2 / 11
第一章
目が覚めたら
しおりを挟む「あなたの名前は、マリア…マリアよ」
「なんて愛らしい子だろう、君にそっくりだ」
「ふふ、貴方にもそっくりよ」
目が覚めると、私は女性の手に抱かれていた。金髪の長い髪が綺麗な女性。瞳の色も同じ金色で、キラキラと輝いて見えた。隣には男性が立って、私をのぞきこんでいる。同じ金髪、だが瞳の色はどこまでも吸い込まれそうな深い青色をしていた。
「あう…あぁ」
あなたたちはだれ?そう言いたくて声を発し、私はギョッとした。声は出るが言葉が出てこない。
「あら、マリアが喋ったわ!」
「ほんとうだ、なんて可愛らしい声だろう!マリア、私が父様で今君を抱いているのが母様だよ」
嬉しそうに男性が私の頬に触れた。この2人が両親?このものすごく綺麗な男女が???
そういえば、神が私を超美少女にするって言ってたな。あいつ話も途中にして私を生き返らせたのか、なんちゅう神だ。
心の中で悪態をつきながら私は自分の手をみつめる。小さい手。やっぱり私は今赤ちゃんなのか。なんとなく察していたことだが、実際そうなると悲しいものだ。前の人生で頑張って手に入れたもの全てが水の泡なのだから。
「うえぇぇ…うええぇん」
この身体では言葉を発することもできなくて、泣くことしかできない。
両親がいきなり泣き出した私をみて、困ったように私をなだめている。身体はこれでも心は33になろうかっていうアラサーなのだ、とても虚しい。
___________________
そんなこんなで私がこの世界に生まれ落ちてから、2年の月日がたった。
最初の1年は、ほとんど記憶がぼやけている。寝ているか、抱き上げられるかの記憶しかないのだ。ただ早く歳をとりたいと願っていた。
次の1年は少しずつ身体を動かせるようになり、言葉も話せるようになった。両親は私を天才児だと褒めたけれど、当たり前だ、1年たったのだから34になったんだぞ、くそぉ。
この2年で分かったことは、私はそこそこ位のある貴族の家に生まれたということだ。家は庭もいれると東京ドーム何個分だ?レベルの土地があるし、メイドがたくさんいる。父は普段書斎にこもっていて、母は時々訪れる夫人たちと共に優雅にお茶会をしている。
「お主、そろそろ起きぬか」
忘れてた。この2年で大きく変わったのは私の侍女に、ある日この神が乗り移ったことだ。
なんでも…
「お主はこの世界のひろいんじゃからな!お主の傍にいれば面白いことがみれるはずじゃ!へへ!」
ということらしい。この神本当にふざけている。けれど、この侍女の身体を操れるのも1日長くても30分程度らしく、その他はきちんと身体を返しているというから私は納得した。
「あんたね、そろそろこの世界について教えなさいよ」
「おっともう時間じゃ!」
「まだ来て1分もたってないでしょ!ふざけんな!」
いつもこの神にはこんな風にはぐらかされるが、今日は絶対に逃がさないと心に誓っていた。
「あんた私に言ったわね、2歳まで待てと」
以前神が侍女に乗り移った時、私に2歳まで待てと言ったのだ。今日で私は2歳になった。神が口笛をぴゅーぴゅーふく。こいつ逃げるつもりだな。
「今日、お父様のご友人という方々がくる。それが関係してんのね」
ビクッと神の肩が動く。やはり、そうなのね。
「それが私のヒロインとしての今後に関わってくるのね、そうでしょ」
「な、なぜそれを知っておるのじゃ!」
「どう考えてもそれしかないでしょ」
神ははぁとため息をつき、「バレてしまっては仕方ないのう」と肩を落とした。ポケットから手紙を取りだし、私の前の机に置く。
「それに全部書いてあるからのう。読んでおくように」
「ちょっとまって、私まだこの世界の字簡単なものしか読めないわよ!」
「大丈夫じゃ、日本語で書いてある。お主がもしそれを落としても他者には読めないようにのぅ。ではまた来るぞ!」
「おい!神!!」
「…あら、お嬢様、もう起きてらしたのですね。おはようございます」
にこりと優しく微笑む侍女、チッ神め、逃げやがったな。私は侍女にみられないよう手紙をそっと隠す。お父様のご友人とやらが来るまでにはこれを読んでおかないとな。
そう思っていたのだが…。
「マリア、こちらは我らが国王陛下とそのご子息だよ。仲良くするようにね」
やけに侍女が私の身支度を整えるな、と思っていた矢先、お父様のご友人、国王陛下とそこ息子と私は出会ってしまったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~
ささゆき細雪
恋愛
五年前、内乱の混乱のなかで姿を消した最愛の妃・白瑤華(はくようか)。
彼女を失った皇帝・景玄耀(けいげんよう)は、その後ただ一人を想い続けながら執務に追われていた。そんなある日、書類に彼女の名前を発見し、居ても立っても居られなくなる。
――死んだはずの彼女が、生きている?
同姓同名かもしれないが確かめずにいられなくなった彼は地方巡察を決行。そこで、彼によく似た幼子とともに彼女と再会、地方官吏として働く瑤華と、珠児(しゅじ)を見て、皇帝は決意する――もう二度と、逃がさないと。
「今さら、逃げ道があると思うなよ」
瑤華を玄耀は責めずに、待ちの姿勢で包み込み、囲い込んでいく。
秘された皇子と、選び直した愛。
三人で食卓を囲む幸福が、国をも動かすことになるなんて――?
* * *
後宮から逃げ出して身を引いたのに、皇帝の溺愛は止まらない――これはそんな、中華風異世界ロマンス。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる