい。見せよう」
ブレイドはシルの元へと向かうと私達についてくるようにと手で合図した。
「何? 何を見せるつもり?」
言葉で説明してくれていいのだけど。
「見たら驚くかも」
「だから、何をーー!?」
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