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風の民
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この世界の通貨
1レル=1円程度 です。
******************
そんなこんなで。
鏡を渡しに来ただけのルシオは、他の機械を作るために、泣く泣く再びアルクスへ戻って行った。
ジャンニも、昼食の準備で結構前から居ない。
ヒースヴェルトは自室に帰り、アシュトのハンター講義に集中していた。
「じゃ、基本からッス。って言っても、神様候補のヒー様にお教えするのも変な話ッスけど。」
「ううん、そんなこと、ないです。ぼくは、まだ知らないことだらけです。」
ヒースヴェルトの部屋で、向い合わせで床に座り込む。
「簡単に説明すると、砡の欠片には大きさと純度で呼び名がついてます。」
礫(れき)…球体にもなっていない、1センチにも、満たない小さな石屑。売れない。
小砡欠片(しょうぎょくのかけら)…1センチ~2センチ程度の球体。純度は問わない。一般家庭で生活機械に使われる。千レル~1万レル
中砡欠片(ちゅうぎょくのかけら)…3センチ大の大きさ。純度によって値段がかなり変わる。術士の使う機械導具はこのサイズが主流。5万レル以上。
ヒースヴェルトのあめ玉は、このくらいの大きさで高純度。
大砡欠片(たいぎょくのかけら)…5センチ程度の純度の高いものに限る。それ以下の純度のものは中砡扱い。
転移装置や展開率審査盤などの大がかりな装置や、貴族の権威を示すための宝飾品などとしても価値が高い。100万レル以上はくだらない。
華護りはこの欠片で作る。
聖砡(せいぎょく)…神王級の大砡とも呼ばれ、大人の拳より大きい。これ以上の大きさの砡の欠片は無いため《砡》扱いになる。値段はつけられない。この世に四つ存在すると言われている。
「まぁ、こんなもんッスね。分かりました?」
「わかり、ましたー!ぼくが食べる欠片は、中砡欠片、です!」
「そっすね!新しいもの、ってなると、きっと結構上質な砡の欠片だと思うんで、今の時期で言うとルートニアス領は最適っすね。」
「時期?砡の欠片は、生まれる時期と土地と関係ある、ですか?」
「うーん…。詳しく説明は出来ねぇッスけど、オレは風の民っていう、昔から大気に敏感な一族なんです。だから、風の向きと、温度が変わるのが分かるッスよ。」
アシュトが以前、アイテムボックスをルシオに作らせるために短期間で上質な白の砡の欠片を探し出せたのも、実はハンター時代に培った経験と、風の民の能力によるもの。
「むむっ。風を読む…のですか。難しそうです…」
「あはは。そうッスよね。普通は、オレみたいな見つけ方はしないけど、ヒー様は今回はとりあえずお試しハンターなんで、オレについてくるといいッスよ!」
「ぁい!!新鮮で、あまーいお味の欠片を探しに行くのです!」
「ふははっ。新鮮で甘い、すか!いいなー、ヒー様。」
「砡の欠片、見っけてやるぜッ!です!」
ライリー君の真似をして、やる気満々のヒースヴェルトに、アシュトもほっこり微笑む。本当に、弟のような、でも仕えるべき至高の存在で。
(…家族の未来が幸せなら、オレはヒー様の側で兄ちゃんやってたいなぁ…。)
「ハンターの装備、用意してくるんで、2日くらい待って欲しいッス。いいですか?」
「ぁいー!」
アシュトの家は、エンブルグの中でも標高の高い位置にある村にあり、常に風が吹き風と共に生活する一族だった。
大きな混乱もなく、エンブルグ皇国が興った時にも、穏やかに見守ってきた。ただ、村には特産も何もなく、貧しいことで有名ではあった。
その割には翠砡の風の加護が大地に込められており、流行り病などには強く、健康な子が多く生まれるため、大家族が多かった。
そんな中、アシュトの家は珍しく二人だけの兄妹、四人家族であったが、父親が狩りで足を失い、稼げなくなった時から、親代わりにアシュトが日銭を稼がなくてはならなくなったのが、ハンター業の始まりだった。
アシュトが初めて村を出て、砡の欠片探しに行ったのは、八歳のときだった。
風を読む能力を駆使し、できるだけ多くの欠片を集めて町へ売りに行っていた。
1ヶ月のうちに見つけられる欠片の量は、大人のハンターで平均で5万レル程度。
そんな状況でアシュトは1日に1万レルは必ず買い取って貰えるほど、よく見つけてきた。
村で一番の稼ぎ頭になり、父親も喜んでくれていた。
妹のナルリリーは、家で母親と高原野菜の栽培に尽力し、麓の町で少しは稼ぎになるくらいまでになった。
その頃にはアシュトも成人を迎え、ハンターを続けていた頃、初めて砡術士と出会う。自分が集めて売っていた欠片を使いこなし、ハンターでは太刀打ちできない強力な魔獣を簡単に倒す姿に、純粋に憧れた。
それから、アシュトはアルクスの門を叩いたのだ。
そんなことを思い出しながら、アシュトは新人ハンター君の誕生のための準備をしに、町へと向かっていった。
