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一章 飛空島
18 日暮れの工房
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どうしよう……。
入れてほしいって願われたら、お招きするしかないじゃん!
僕的には凄く…気まずいんだけど。
ヴォルカー様には他に想い人がいて、僕が勝手に好きになって…一人で落ち込んで。
ヴォルカー様は何も悪くないのに…。
「ティルエリー様、何か、お話されたいことがあるんじゃないですか?」
「………へ?」
「ここへ来る途中、心ここにあらずといった状態でしたから。…悩み事ですか?」
貴方のことです!!
……なんて、言えないよぅ……。
「い。いえ。噴水のこととか、考え事してて…。」
「あぁ…あの公園の…。そう、でしたか。それなら良いんです。あ、そうだ。少し、失礼しますよ?」
そう言うと、ヴォルカー様は僕の襟元に手を伸ばして……!
「ヴォルカー様…?」
何をして…。
「毎日、大変な思いをされていませんか?入学式前夜のことがご負担になっていないか…保健室にご避難されていて…あのようなことが起きたでしょう?まだ、心の整理がつかれていないかと思い、敢えて私の方から話さなかったというのもありますが…。」
「ぇ……?」
「《この学園で、平穏に過ごしたい。》」
「……ぁ、ははっ。僕のささやかな夢、です、ね。」
あの日、あなたの前で零した本音。貴方が笑顔で受け入れてくれたから、僕は…。
「ふふっ。アールベルが学園長に掛け合って、事件の噂を消してもらいました。……おそらく、前より幾分かは…過ごしやすくなったのではと…思うのですが。」
うん?ヴォルカー様、どうしたんだろう。いつもと違って歯切れが悪い…。凄く、考えながら話してくれてるような。
「ぅ?うん………。じゃなくて、はい……。」
よく分からなくて、首を傾げながら頷く。
「…………あぁ。駄目ですね。上手く話せない。…つまり、私は貴方のその小さな願いが叶うよう、幸せを贈りたいのです。」
ヴォルカー様が襟元から手を離すと、僕の襟には、さっきお店でヴォルカー様がお買いになった…エルフィネルの葉のピンブローチが付いていた。
え?
これは…誰か、他の方にあげるものじゃなかったの?
「これ……僕に…?」
「……はい。」
「誰か、他の人へのプレゼントではなく?」
「……ふふっ。はい。」
「僕の……ため?」
「えぇ。」
「…………本当に?」
「はい。」
どうしようもなく、嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
これが、たとえ学園の医者からの…ただの激励だったとしても。
「~~~っ。」
嬉しくて、気づいたら涙がポロポロ溢れてきて。
あぁ、駄目だ、ヴォルカー様を困らせてしまう。
「ッ!ティルエリー様、どうして……嫌でしたか?」
「ううん、ごめんなさい。嬉しくて…本当に、嬉しくて…!」
僕は涙を手でゴシゴシと拭う。
「喜んでいただけたなら、良かった。あぁ、強く擦っては駄目ですよ。」
そうしたら、やっぱりあの日みたいにそっとハンカチで優しく拭いてくれるんだ。
「…………ありがとう、ございます、先生。」
「……今日は、貴方のことを知れて、良かったと思います。…また、私と出掛けてくださいますか?」
そんなの、当たり前じゃん。
社交辞令なんだろうけどさ、それでもそう言って貰えるだけで嬉しい。
でも、僕のほうが…もっと、もっと一緒に居たいんだ。
「……………はい。僕、先生ともっと一緒に居たいです。」
ちら、とヴォルカー様を視線だけで見ると、ヴォルカー様の耳が赤く染まってた。
「それは……何と、可愛いことを仰ってくださいましたね。」
………えっ?
ヤバ、今声に出てたのっ?
「あっ、えと、ごめんなさい!他意はなくて…その、先生といると落ち着くんです。僕の心、初めて分かってくれた人で……。僕、ほらこんなでしょ?平民みたいで初めはみんな気安く接してくれても、クラインだって知ると距離置かれるの。
父さんの…工房の人も、そう。もっと、いろんな意見とか…意見じゃなくても雑談とか……そんなこと沢山したいのに、本心で話してくれなくなって。…でもね、先生は違くて、初めから僕の本音ちゃんと聞いてくれて…だからね、だから……。」
「私で宜しければ……たくさん、お話しましょう。私もただの生徒としての貴方を知りたい。…ただの十五歳の、貴方を知ることを許して?」
「ゆっ……許すとか、そんなこと。そっ…その代わり!」
僕は深呼吸して、思い切って言ってみた。
「僕も、沢山あなたを知りたい……ですっ。」
好きだから。
そんなこと、口が裂けても言えないけれど。でもきっと僕の顔は真っ赤だろうな。
「………こんなことなら、紫丁香花を買うべきでしたね……。」
ヴォルカー様が何かを呟いた気がしたけれど…。
なんだろう?
その日は、もう遅くなっちゃったからヴォルカー様は学園の教員寮にお帰りになったんだ。
広く感じる工房も、どこか暖かい。
ヴォルカー様が付けてくれたエルフィネルのピンブローチをそっと触れる。
「………好きになっても、いいよね?先生……。」
入れてほしいって願われたら、お招きするしかないじゃん!
