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第60話 魔王見透かされる
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犬の言葉に四人が耳を傾ける。
「ワシはケルベロス。門を守ると同時に門を司るモノじゃ。転生してびっくりしたがすぐに前世を思い出し主を探したわん」
そうか、探してる最中に妹に拾われてしまったのか。飼い犬を演じながらトワイライトを探すのは大変だっただろう。
「主のそばに転生魔法を行使した中心人物がいたわん」
ん、トワイライトもオレ達の近くに住んでるのか?
マユの事だよな。
「そいつに噛みつき、魔力を吸い続けたわん。転生の時に通った道はワシがすべて腹に収めておいたからの。あとは複雑に絡み合った二つの魔法の回収解析さえすれば再びあの地へと飛べるはずだわん。一つは常に回収出来ていたがもう一つはワシのトラウマのせいでなかなか回収出来なかったんじゃが」
ん、二つの魔力? おい、まて真由にまさか噛みついてたのか!? 常に!? オレが担当する前の散歩なら父さんだな。くそ、目の前で噛まれる真由の事放っておいたのか!?
「だが、やっとその魔力を取り込めた。操られている使い魔達から回収したわん」
ん、ん? 話がわからないぞ。もっと簡潔にだな。
「ただ、この口のサイズじゃ。あぁ、でもサイズだけの問題でもなかったの。人の体は通れぬ。あちらに行けるのは魂のみじゃ」
四人の沈黙が続く。
「すでに魂だけの存在になった使い魔達は帰りたいと願ったものを送ったわん。魂に合う体に転生しておるじゃろうて」
「ふざけるな!! また転生だと!? 僕は、僕は……」
「ヒイロ」
「僕は病気の妹のために戦いに出たんだ。帰って、会ったところで転生だと……。記憶、記憶は!?」
「ワシの観測できる範疇を超えておるわん」
「…………」
池照、向こうに家族がいたのか。
「マユ様、マユ様が魔法を使ったんですよね。なら向こうにだってもう一度」
マユはふるふると首をふり否定する。
「ごめんなさい。私の力、池照君に渡ってるみたいにいくつか無くなってしまっているの。同じようにするにはきっと」
「勇者、さっきも言ったがあれはおぬしのちからだけじゃなくもう一人の強い願いと暴走した魔力が混ざってしまった結果わん。一人で再現は無理じゃろ。再現したところでまた違う世界にでも飛ばされるのがオチじゃろうな、わん」
「だからって……」
マユが考え込んでいると、池照がふふっと笑った。
「おい、犬。向こうに戻ったら僕はどうなるんだ」
魂しか通れない。なら、今の池照やオレ達がどうなるのか。オレも気になる。
「お前は完全に分離出来そうわん。だから、こちらの人間として生まれたお前と魂だけの前のお前が出来て、片方だけが向こうに渡る事になるわん」
「……そうか。なら送ってもらえないか」
「池照君!?」
「池照!?」
「僕は、妹のもとに帰ってみせる。今頃寂しい思いをしてるかもしれないんだ」
わー!!
校庭から歓声があがる。どうやら昼の競技が開始されてしまったようだ。
「頼む、大間の犬。僕を」
「言われなくてもさっさと送るわん。これ以上ひっかきまわされるのは勘弁してほしいからの」
池照に近付きケルベロスが口を開ける。
「マユ様、先に行きます」
池照がそう言うと、魔物達のような少し薄っすらとしたヒイロがいつもの池照の上に浮かび上がりケルベロスへと吸い込まれた。ごくんと飲み込み終わるとケルベロスはこちらに視線を戻した。
……ほ、本当に大丈夫なのか?
いつもの池照は目を閉じて眠っているみたいだ。
「さ、他に戻りたいのはいるか、わん?」
戻れる? 向こうに? マユと?
魔族、人で分けられなくて済む世界からまたあの世界へ?
なら、オレは――。
「私は……、戻せる? ケルちゃん」
ショックを受ける。マユはあの世界へと戻りたいのかと。戻ってもまた会えるかどうかわからないし、また魔族と人になるかもしれないのに。
「勇者は問題なさそうじゃ。ただ、――」
「マユが戻るならオレもっ」
「マユ様が戻るならわたしもご一緒します!」
鉄拳にセリフを被せられオレのセリフは勢いが消えた。
「魔王、お前は無理じゃぞ。魂が完全にくっついてしもうておる。分離は無理じゃ。そこの小娘は分けられそうじゃな」
「へ?」
「そうですか。ならマユ様ご一緒に、さぁ」
「待ってくれ。どうしてだよ! マユ。もうここなら魔族も人もないんだ。だからさ、戻る必要なんて……」
「ごめんなさい、拓也君」
「なんで、どうして謝るんだよ。マユ!!」
「私、知ってるの」
「何を?」
「拓也君が好きなのは私じゃない。真由なんだよね……」
まるで心臓をぎゅっと握られたようなそんな気分になった。
「ワシはケルベロス。門を守ると同時に門を司るモノじゃ。転生してびっくりしたがすぐに前世を思い出し主を探したわん」
そうか、探してる最中に妹に拾われてしまったのか。飼い犬を演じながらトワイライトを探すのは大変だっただろう。
「主のそばに転生魔法を行使した中心人物がいたわん」
ん、トワイライトもオレ達の近くに住んでるのか?
