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一、蕾
一、蕾 ⑮
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***
ベットの周りに散らばった服。
暴れて逃げ出そうとした僕の手や腕、足には小さな擦り傷。
そして下半身には鈍痛と、少しでも動こうとすればゴプッとあふれ出す精液。
お腹に注がれ僕の物ではない熱が、満たされている。
情けなくて、涙も枯れてしまった。
いや、自分を凌辱した相手に涙を見せるのは屈辱だ。惨めで情けない。
「いやあ、ヒートでもないのに貴方の香りに充てられてしまいました」
ペットボトルと濡れたタオルを持って現れた竜仁さんの顔には、僕から引っ掻かれた爪痕、爪が食い込んだ跡の痛々しい傷跡が刻まれている。
それなのに穏やかに微笑んでいて、それが逆に不気味だった。
彼がペットボトルを僕に飲ませようと上半身を起こそうとしたので、情けないほど力のない手で追い払った。
睨みつけるが、彼は余裕の表情で見下ろしてくる。
「ごめんね。下半身が気持ち悪いだろうけど、掻き出してあげられないんだ。まあ、花の中毒症状が出てるから、妊娠はしないだろうから、そこは安心して」
「……番になってしまったんですか」
押さえつけられて赤い指の跡が浮かぶ腕を見ながら、乾いたはずの涙が込み上げてきた。
「恋人でもないのに、番にされちゃったんですか」
声が震えて、まるで泣いているような情けない声が出た。泣いているわけではないが、恐怖と絶望と怒りで感情がコントロールできない。自分の心のはずなのに、手放したくて、逃げ出したくて気持ちが悪い。
「身体から手に入れるのは、順番がめちゃくちゃですね。それは大変申し訳ありません」
震える手を、温かいタオルで包み込むように拭きながら、竜仁さんは辛そうに言葉を濁らせる。
払いのけると、腰の痛みで唸り声が漏れてしまった。
「けれど、君は空腹を感じられないほど花を食べて依存していました。今日から、花の毒素を抜くために花を食べることを禁じます。すると貴方は花を食べたくて暴れていくと思います」
「だからなんですか。貴方に関係なかったでしょ。放っておいてよかったのに。そんなに遺言が大事だったんですか」
手を振り払おうとしたが、全く力が入らず成す術もないまま腕から、首筋まで拭かれた。
「ちょっとだけ寂しいね。運命だと一方的に感じるのって、なんだか悲しい」
「運命なわけない」
「花のせいで君は運命の匂いに気づかなかっただけですよ」
「――運命だからって、会ってすぐに相手を犯すなんて、貴方は最低なアルファだ」
お腹の中か気持ち悪い。自分の体が自分の物ではないような、重さだ。
無理やり番にされた。アルファと番になる気なんてなかったのに。
どうして首輪のカギをこの人がもっていたんだろう。色々と一度にありすぎて体の震えが止まらなかった。
「それは、一生かけて償いますよ」
全身を優しく拭いてくれたあと、彼が恭しく手を掴み、祖母の形見の指輪を指につけてくれた。
「貴方は、私の運命で間違いないですから」
ベットの周りに散らばった服。
暴れて逃げ出そうとした僕の手や腕、足には小さな擦り傷。
そして下半身には鈍痛と、少しでも動こうとすればゴプッとあふれ出す精液。
お腹に注がれ僕の物ではない熱が、満たされている。
情けなくて、涙も枯れてしまった。
いや、自分を凌辱した相手に涙を見せるのは屈辱だ。惨めで情けない。
「いやあ、ヒートでもないのに貴方の香りに充てられてしまいました」
ペットボトルと濡れたタオルを持って現れた竜仁さんの顔には、僕から引っ掻かれた爪痕、爪が食い込んだ跡の痛々しい傷跡が刻まれている。
それなのに穏やかに微笑んでいて、それが逆に不気味だった。
彼がペットボトルを僕に飲ませようと上半身を起こそうとしたので、情けないほど力のない手で追い払った。
睨みつけるが、彼は余裕の表情で見下ろしてくる。
「ごめんね。下半身が気持ち悪いだろうけど、掻き出してあげられないんだ。まあ、花の中毒症状が出てるから、妊娠はしないだろうから、そこは安心して」
「……番になってしまったんですか」
押さえつけられて赤い指の跡が浮かぶ腕を見ながら、乾いたはずの涙が込み上げてきた。
「恋人でもないのに、番にされちゃったんですか」
声が震えて、まるで泣いているような情けない声が出た。泣いているわけではないが、恐怖と絶望と怒りで感情がコントロールできない。自分の心のはずなのに、手放したくて、逃げ出したくて気持ちが悪い。
「身体から手に入れるのは、順番がめちゃくちゃですね。それは大変申し訳ありません」
震える手を、温かいタオルで包み込むように拭きながら、竜仁さんは辛そうに言葉を濁らせる。
払いのけると、腰の痛みで唸り声が漏れてしまった。
「けれど、君は空腹を感じられないほど花を食べて依存していました。今日から、花の毒素を抜くために花を食べることを禁じます。すると貴方は花を食べたくて暴れていくと思います」
「だからなんですか。貴方に関係なかったでしょ。放っておいてよかったのに。そんなに遺言が大事だったんですか」
手を振り払おうとしたが、全く力が入らず成す術もないまま腕から、首筋まで拭かれた。
「ちょっとだけ寂しいね。運命だと一方的に感じるのって、なんだか悲しい」
「運命なわけない」
「花のせいで君は運命の匂いに気づかなかっただけですよ」
「――運命だからって、会ってすぐに相手を犯すなんて、貴方は最低なアルファだ」
お腹の中か気持ち悪い。自分の体が自分の物ではないような、重さだ。
無理やり番にされた。アルファと番になる気なんてなかったのに。
どうして首輪のカギをこの人がもっていたんだろう。色々と一度にありすぎて体の震えが止まらなかった。
「それは、一生かけて償いますよ」
全身を優しく拭いてくれたあと、彼が恭しく手を掴み、祖母の形見の指輪を指につけてくれた。
「貴方は、私の運命で間違いないですから」
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