虹色の子~大魔境で見つけた少年~

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転移~アルクス本部へ!

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「準備はできましたか?ここに乗れば、一瞬でアルクス本部のある城下町に着きます。あぁっ、ヒースヴェルト様っ。お気をつけください、段差が。」
ルシオはほわほわした感じでヒースヴェルトを転移盤までエスコートする。
「あーい!!大丈夫、です!ルシオさん、ありがとう!」
転移装置を初体験、ということでヒースヴェルトは朝からわくわくしていた。
「楽しそうですね、ヒー様。」
リーナも一緒に転移盤に乗る。
「うん!ルシオさんが、ずっと頑張って修理、してたの、知っています!!乗れるの、嬉しい!!」
「ははは、はいぃ~!!頑張りました!!ヒースヴェルト様のために頑張りました~!!!」
「いや、公爵家からの依頼で修理してたんでしょうが…」
アシュトの呟きにルシオはギロ、と睨み、
「お前は乗せなーい。飛んでこいよ。」
「んなっ!?何言ってるッスか信じらんねぇ!!!嫌っすよ、こっちの方が楽じゃん!」
「バカだね。君には本物の華護りを買って来て貰おうと思ってね。請求は僕でいいからさ、買ってきといてよ。」
「なっ!!なーーーッ!!なんで俺だけっ!!やっぱキライ!!ルシオ様なんて嫌いッス!!!」
「アシュト、華護り…買うの?いいなぁー…」
ヒースヴェルトの上目遣いには、誰も逆らえない。特にルシオは。
「っ!!!風の君。華護りは二つ用意しておけよ。ヒースヴェルト様が身につけるために最上級の美しいものを選び抜け!!!!」
「ハ、ハイっ!!」
振り切れたルシオに、ただただ返事をするアシュトだったが、ディランが転移盤に乗る直前に、耳元で何かを囁いた。
「……へ?ぁ、ハイ。必ず、買ってきます。」
そう言ったアシュトを残し、皆は転移装置を発動させた。



目を閉じて、次に目を開けた時には、もう首都のアルクス本部の転移ステーション。
転移装置はそれ一台で様々な行き先を設定できる。もちろん、転移先にも同じ装置を設置しなければならないが、裕福な貴族らは、首都にタウンハウスを構えるものだが、転移装置が普及してからは、タウンハウスよりも、領地に一つ転移装置を置いて、こちらを利用するものが多い。

「ふおっ……ふおおおおおっ!!!スッゴい!スッゴい!!!ルシオさあぁぁん!」

ヒースヴェルトは大興奮でルシオを褒めまくっている。ルシオはルシオで長い耳の先まで真っ赤に染め上げてプルプル震えていた。

「ヒー様、早速砡の欠片の管理庫に行きたいところなんですが、一応ここ、アルクスの本部だから、首領と会いましょう。
首領もヒー様にとても会いたがっていますから。」
フォレンはヒースヴェルトの手を引いて、本部のある塔に向かう。
アルクスの敷地は広く、機械導具の専門販売や、初等部に通う子供たちのための公園まで整備されていて、そこが一つの町のようになっていた。転移装置は、その公園のような広場に設置されてあるのだ。その場所を、通称転移ステーションと呼んでいた。
「ここが、みんなのお仕事するところ?」
「えぇ。アルクスで正式に《砡術士》となった者はここを拠点に世界中に派遣されます。
魔獣退治、砡の欠片探し、他にも様々な依頼があり、解決するために日々飛び回っていますよ。あとは…そうですね。まだ幼い子供たちの砡の欠片との相性を調べて、展開率が高い子には使い方を教えます。
それが、ここから見える初等部…まぁ、学校のようなものです。」
「がっこう…。」
ヒースヴェルトは、きっと通いたかっただろう。友達をつくり、笑い合って、時間を共有する。そんなありふれた日常が、ここにはあって。
「いいなぁ…。学校。」
ポツリ、と溢した。
「…………さ、行きましょう、ヒースヴェルト様。」
「はぁい。」
ヒースヴェルトのふわふわと、歩く度に揺れる美しい髪と、整った容姿は注目の的となっていた。見た目が十歳程度のため、転入生じゃないかと噂されるほど。
「ヒースヴェルト様、こちらの塔の最上階に、ナッシュが…首領がいます。」
塔の入り口。真っ白い機械導具の扉で閉ざされていた。ここには、アルクスで働く者か、優秀な砡術士しか入れない、憧れの入り口。
「しゅりょーさん、どんな人?」
「うーん…豪快な人…でしょうか。スケールが大きいというか、常識に囚われないというか。」
フォレンが言う。
「ま、僕も常識とか嫌いだから気が合うんだよね。」
そう言いながら、ルシオは白の扉を作動させる。砡の欠片から放出される力が、青白く光りながら繋がれたコードを走る。
「わっ、開いたねぇ!スゴイ!これもルシオさん、作ったの!?」
「ハ、ハハハイッ!!貴方様のために作りました!!!」

(いや、絶対違うでしょ…。)

リーナは心の中で切にそう思った。

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