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ハンター
しおりを挟む「………ええと、どこからそんなブッ飛んだお考えに?」
「ぁい!!これ、です!!」
と、ヒースヴェルトが両手に抱え、見せたものは。
「「「新人ハンター・ライリー君の冒険…」」」
表紙には新人ハンター・ライリー君の、まぶしい笑顔が描かれている。
その本を大事そうに抱える、彼の目が。もう。
キラキラと輝いて虹色の粒子は応接室中に飽和状態で息苦しい程。
「……ちなみに、その絵本はどなたが」
「おじいちゃん、です!!」
(あの糞ジジイ)
アルクス初等部の子供たち向けに、職業斡旋のプロジェクトとして製作された、冒険物語。
砡術士以外の選択肢の一つになれば、と意識付け程度に作られた本なのだが、ヒースヴェルトにこっそり贈ってくるクソジ…首領に、そこにいた皆が心の中で毒を吐く。
「ヒー様、その…。」
「ライリー君のように、ぼくも、世界中をとびまわり、『スッゲェ砡の欠片』を見っけてくるぜッ!です!」
(あああっ!ライリー君の口癖が移ってる!)
「ヒー様!!トリシャ先生は言葉遣いは丁寧に、と言っていたじゃないですか。だめです、そんな乱暴な言葉遣いをなさっては!
それにハンターは危険です、危ないですよ。」
リーナは必死でやめさせようと説得するが。
「えぇっ??ライリー君は乱暴じゃ、ないです~!!ぼくは、ライリー君みたい、なるのっ!!!」
ハンターというのは、機械導具の扱いを重視せず、ただ質の高い砡の欠片を見付け、持って帰る役目の者。
アルクス所属の者もいれば、自由を愛しフリーランスで生計を立てる者もいる。
探し方は様々で、洞窟を探索したり、森の中を探したり。時には砡の欠片を集めているモンスターから奪ったりすることもある。
謂わば冒険家のような存在なので、展開率の低い子供には憧れの職業だ。
そして、この虹色の子も、まだ子供ということか。
「いやです、ぼくはハンター、やってみたいん、です。ぼくなら、見つけてすぐに、その飴が新鮮かどうか、分かる、でしょ?ぼくの浄化に必要なんです。ぼくが探しに行くのです…。ぼくがハンターになれば、効率がいいん、です!違い、ますか?」
ヒースヴェルトの考えが分かった。単純に絵本の主人公に憧れているだけの発言ではなく。
「ヒー様…。しかし自ら集めに行かれるなど…危険もありますし。」
フォレンが説得を試みるも。
「いーやー!!!フォレン、前に言いました!ぼくはぼくの思うようにしていいって!!」
「っ!!!」
フォレンはぎくっと肩を揺らした。
「言ったんですか!?フォレン様!」
そんなどうとでも取れるような事を、とリーナの怒りをひしひしと感じる。
「い……言った……かな?」
言った。大浴場で。
「はぁ……。」
フォレンもさすがに、これ以上は何も言えなかった。
「いいじゃないっスか。オレ、付き合いますよ。オレも元々ハンターやってましたし。」
突然の、びっくり発言。
「アシュト?何言ってるんだ…?おま、ハンターやってたのか?」
そんなの、知らない。と、ルシオさえも驚いている。
「子供の頃、家にお金がなくて、日銭稼ぐのにハンターやってましたよ。だから、どの辺りに砡の欠片があるとか、経験則ッスけど、分かるッス。」
なんだろう。
前にもあったような。
(くそっ…アシュトが頼もしく感じる……。)
「ヒー様。ハンター、一緒にやりましょ?オレが兄貴分としてお教えするッス。」
ひょい、とヒースヴェルトを抱えると、ヒースヴェルトはぱぁっ、と表情を明るくして勢い良く万歳した。
「わーーーーぃっ!!やっぱりアシュトは、ぼくのお兄ちゃん、です!!!」
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