虹色の子~大魔境で見つけた少年~

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浄化の方法

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ナッシュの部屋で話をした後、ルシオに連れられて七階の収納庫前に着くと、ヒースヴェルトはくんくん、と鼻を鳴らした。
「あれ?いい匂いが、するー!もしかして、ここって…?」
ちらっとルシオを見ると、頷いて言う。
「正解です、ヒースヴェルト様ぁ~、ここには、世界中様々な場所で生まれた砡の欠片が納められています!どうぞ、お役に立ててください!」
かちゃ、と鍵を開けて扉を開け放つ。そこには、美術品のように美しく並べられた、大小様々な砡の欠片が。 
「ふおおおおぉぉ!!すごい!すごい、です!!たくさん、ですー!」
ヒースヴェルトの目が爛々と輝きだした。
「ヒー様、新しいものは、ありますか?我々人間には、砡の欠片が新しいのか古いのか…寿命が近いのか。分からないのです。」
フォレンのつけている指輪の砡の欠片は、新しいということはヒースヴェルトから聞いているが、見た目ではわからないのだ。
「ぁい、分かり、ます!えと、えーっと。あっ、この白のは、新しいです!これも!ぁー!キラキラしてて美味しそう、です!」
美味しそう、という表現を砡の欠片に対して使うのは、彼だけだろう。いつだったか、自分の大事な指輪を食べられそうになったことを思い出し、なんとも言えない表情でフォレンは眺めていた。
「さわっても、いい?」
「はい。…しかし、触れるだけで、本当に澱みは消えるのでしょうか…。あ、いえ。ディーテ様のお言葉を疑っているわけではなく…。」
「ぼくにも、分からないの。でも、ママは神力を纏った手で触れば、少しずつ浄化?されるから、この地で生まれた欠片に、触れなさいって。」
ヒースヴェルトは側にあった白の砡の欠片に、神力を込め手で触れた。
「ぅわっ!?」
すると、びっくりするくらい眩い光が欠片から放たれる。
光は、ヒースヴェルトの胸のあたりに吸い込まれるように消えていった。
「わわわわっ!!!なに!?なに!?ひーたんだいじょぶ!?」
意図しなかった事が起こったので、ヒースヴェルトはかなり慌てている。驚きすぎると、ひーたん呼びになってしまうらしい。
「ヒー様、大丈夫です、光は収まりました…。なるほど、このように澱みのない砡の欠片の光が、御体の中に入られるのですね。
どれだけの光を集めれば澱みが完全に消えるのかは、分かりませんが……御気分はいかがですか?」
フォレンがヒースヴェルトの額で熱を診たり、やら脈を測ったりしているが、驚いていて脈が早いこと以外は特に異常は見当たらない。
「んー、分かんない、です。も、もう一回やってみる、です!」
と、その手は少しだけ震えていた。次はそのとなりに置いてあった、翠の砡の欠片に触れる。
ぴかっ。
やはり、眩い輝きを放ち、ヒースヴェルトに吸い込まれる。
「んに~~っ!!これ、怖い~ッ。こんなこと、何回やれば、いいですか?」
うるうると、瞳に膜を張って訴えるヒースヴェルトに、リーナはいたたまれなくなって抱き締めて言った。
「大丈夫、毎日少しずつすれば、良いんです、怖い思いをしてまで急がなくても、いいんじゃないですか?」
「きゅぅ~…。が、頑張りたいっ、けどっ!なんか、ぼくの中に…入ってくるのがっ、怖くてっ。」
ついに、大粒の涙がこぼれてしまった。
「なぁ、ヒー様。ヒー様は食べることもできるんですよね。神力を込めなくてもいいなら、そっちの方が安心して取り込めないかな?」
ディランの提案に、プルプル震えているヒースヴェルトは、小さく頷いた。
「やってみる、です…。リーナ、リーナ、お手々、握っててね?」
リーナの手をきゅ、と握りしめて、次の砡の欠片を探す。そして見つけた、緋色の、欠片。
「食べるだけ、食べるだけっ!」
ぱくん。
その場に居る者は、何度か彼のその姿を見たことがあったが、毎度のことながらその姿は美しい。
瞳の色は砡の色を映し、髪の毛はオーロラを纏った星空のようにきらめく。これまではオパールの砡の色を見てきたが、この緋色の光は、まるで、燃える朝焼けのような、優しい朝日を思わせた。
「……ん~っ!!真っ赤なイチゴのお味!」
(((イチゴ………。)))
あとの三色は、どんな味がするのだろう。と、漠然と思った三人だったが、ルシオだけは、砡の欠片を食した姿を初めて見たので、その衝撃と美しさに言葉を失い……拝んでいた。




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