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「ごめんなさい、エヴァさん」
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泥水が鼻腔を犯し、窒息の恐怖が思考を塗り潰す寸前、後頭部を抑えつける圧力がふと緩んだ。
リリスは激しく咳き込みながら、泥の中から顔を上げた。冷たい雨が、汚れた頬を洗い流すように叩きつける。視界は滲み、呼吸は鋭い痛みを伴った。だが、その瞳に宿る光だけは、泥濘の中でも消えることはなかった。むしろ、絶望の淵でこそ燃え上がる、暗く、冷たい覚悟の炎が宿っていた。
目の前には、彼女を見下ろすボルコフの革靴。そして、その向こうで苦悶に歪むエヴァの顔。
「……待って」
リリスの声は、掠れて震えていた。だが、その言葉は雨音を切り裂いて、確かに男たちの耳に届いた。
「取引を……しましょう」
ボルコフが眉をひそめ、面白そうに唇を歪める。「取引だ?」
リリスは這いつくばったまま、懇願するようにボルコフの足元に縋り付いた。プライドも、恥辱も、すべてをこの泥の中に捨て去る。ただ一つ、エヴァを生かすという目的のために。
「その人……エヴァさんを、逃がして。手出ししないで」
「はっ、何を寝ぼけたことを。俺たちがそんな慈悲深い人間に見えるか?」
ガストンが嘲笑し、リリスの肩を蹴り飛ばそうと足を上げる。
「私は……!」
リリスは叫んだ。かつて「バラ園」で、そして「煤の底」で、生きるために魂に刻み込んだ、最も呪わしい烙印を、自ら晒け出すために。
「私は……元、娼婦です。……奴隷、でした」
その場にいた全員の動きが止まった。エヴァが、信じられないものを見るように目を見開く。
リリスは震える唇で、言葉を継いだ。自分自身を切り刻むような言葉を。
「貴族の方々の、玩具でした。……普通の女の人じゃ知らないような、気持ちいいこと……たくさん、仕込まれてます」
「口で……あそこでも、後ろでも……何でもできます。どんなことでも、耐えられます。壊れるまで、使っていいから……!」
彼女は自分の胸元の服を掴み、乱暴に引き裂いた。白い肌が、無残に雨に晒される。
「だから……お願い。私で、満足して。その人の代わりに、私を……」
それは、あまりにも悲痛で、あまりにも歪んだ、自己犠牲の提案だった。
「やめて……!!」
エヴァの悲鳴が響いた。彼女は折れた足を引きずりながら、必死にリリスの方へ手を伸ばそうとする。
「いけません、リリス! そんなこと……そんなこと、してはいけない! あなたは物じゃない! 人間としての尊厳を、捨ててはいけません!」
泥にまみれた聖女は、痛みも忘れて叫び続けた。彼女にとって、リリスが再びあの地獄へ戻ることは、自分自身の死よりも耐え難い苦痛だった。
「私なら大丈夫だから! 殺されたって構わない! だから、そんな言葉を……自分を貶めるような言葉を、口にしないでぇッ!」
その悲痛な叫び声こそが、ボルコフたちの嗜虐心を最も甘美に刺激する極上のスパイスとなった。
「へえ……」
ボルコフはねっとりとした視線をリリスの、雨に濡れた未成熟な肢体へと這わせた。
「聖女様がそこまで必死になる元商品か。……悪くねえ」
彼はしゃがみ込み、リリスの顎を指で強引に上向かせた。
「いいぜ。その減らず口がハッタリじゃねえか、確かめてやる。もし俺たち全員を満足させられたら……そこの聖女様は見逃してやるよ」
「本当、ですか……?」
「ああ。盗賊にも、最低限の仁義はあるんでな」
嘘だ。その目には、約束を守る気など微塵もないことがありありと浮かんでいた。だが、リリスには縋るしかなかった。その細い蜘蛛の糸だけが、唯一の希望だった。
「証明してみせろ。お前のその体と技で」
ボルコフの合図で、ガストンが下卑た笑いを浮かべながらベルトに手をかけた。周囲の男たちも、獲物を見る獣の目で一斉にリリスを取り囲む。
リリスはゆっくりと、エヴァの方を振り返った。その顔には、先ほどまでの怯えはなく、ただ、ガラス細工のように脆く、透き通った微笑みが張り付いていた。
「ごめんなさい、エヴァさん」
「リリス、嫌……やめて……」
「今まで、守ってもらってばかりでした。……でも、今度は私が、エヴァさんを守ります」
そう言い残し、リリスは四つん這いになって、ガストンの股間へと這い寄った。
その動きには、一切の躊躇いがなかった。嫌悪も、羞恥も、すべて心の奥底にある冷凍庫に封印した。今、彼女を動かしているのは、ただの「機能」だった。客を悦ばせ、怒りを買わず、生き延びるための、悲しいほどに洗練された奴隷の所作。
彼女は震える指先で、男の汚れたズボンを下ろした。目の前に現れた醜悪な欲望の象徴に、一瞬だけ呼吸が止まる。
(大丈夫。ただの肉の棒だと思えばいい。私は人形。心なんてない。)
自分に言い聞かせ、彼女は小さな口を開いた。
濡れた舌が這い、喉の奥まで受け入れ、巧みに愛撫する。その技術は、確かに幼い少女が持ち得るものではなく、地獄で鍛え上げられた淫靡な凶器そのものだった。
「おおっ……! こりゃあすげえ!」
ガストンが歓喜の声を上げ、リリスの頭を乱暴に掴んで腰を振る。リリスは苦しげに呻きながらも、決して拒絶せず、従順にその暴力を受け入れ、さらに快楽を与えようと懸命に奉仕を続けた。
「あ……ああぁぁ……!!」
エヴァは、目の前の光景に、魂を引き裂かれるような絶叫を上げた。
「やめて……誰か、助けて……! 神様、どうか……!!」
自分のために、リリスが汚されていく。あんなにも小さな体で、あんなにも穢れた行為を、あんなにも献身的に行っている。
その光景は、エヴァが信じてきた「正義」や「神の加護」といったものを、根底から嘲笑い、踏みにじるものだった。
盗賊たちは、リリスの口に、胸に、そして股間に群がり、嬌声を上げながらその体を貪り始めた。リリスの白い肌は泥と体液で汚れ、あちこちに痣が作られていく。
それでも彼女は、虚ろな瞳で空を見つめながら、機械的に腰を振り、媚びた声を上げ続けた。
「あ……はい……気持ち、いいです……旦那様……」
その嘘の喘ぎ声の一つ一つが、エヴァの心臓に杭を打ち込むようだった。
雨は激しさを増し、泥濘は血と精液と涙を混ぜ合わせ、混沌とした色に染まっていく。
聖女の祈りは届かず、少女の献身は、ただ残酷な宴の生贄として消費されていった。
リリスは激しく咳き込みながら、泥の中から顔を上げた。冷たい雨が、汚れた頬を洗い流すように叩きつける。視界は滲み、呼吸は鋭い痛みを伴った。だが、その瞳に宿る光だけは、泥濘の中でも消えることはなかった。むしろ、絶望の淵でこそ燃え上がる、暗く、冷たい覚悟の炎が宿っていた。
目の前には、彼女を見下ろすボルコフの革靴。そして、その向こうで苦悶に歪むエヴァの顔。
「……待って」
リリスの声は、掠れて震えていた。だが、その言葉は雨音を切り裂いて、確かに男たちの耳に届いた。
「取引を……しましょう」
ボルコフが眉をひそめ、面白そうに唇を歪める。「取引だ?」
リリスは這いつくばったまま、懇願するようにボルコフの足元に縋り付いた。プライドも、恥辱も、すべてをこの泥の中に捨て去る。ただ一つ、エヴァを生かすという目的のために。
「その人……エヴァさんを、逃がして。手出ししないで」
「はっ、何を寝ぼけたことを。俺たちがそんな慈悲深い人間に見えるか?」
ガストンが嘲笑し、リリスの肩を蹴り飛ばそうと足を上げる。
「私は……!」
リリスは叫んだ。かつて「バラ園」で、そして「煤の底」で、生きるために魂に刻み込んだ、最も呪わしい烙印を、自ら晒け出すために。
「私は……元、娼婦です。……奴隷、でした」
その場にいた全員の動きが止まった。エヴァが、信じられないものを見るように目を見開く。
リリスは震える唇で、言葉を継いだ。自分自身を切り刻むような言葉を。
「貴族の方々の、玩具でした。……普通の女の人じゃ知らないような、気持ちいいこと……たくさん、仕込まれてます」
「口で……あそこでも、後ろでも……何でもできます。どんなことでも、耐えられます。壊れるまで、使っていいから……!」
彼女は自分の胸元の服を掴み、乱暴に引き裂いた。白い肌が、無残に雨に晒される。
「だから……お願い。私で、満足して。その人の代わりに、私を……」
