188 / 225
初めての遠征〜ダーティとカイラ〜
自己紹介
しおりを挟む
このアジトは、貴族の別荘だった屋敷を乗っ取って作られたらしい。
とても庶民には注文できないような細微な装飾が所々に飾られているのだが、やはり山賊には装飾の素晴らしさが分からないようで、皮袋やらロープやらを引っ掛けるフックとして使っている。
石造りの階段を登り、冷ややかな雰囲気の廊下を渡る。
4人の足音が響き余韻を残す様は、まるで幽霊屋敷のようだ。
親分が両開きの扉の前で立ち止まり、両手で力一杯扉を押し開く。
その先はダイニングだった。
古びた長卓に頭を連ねるのは、貴族の邸宅に相応しくない者共。
毛皮の鎧を着込んだ、フケや垢まみれの男共がゲラゲラ笑いながら、ただ焼いただけの獣肉を頬張っている。
しかし親分の姿を認めた途端、男達は静かになり己のボスへ視線と耳を傾ける。
「ゲースが仕掛けた罠に獲物が掛かった」
食卓の誕生日席の前までドスドスと歩きながら親分は話し始める。
「おら歩きやがれェ」
子分がカイラとダーティの背を押し、親分の隣に立たせる。
ダーティの容姿を見た男共のうち数人が静かな歓声を上げた。
「こっちのチビ助が魔導士のカイラだ。こっちが演奏家のダーティ」
下卑た視線がまるで、湯船に浮かんだ髪の毛のようにうざったく絡み付く。
「ダーティが言うに、カイラは恩人の恋人らしいから手は出さないで欲しいんだと」
「つまりその金髪の兄ちゃんには手ェ出していいのか?」
部下の1人がそう声を上げると、周りは「悪い冗談だ」とげらげら笑う。
「男に欲情しろってか?」
「バカな事を」
などと口々に冷やかしの言葉を吐きかけたが……次第に皆が口を閉ざした。
飽きたのか? 己の間違いに気付いたのか? ……どれも違う。
カイラとダーティ以外の皆が強い劣情を感じ始めた為である。
それは皆様ご存知カイラにかけられた呪いのせいなのだが……少年と演奏家以外、誰もその事を知らない。
山賊の中で『熱の昂りはダーティを見たから』だと思い込んだ調子の良い男が声を上げた。
「金髪の兄ちゃんに手ぇ出して良いんならよぉ~! 今すぐこの場で脱いで見せろよぉ~!」
再び下衆な笑い声が上がる。
(何なんだ、この人達)
いくら捕虜とはいえ、ダーティを辱める態度にカイラは苛立ちを募らせる。
しかし当の本人は……
「良いだろう」
と、何と平然とした態度で衣服を脱ぎ始めたのだ。
「マジかよ」
「冗談通じねえな」
まさかの行動に皆が動揺する。
しかし……次第に露わになってゆく柔肌に、親分も、子分も、カイラまでもが見惚れてしまう。
ダーティの、垂れ下がっていても雄々しさを感じられる肉茎と張りのある臀部に、生唾を呑み込む者さえいた。
(あぁ……! 皆が私のナニに注目してる……!)
皆の視線が己の股間に注がれている事に一種の興奮を覚えたダーティは、口角を歪に上げながら身を震わせる。
「お、おい……」
「アイツ、勃起させてやがる……」
夢魔を飼うほど元気の良い雄の器官が猛るには十分過ぎたようだ。
「面白えや!」
再び調子の良い子分がゲラゲラ笑い声を上げる。
「お前、この場でマス掻けよ!」
脱げと命じた以上の笑いが起こる。
冗談が通じぬとはいえ、流石に皆の前で自慰に耽るなど____
「良いのか? この場でご褒美を貰っても?」
「……へぁ?」
命じた本人が頓狂な声を上げるより前にダーティは下半身へ手を伸ばし、何と己の欲望を握り締めたのだ。
「……ん♡」
そして焦らすような手つきで欲望を高めてゆく。
「お……おいおいマジかよ」
「イかれてる……」
動揺の声を聞いているにも関わらず、ダーティの雄は更に強張り始める。
(ダーティさん……僕を守る為に、こんな事を……!)