マユの事だよな。
「そいつに噛みつき、魔力を吸い続けたわん。転生の時に通った道はワシがすべて腹に収めておいたからの。あとは複雑に絡み合った二つの魔法の回収解析さえすれば再びあの地へと飛べるはずだわん。一つは常に回収出来ていたがもう一つはワシのトラウマのせいでなかなか回収出来なかったんじゃが」
ん、二つの魔力? おい、まて真由にまさか噛みついてたのか!? 常に!? オレが担当する前の散歩なら父さんだな。くそ、目の前で噛まれる真由の事放っておいたのか!?
「だが、やっとその魔力を取り込めた。操られている使い魔達から回収したわん」
ん、ん? 話がわからないぞ。もっと簡潔にだな。
「ただ、この口のサイズじゃ。あぁ、でもサイズだけの問題でもなかったの。人の体は通れぬ。あちらに行けるのは魂のみじゃ」
四人の沈黙が続く。
「すでに魂だけの存在になった使い魔達は帰りたいと願ったものを送ったわん。魂に合う体に転生しておるじゃろうて」
「ふざけるな!! また転生だと!? 僕は、僕は……」
「ヒイロ」
「僕は病気の妹のために戦いに出たんだ。帰って、会ったところで転生だと……。記憶、記憶は!?」
「ワシの観測できる範疇を超えておるわん」
「…………」
池照、向こうに家族がいたのか。
「マユ様、マユ様が魔法を使ったんですよね。なら向こうにだってもう一度」
マユはふるふると首をふり否定する。
「ごめんなさい。私の力、池照君に渡ってるみたいにいくつか無くなってしまっているの。同じようにするにはきっと」
「勇者、さっきも言ったがあれはおぬしのちからだけじゃなくもう一人の強い願いと暴走した魔力が混ざってしまった結果わん。一人で再現は無理じゃろ。再現したところでまた違う世界にでも飛ばされるのがオチじゃろうな、わん」
「だからって……」
マユが考え込んでいると、池照がふふっと笑った。
「おい、犬。向こうに戻ったら僕はどうなるんだ」
魂しか通れない。なら、今の池照やオレ達がどうなるのか。オレも気になる。
「お前は完全に分離出来そうわん。だから、こちらの人間として生まれたお前と魂だけの前のお前が出来て、片方だけが向こうに渡る事になるわん」
「……そうか。なら送ってもらえないか」
「池照君!?」
「池照!?」
「僕は、妹のもとに帰ってみせる。今頃寂しい思いをしてるかもしれないんだ」
わー!!
校庭から歓声があがる。どうやら昼の競技が開始されてしまったようだ。
「頼む、大間の犬。僕を」
「言われなくてもさっさと送るわん。これ以上ひっかきまわされるのは勘弁してほしいからの」
池照に近付きケルベロスが口を開ける。
「マユ様、先に行きます」
池照がそう言うと、魔物達のような少し薄っすらとしたヒイロがいつもの池照の上に浮かび上がりケルベロスへと吸い込まれた。ごくんと飲み込み終わるとケルベロスはこちらに視線を戻した。
……ほ、本当に大丈夫なのか?
いつもの池照は目を閉じて眠っているみたいだ。
「さ、他に戻りたいのはいるか、わん?」
戻れる? 向こうに? マユと?
魔族、人で分けられなくて済む世界からまたあの世界へ?
なら、オレは――。
「私は……、戻せる? ケルちゃん」
ショックを受ける。マユはあの世界へと戻りたいのかと。戻ってもまた会えるかどうかわからないし、また魔族と人になるかもしれないのに。
「勇者は問題なさそうじゃ。ただ、――」
「マユが戻るならオレもっ」
「マユ様が戻るならわたしもご一緒します!」
鉄拳にセリフを被せられオレのセリフは勢いが消えた。
「魔王、お前は無理じゃぞ。魂が完全にくっついてしもうておる。分離は無理じゃ。そこの小娘は分けられそうじゃな」
「へ?」
「そうですか。ならマユ様ご一緒に、さぁ」
「待ってくれ。どうしてだよ! マユ。もうここなら魔族も人もないんだ。だからさ、戻る必要なんて……」
「ごめんなさい、拓也君」
「なんで、どうして謝るんだよ。マユ!!」
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「何を?」
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まるで心臓をぎゅっと握られたようなそんな気分になった。
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