1レル=1円程度 です。
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そんなこんなで。
鏡を渡しに来ただけのルシオは、他の機械を作るために、泣く泣く再びアルクスへ戻って行った。
ジャンニも、昼食の準備で結構前から居ない。
ヒースヴェルトは自室に帰り、アシュトのハンター講義に集中していた。
「じゃ、基本からッス。って言っても、神様候補のヒー様にお教えするのも変な話ッスけど。」
「ううん、そんなこと、ないです。ぼくは、まだ知らないことだらけです。」
ヒースヴェルトの部屋で、向い合わせで床に座り込む。
「簡単に説明すると、砡の欠片には大きさと純度で呼び名がついてます。」
礫(れき)…球体にもなっていない、1センチにも、満たない小さな石屑。売れない。
小砡欠片(しょうぎょくのかけら)…1センチ~2センチ程度の球体。純度は問わない。一般家庭で生活機械に使われる。千レル~1万レル
中砡欠片(ちゅうぎょくのかけら)…3センチ大の大きさ。純度によって値段がかなり変わる。術士の使う機械導具はこのサイズが主流。5万レル以上。
ヒースヴェルトのあめ玉は、このくらいの大きさで高純度。
大砡欠片(たいぎょくのかけら)…5センチ程度の純度の高いものに限る。それ以下の純度のものは中砡扱い。
転移装置や展開率審査盤などの大がかりな装置や、貴族の権威を示すための宝飾品などとしても価値が高い。100万レル以上はくだらない。
華護りはこの欠片で作る。
聖砡(せいぎょく)…神王級の大砡とも呼ばれ、大人の拳より大きい。これ以上の大きさの砡の欠片は無いため《砡》扱いになる。値段はつけられない。この世に四つ存在すると言われている。
「まぁ、こんなもんッスね。分かりました?」
「わかり、ましたー!ぼくが食べる欠片は、中砡欠片、です!」
「そっすね!新しいもの、ってなると、きっと結構上質な砡の欠片だと思うんで、今の時期で言うとルートニアス領は最適っすね。」
「時期?砡の欠片は、生まれる時期と土地と関係ある、ですか?」
「うーん…。詳しく説明は出来ねぇッスけど、オレは風の民っていう、昔から大気に敏感な一族なんです。だから、風の向きと、温度が変わるのが分かるッスよ。」
アシュトが以前、アイテムボックスをルシオに作らせるために短期間で上質な白の砡の欠片を探し出せたのも、実はハンター時代に培った経験と、風の民の能力によるもの。
「むむっ。風を読む…のですか。難しそうです…」
「あはは。そうッスよね。普通は、オレみたいな見つけ方はしないけど、ヒー様は今回はとりあえずお試しハンターなんで、オレについてくるといいッスよ!」
「ぁい!!新鮮で、あまーいお味の欠片を探しに行くのです!」
「ふははっ。新鮮で甘い、すか!いいなー、ヒー様。」
「砡の欠片、見っけてやるぜッ!です!」
ライリー君の真似をして、やる気満々のヒースヴェルトに、アシュトもほっこり微笑む。本当に、弟のような、でも仕えるべき至高の存在で。
(…家族の未来が幸せなら、オレはヒー様の側で兄ちゃんやってたいなぁ…。)
「ハンターの装備、用意してくるんで、2日くらい待って欲しいッス。いいですか?」
「ぁいー!」
アシュトの家は、エンブルグの中でも標高の高い位置にある村にあり、常に風が吹き風と共に生活する一族だった。
大きな混乱もなく、エンブルグ皇国が興った時にも、穏やかに見守ってきた。ただ、村には特産も何もなく、貧しいことで有名ではあった。
その割には翠砡の風の加護が大地に込められており、流行り病などには強く、健康な子が多く生まれるため、大家族が多かった。
そんな中、アシュトの家は珍しく二人だけの兄妹、四人家族であったが、父親が狩りで足を失い、稼げなくなった時から、親代わりにアシュトが日銭を稼がなくてはならなくなったのが、ハンター業の始まりだった。
アシュトが初めて村を出て、砡の欠片探しに行ったのは、八歳のときだった。
風を読む能力を駆使し、できるだけ多くの欠片を集めて町へ売りに行っていた。
1ヶ月のうちに見つけられる欠片の量は、大人のハンターで平均で5万レル程度。
そんな状況でアシュトは1日に1万レルは必ず買い取って貰えるほど、よく見つけてきた。
村で一番の稼ぎ頭になり、父親も喜んでくれていた。
妹のナルリリーは、家で母親と高原野菜の栽培に尽力し、麓の町で少しは稼ぎになるくらいまでになった。
その頃にはアシュトも成人を迎え、ハンターを続けていた頃、初めて砡術士と出会う。自分が集めて売っていた欠片を使いこなし、ハンターでは太刀打ちできない強力な魔獣を簡単に倒す姿に、純粋に憧れた。
それから、アシュトはアルクスの門を叩いたのだ。
そんなことを思い出しながら、アシュトは新人ハンター君の誕生のための準備をしに、町へと向かっていった。
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