それは、あまりにも悲痛で、あまりにも歪んだ、自己犠牲の提案だった。
「やめて……!!」
エヴァの悲鳴が響いた。彼女は折れた足を引きずりながら、必死にリリスの方へ手を伸ばそうとする。
「いけません、リリス! そんなこと……そんなこと、してはいけない! あなたは物じゃない! 人間としての尊厳を、捨ててはいけません!」
泥にまみれた聖女は、痛みも忘れて叫び続けた。彼女にとって、リリスが再びあの地獄へ戻ることは、自分自身の死よりも耐え難い苦痛だった。
「私なら大丈夫だから! 殺されたって構わない! だから、そんな言葉を……自分を貶めるような言葉を、口にしないでぇッ!」
その悲痛な叫び声こそが、ボルコフたちの嗜虐心を最も甘美に刺激する極上のスパイスとなった。
「へえ……」
ボルコフはねっとりとした視線をリリスの、雨に濡れた未成熟な肢体へと這わせた。
「聖女様がそこまで必死になる元商品か。……悪くねえ」
彼はしゃがみ込み、リリスの顎を指で強引に上向かせた。
「いいぜ。その減らず口がハッタリじゃねえか、確かめてやる。もし俺たち全員を満足させられたら……そこの聖女様は見逃してやるよ」
「本当、ですか……?」
「ああ。盗賊にも、最低限の仁義はあるんでな」
嘘だ。その目には、約束を守る気など微塵もないことがありありと浮かんでいた。だが、リリスには縋るしかなかった。その細い蜘蛛の糸だけが、唯一の希望だった。
「証明してみせろ。お前のその体と技で」
ボルコフの合図で、ガストンが下卑た笑いを浮かべながらベルトに手をかけた。周囲の男たちも、獲物を見る獣の目で一斉にリリスを取り囲む。
リリスはゆっくりと、エヴァの方を振り返った。その顔には、先ほどまでの怯えはなく、ただ、ガラス細工のように脆く、透き通った微笑みが張り付いていた。
「ごめんなさい、エヴァさん」
「リリス、嫌……やめて……」
「今まで、守ってもらってばかりでした。……でも、今度は私が、エヴァさんを守ります」
そう言い残し、リリスは四つん這いになって、ガストンの股間へと這い寄った。
その動きには、一切の躊躇いがなかった。嫌悪も、羞恥も、すべて心の奥底にある冷凍庫に封印した。今、彼女を動かしているのは、ただの「機能」だった。客を悦ばせ、怒りを買わず、生き延びるための、悲しいほどに洗練された奴隷の所作。
彼女は震える指先で、男の汚れたズボンを下ろした。目の前に現れた醜悪な欲望の象徴に、一瞬だけ呼吸が止まる。
(大丈夫。ただの肉の棒だと思えばいい。私は人形。心なんてない。)
自分に言い聞かせ、彼女は小さな口を開いた。
濡れた舌が這い、喉の奥まで受け入れ、巧みに愛撫する。その技術は、確かに幼い少女が持ち得るものではなく、地獄で鍛え上げられた淫靡な凶器そのものだった。
「おおっ……! こりゃあすげえ!」
ガストンが歓喜の声を上げ、リリスの頭を乱暴に掴んで腰を振る。リリスは苦しげに呻きながらも、決して拒絶せず、従順にその暴力を受け入れ、さらに快楽を与えようと懸命に奉仕を続けた。
「あ……ああぁぁ……!!」
エヴァは、目の前の光景に、魂を引き裂かれるような絶叫を上げた。
「やめて……誰か、助けて……! 神様、どうか……!!」
自分のために、リリスが汚されていく。あんなにも小さな体で、あんなにも穢れた行為を、あんなにも献身的に行っている。
その光景は、エヴァが信じてきた「正義」や「神の加護」といったものを、根底から嘲笑い、踏みにじるものだった。
盗賊たちは、リリスの口に、胸に、そして股間に群がり、嬌声を上げながらその体を貪り始めた。リリスの白い肌は泥と体液で汚れ、あちこちに痣が作られていく。
それでも彼女は、虚ろな瞳で空を見つめながら、機械的に腰を振り、媚びた声を上げ続けた。
「あ……はい……気持ち、いいです……旦那様……」
その嘘の喘ぎ声の一つ一つが、エヴァの心臓に杭を打ち込むようだった。
雨は激しさを増し、泥濘は血と精液と涙を混ぜ合わせ、混沌とした色に染まっていく。
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