僕的には凄く…気まずいんだけど。
ヴォルカー様には他に想い人がいて、僕が勝手に好きになって…一人で落ち込んで。
ヴォルカー様は何も悪くないのに…。
「ティルエリー様、何か、お話されたいことがあるんじゃないですか?」
「………へ?」
「ここへ来る途中、心ここにあらずといった状態でしたから。…悩み事ですか?」
貴方のことです!!
……なんて、言えないよぅ……。
「い。いえ。噴水のこととか、考え事してて…。」
「あぁ…あの公園の…。そう、でしたか。それなら良いんです。あ、そうだ。少し、失礼しますよ?」
そう言うと、ヴォルカー様は僕の襟元に手を伸ばして……!
「ヴォルカー様…?」
何をして…。
「毎日、大変な思いをされていませんか?入学式前夜のことがご負担になっていないか…保健室にご避難されていて…あのようなことが起きたでしょう?まだ、心の整理がつかれていないかと思い、敢えて私の方から話さなかったというのもありますが…。」
「ぇ……?」
「《この学園で、平穏に過ごしたい。》」
「……ぁ、ははっ。僕のささやかな夢、です、ね。」
あの日、あなたの前で零した本音。貴方が笑顔で受け入れてくれたから、僕は…。
「ふふっ。アールベルが学園長に掛け合って、事件の噂を消してもらいました。……おそらく、前より幾分かは…過ごしやすくなったのではと…思うのですが。」
うん?ヴォルカー様、どうしたんだろう。いつもと違って歯切れが悪い…。凄く、考えながら話してくれてるような。
「ぅ?うん………。じゃなくて、はい……。」
よく分からなくて、首を傾げながら頷く。
「…………あぁ。駄目ですね。上手く話せない。…つまり、私は貴方のその小さな願いが叶うよう、幸せを贈りたいのです。」
ヴォルカー様が襟元から手を離すと、僕の襟には、さっきお店でヴォルカー様がお買いになった…エルフィネルの葉のピンブローチが付いていた。
え?
これは…誰か、他の方にあげるものじゃなかったの?
「これ……僕に…?」
「……はい。」
「誰か、他の人へのプレゼントではなく?」
「……ふふっ。はい。」
「僕の……ため?」
「えぇ。」
「…………本当に?」
「はい。」
どうしようもなく、嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
これが、たとえ学園の医者からの…ただの激励だったとしても。
「~~~っ。」
嬉しくて、気づいたら涙がポロポロ溢れてきて。
あぁ、駄目だ、ヴォルカー様を困らせてしまう。
「ッ!ティルエリー様、どうして……嫌でしたか?」
「ううん、ごめんなさい。嬉しくて…本当に、嬉しくて…!」
僕は涙を手でゴシゴシと拭う。
「喜んでいただけたなら、良かった。あぁ、強く擦っては駄目ですよ。」
そうしたら、やっぱりあの日みたいにそっとハンカチで優しく拭いてくれるんだ。
「…………ありがとう、ございます、先生。」
「……今日は、貴方のことを知れて、良かったと思います。…また、私と出掛けてくださいますか?」
そんなの、当たり前じゃん。
社交辞令なんだろうけどさ、それでもそう言って貰えるだけで嬉しい。
でも、僕のほうが…もっと、もっと一緒に居たいんだ。
「……………はい。僕、先生ともっと一緒に居たいです。」
ちら、とヴォルカー様を視線だけで見ると、ヴォルカー様の耳が赤く染まってた。
「それは……何と、可愛いことを仰ってくださいましたね。」
………えっ?
ヤバ、今声に出てたのっ?
「あっ、えと、ごめんなさい!他意はなくて…その、先生といると落ち着くんです。僕の心、初めて分かってくれた人で……。僕、ほらこんなでしょ?平民みたいで初めはみんな気安く接してくれても、クラインだって知ると距離置かれるの。
父さんの…工房の人も、そう。もっと、いろんな意見とか…意見じゃなくても雑談とか……そんなこと沢山したいのに、本心で話してくれなくなって。…でもね、先生は違くて、初めから僕の本音ちゃんと聞いてくれて…だからね、だから……。」
「私で宜しければ……たくさん、お話しましょう。私もただの生徒としての貴方を知りたい。…ただの十五歳の、貴方を知ることを許して?」
「ゆっ……許すとか、そんなこと。そっ…その代わり!」
僕は深呼吸して、思い切って言ってみた。
「僕も、沢山あなたを知りたい……ですっ。」
好きだから。
そんなこと、口が裂けても言えないけれど。でもきっと僕の顔は真っ赤だろうな。
「………こんなことなら、紫丁香花を買うべきでしたね……。」
ヴォルカー様が何かを呟いた気がしたけれど…。
なんだろう?
その日は、もう遅くなっちゃったからヴォルカー様は学園の教員寮にお帰りになったんだ。
広く感じる工房も、どこか暖かい。
ヴォルカー様が付けてくれたエルフィネルのピンブローチをそっと触れる。
「………好きになっても、いいよね?先生……。」
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