罪悪感を感じたカイラは眉根に皺を寄せる。
「ん……♡」
しっかりと竿を握り締めゆっくりと扱くと、普段は楽器を操る手の中に包まれた肉棒が踊る。
空いている手で、まあるく膨らんだ陰嚢を包みやわやわと揉んだり。
赤みと湿り気を帯びた亀頭をくすぐったり。
時間が経つにつれて更に肉棒が硬直し、鈴口がくぱくぱと物欲しそうに開き始める。
「……あぁ、そろそろイきそうだ!」
息を荒くし頬を紅潮させながらダーティは宣言する。
「ふ……っ、う゛……♡」
そして遂にダーティは精を吹き上げた。ドクン、ドクンと脈を打ち精を床へ溢してゆく。
「……気持ち良かった。良いものだな、皆に見られながら自分を慰めるというのは……♡」
射精を終えた肉茎が再び重力に従い、精の残りをトロトロと滴らせながら、ヒク、ヒクと切なく疼く。
その頃には夢魔の呪いが皆に回り、その場の全員が邪な欲望を膨らませていた。
「ダーティ」
いつの間にかダーティの後ろに控えていた親分が静かに声を上げた。
「ワシに着いて来い」
着いて行った先で何をされるのか……考えるまでも無いだろう。
しかしダーティは、完全に全ての注目が自分に向けられた事に安堵の笑みを浮かべた。
「良いだろう」
「それと……カイラと言ったか」
「ひっ! ……は、はい!」
ギロリと睨まれたカイラは直立する。
「お前はまず台所を掃除しろ。ピッカピカになるまで磨くんだ」
「はいっ! ピッカピカにしますっ!」
と簡単に命じた親分は、ダーティを連れ両開きの扉からどこかへと消えてしまった。
とても庶民には注文できないような細微な装飾が所々に飾られているのだが、やはり山賊には装飾の素晴らしさが分からないようで、皮袋やらロープやらを引っ掛けるフックとして使っている。
石造りの階段を登り、冷ややかな雰囲気の廊下を渡る。
4人の足音が響き余韻を残す様は、まるで幽霊屋敷のようだ。
親分が両開きの扉の前で立ち止まり、両手で力一杯扉を押し開く。
その先はダイニングだった。
古びた長卓に頭を連ねるのは、貴族の邸宅に相応しくない者共。
毛皮の鎧を着込んだ、フケや垢まみれの男共がゲラゲラ笑いながら、ただ焼いただけの獣肉を頬張っている。
しかし親分の姿を認めた途端、男達は静かになり己のボスへ視線と耳を傾ける。
「ゲースが仕掛けた罠に獲物が掛かった」
食卓の誕生日席の前までドスドスと歩きながら親分は話し始める。
「おら歩きやがれェ」
子分がカイラとダーティの背を押し、親分の隣に立たせる。
ダーティの容姿を見た男共のうち数人が静かな歓声を上げた。
「こっちのチビ助が魔導士のカイラだ。こっちが演奏家のダーティ」
下卑た視線がまるで、湯船に浮かんだ髪の毛のようにうざったく絡み付く。
「ダーティが言うに、カイラは恩人の恋人らしいから手は出さないで欲しいんだと」
「つまりその金髪の兄ちゃんには手ェ出していいのか?」
部下の1人がそう声を上げると、周りは「悪い冗談だ」とげらげら笑う。
「男に欲情しろってか?」
「バカな事を」
などと口々に冷やかしの言葉を吐きかけたが……次第に皆が口を閉ざした。
飽きたのか? 己の間違いに気付いたのか? ……どれも違う。
カイラとダーティ以外の皆が強い劣情を感じ始めた為である。
それは皆様ご存知カイラにかけられた呪いのせいなのだが……少年と演奏家以外、誰もその事を知らない。
山賊の中で『熱の昂りはダーティを見たから』だと思い込んだ調子の良い男が声を上げた。
「金髪の兄ちゃんに手ぇ出して良いんならよぉ~! 今すぐこの場で脱いで見せろよぉ~!」
再び下衆な笑い声が上がる。
(何なんだ、この人達)
いくら捕虜とはいえ、ダーティを辱める態度にカイラは苛立ちを募らせる。
しかし当の本人は……
「良いだろう」
と、何と平然とした態度で衣服を脱ぎ始めたのだ。
「マジかよ」
「冗談通じねえな」
まさかの行動に皆が動揺する。
しかし……次第に露わになってゆく柔肌に、親分も、子分も、カイラまでもが見惚れてしまう。
ダーティの、垂れ下がっていても雄々しさを感じられる肉茎と張りのある臀部に、生唾を呑み込む者さえいた。
(あぁ……! 皆が私のナニに注目してる……!)
