おばさんですが、今日からヒロインらしいです。

まぐ

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プロローグ

新しい世界

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 はあ~独身のままで33歳になるのか。
 私、こと橘あさみ(32)は、夜道を一人歩きながらブツブツと呟いた。明日、33歳の誕生日を迎えるのだが、特に予定も入れていない私は1人居酒屋に向かい、たった今店から出たところだ。

 この歳になると誕生日なんか本当にどうでもよくなる。
 20代の頃は、大学を卒業したあとも何だかんだ友人と会ったり、彼氏もいたりしたけれど。25歳を超えたあたりから誕生日とは、ただ歳をとるだけの日になった。

 父も母も幼い頃に亡くなって、「私を産んでくれてありがとう」という相手もいないし、私を育ててくれた祖父母は遠い所に住んでいる。
 友人たちも結婚して子どもがいて、私の誕生日どころではないだろう。年に数回連絡をとるくらいだ。
 職場でも、仲の良い人の誕生日は知ってるけれど、ほとんど知らないし、そんなもんなんだろうなと思いながらとぼとぼ歩く。

「きっとこれから先、結婚しない限りずっとこんな感じなんだろうな~」

 呟いてみたら現実を帯び始めて、悲しくなってきた。

 フラフラしながら曲がり角を右に曲がったその時だった。
 けたたましいブレーキの音と一緒に、私は意識を失った。








___________________







「神様?ありえないんだけど」
『何を隠そう我が神じゃ』

 目を覚ましたら、白い玉が目の前に浮かんでいた。辺りは一面真っ白で、何も見当たらない。

「どうして私ここに…」
『お主はな、我に選ばれたのじゃ!』
「はあ?選ばれたってどういうこと?」

 くるくる目の前で回る白い玉を睨みつけながら、私は唇をへの地に曲げる。

『兼ねてよりお主の世界のれんあいげーむとやらに興味を持っての?悪役令嬢がひろいんなのじゃが、ひろいんが悪役なのじゃよ』

 恋愛ゲーム?ヒロイン?こいつ何言ってるんだ。

『それでの?やっぱりひろいんは異世界から来てもらわねばならんと思っての?お主には死んでもらうことにした!』
「は?ちょっと待て!死んだ??はあ!?」

 言いながらとりあえず白い玉を殴る。昔から私は口よりも先に手が出るタイプだ。もちろん口も出る。
 殴られた白い玉は、『へぶっ!?』と変な声を出し床に叩きつけられたが、ふわふわとまた浮かび私の元へ戻ってきた。

『お主には悪いことをしたと思っておるのじゃ!許せ!』
「いやいや、許せるか!いくら神様だっつっても!」

 言いたいことはたくさんあるが、とりあえずやっぱり殴る。

「ていうか、私を選んだって言ったわよね。なんで私なの」
『たまたまお主が目に付いたのじゃ!』
「最低!!!」

 3度目のパンチ。3度じゃ気が済まないほど、最低な神様だ。

『すまんかったの!その代わりお主を超美少女に生まれ変わらせるし、もう何をしても良いのじゃ!』
「…何をしてもいいの」
『ああもちろんじゃ!とりあえず作ってみただけじゃからな、どうなるのか我も見てみたい!好き勝手してくれた方が面白くなりそうじゃ!』
「とりあえずムカつくから、もっかい殴らせろ」
『さっきから何も言わず殴っておるわなへぶっっ!!』

 





 そんなこんなで、私、橘あさみは死んで、新しい人生を新しい世界で歩むことになった。

 
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