空飛ぶ島は崩落寸前!?〜僕が攻略対象なんて知りません!

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一章 飛空島

30 離れ島庭園を調査!

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もっとあの空気を堪能したかったけど、ダメダメ!
今日は庭園調査をしないとならないんだ。
揺らぐ気持ちを奮い立たせて、僕は庭園を歩き出す。
「………………。」
公園の隅々まで歩き回って、魔道具の痕跡を探している間、ヴォルカー様も側に付いてくださった。
集中しちゃうと、ちょっとした段差なんか無視してガンガン進んでしまうから、よく躓きかけてはヴォルカー様に支えてもらって…。
支えてもらうたびにクスクス笑われて、ちょっと恥ずかしい…。
「……ありがとう…ございます。」
「いえ。こうやって、貴方の手に触れることが…とても嬉しいので。必ず支えますから、エリィは気にせず、集中なさってください。」
「はぅ……。」
どこまでも、スマート!!
エリィって呼ばれる度に僕の耳がゾワッてするんだ。
もっと呼んでほしいって気もするし、やめてほしい…とも思うし!
「それで、見つかりましたか?…私には、ただ美しい花畑であるように思えるのですが……。」
「そうですね……。パッと見ただけではわかりにくいですよね。…でも、例えばココ。」
僕は、散歩道の脇にある、溝を指さした。
「一見したら雨水や水やりの残水を排出する溝にも見えるけど、これは、回路。」
「!!これが、ですか…?」
「魔核が起動するのと連動して、ここも動くように設計されてるんです。そして、魔核は起動しているから………この離れ島庭園の土は、養分が足りている良い土に改良されてる。」
「土の状態を維持する魔道具…ということなのですね。」
「だから、崩落には関係なさそうです。…でも、いつまで起動するかも分からないし、魔核の状態は確認しとかないと…。」
連動して起動するとしたら、掘られた溝の回路の位置を予測して魔核が嵌められている場所を探る。
予測、というのは、公園の中心部分。二人で、その周辺を探し回っていると。
「エリィ!こちらへ。」
ヴォルカー様に呼ばれて、僕は駆け寄った。
「ここの窪み、噴水の地下への入り口の仕掛と似ていませんか?」
花壇の煉瓦が奇麗に並んでいたけれど、一つだけサイズが違った。
「本当だ!ヴォルカー様すごい!」
そっと触れてみると、意外と素直に取り外せた。
「あった!魔核だ……。まだ生きてる。……わぁ………凄いや……こんな考え方できるなんて…きっと作った人は当主クラス…。」
透明な魔石に刻まれた、淡い金色にも見える黄色の魔核。
眺めていると、ヴォルカー様も隣に座り込んで、首を傾げる。
「見ただけでも、構造…のようなものが分かるのですか?」
「えぇ。特にここは、花壇の形が回路の形になっていますから。」
離れ島庭園が、綺麗な円形であること。
囲むように花が植えられ、遊歩道が迷路みたいなデザインになっているのも、庭園の土全体に魔道具の力を行き渡らせるためなら、納得だよね。
「この魔核なら、あと5年は持ちそうです。念の為、3年後には交換しとくといいです。」
「それも含めて、報告書を書きましょう。私もお手伝いしますよ。」
そっか、あくまでこの島の管理はツインタワーだもんね。
アールベル王子にちゃんと報告してから…僕にできることも提案しておこう。
「コレは…崩落に繋がるような魔道具じゃなかった…。もっと!探そう!!」
「えぇ。お供しますよ。」


◆◇

結局、離れ島庭園自体の魔道具は土の改良の魔道具だけで、他には見当たらなかった。
落ち込む僕を慰めるみたいに、ヴォルカー様は手を繋いで隣を歩いてくれた。
「…花壇の魔道具では…予知夢に繋がるような物ではなかったようですね。」
「うーん……。何か見落としているような………、ん?」
帰り際。
離れ島庭園と飛空島本土を繋ぐ橋に足をかけたとき。
「ぁ……。何故見逃していたんだろう。」
この橋が、魔道具であることを。
(あぁ、そっか。ヴォルカー様と思いが通じ合って舞い上がっていたからか……。情けない……クラインが魔道具を見逃すなんて)
「エリィ…?」
「すみません。……この橋は、魔道具です。来たときは…その、見逃してて。」
白い石橋は十メートル程。よく見れば、橋を舗装している石畳に、回路のような模様が刻まれていた。
「!!橋……ならば、崩落する可能性もありますね。調べましょう。」
「はいっ!」

◆◇

「ヴォルカー様…、この回路を見て、魔核がどこにあるか予測したんだけど…多分、裏側にある。」
「……裏側……?橋の、下ということですか?」
「空に浮かぶとかしないと、その場所まで行けません……。」
僕が立っている位置の、真下に魔核があるはずだけど、やっぱり覗き込んでも見えない。
「それなら、私に任せてください。結界と浮遊魔法でなんとかなります。」
「へ?浮遊……ヴォルカー様、神聖力だけじゃなくて、魔法も使えるんですか!?」
「えぇ。ノクティス家は、元々魔法使いの家系なんですよ。私がイレギュラーなだけで。」
そうなんだ…。魔法も使えて、神聖力も強くて、それに毒で力を失わなければ、槍の名手なんて。
王女様が好きになるのも分かる気がする。
でも、だからって、強引に引き抜きにかかるなんて、ヴォルカー様に失礼だよ。
「エリィ…?どうしたんですか。顔が怖いですよ?」
「えっ?あっ…ごめんなさい、ヴォルカー様。何でもないです。」
変な顔してたんだろうな。
「そう?……じゃあ、浮かんでみましょうか。側に来てください。」
僕はヴォルカー様の手を取り、横に立った。ヴォルカー様は足元に神聖力で出来た結界を板状に固定して、魔力を纏わせる。風の魔力だ。
「なるほど……。神聖力と魔力が、共存してる…!」
凄い!こんなことが出来るなんて!
「……貴方も、魔道具で同等のことができるでしょうに……やはり、気づいてはおられないのか。」
「ヴォルカー様…?」
ぽつり、とつぶやくくらいに小さな声で、何か呟いてたけど、ヴォルカー様は軽く首を振ると、足元に神聖力で出来た円盤のような結界が、ふわりと浮いた。
「わっ!?すごっ…浮いた!!」
「さぁ、橋の真下へ参りましょう。」

ゆっくり浮かんで、本当に不思議な感覚。この結界板が消えてしまえば、僕とヴォルカー様は地上に真っ逆さま!!な危険な状態だというのに、ヴォルカー様と手を繋いでいるからかな。
全然怖くなくて。
「怖い…ですか?」
「……いいえ。貴方が一緒なら全然。」
「ふふっ。そう言っていただけるなんて、嬉しいですね……。」
僕たちはピッタリ寄り添って、魔核がある橋の底に移動した。

そこにあったのは、危険としか言いようのない、今にも砕けそうな、ひび割れた魔核だった…。
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