皆の視線が己の股間に注がれている事に一種の興奮を覚えたダーティは、口角を歪に上げながら身を震わせる。
「お、おい……」
「アイツ、勃起させてやがる……」
夢魔を飼うほど元気の良い雄の器官が猛るには十分過ぎたようだ。
「面白えや!」
再び調子の良い子分がゲラゲラ笑い声を上げる。
「お前、この場でマス掻けよ!」
脱げと命じた以上の笑いが起こる。
冗談が通じぬとはいえ、流石に皆の前で自慰に耽るなど____
「良いのか? この場でご褒美を貰っても?」
「……へぁ?」
命じた本人が頓狂な声を上げるより前にダーティは下半身へ手を伸ばし、何と己の欲望を握り締めたのだ。
「……ん♡」
そして焦らすような手つきで欲望を高めてゆく。
「お……おいおいマジかよ」
「イかれてる……」
動揺の声を聞いているにも関わらず、ダーティの雄は更に強張り始める。
(ダーティさん……僕を守る為に、こんな事を……!)
罪悪感を感じたカイラは眉根に皺を寄せる。
「ん……♡」
しっかりと竿を握り締めゆっくりと扱くと、普段は楽器を操る手の中に包まれた肉棒が踊る。
空いている手で、まあるく膨らんだ陰嚢を包みやわやわと揉んだり。
赤みと湿り気を帯びた亀頭をくすぐったり。
時間が経つにつれて更に肉棒が硬直し、鈴口がくぱくぱと物欲しそうに開き始める。
「……あぁ、そろそろイきそうだ!」
息を荒くし頬を紅潮させながらダーティは宣言する。
「ふ……っ、う゛……♡」
そして遂にダーティは精を吹き上げた。ドクン、ドクンと脈を打ち精を床へ溢してゆく。
「……気持ち良かった。良いものだな、皆に見られながら自分を慰めるというのは……♡」
射精を終えた肉茎が再び重力に従い、精の残りをトロトロと滴らせながら、ヒク、ヒクと切なく疼く。
その頃には夢魔の呪いが皆に回り、その場の全員が邪な欲望を膨らませていた。
「ダーティ」
いつの間にかダーティの後ろに控えていた親分が静かに声を上げた。
「ワシに着いて来い」
着いて行った先で何をされるのか……考えるまでも無いだろう。
しかしダーティは、完全に全ての注目が自分に向けられた事に安堵の笑みを浮かべた。
「良いだろう」
「それと……カイラと言ったか」
「ひっ! ……は、はい!」
ギロリと睨まれたカイラは直立する。
「お前はまず台所を掃除しろ。ピッカピカになるまで磨くんだ」
「はいっ! ピッカピカにしますっ!」
と簡単に命じた親分は、ダーティを連れ両開きの扉からどこかへと消えてしまった。
5
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる