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二章 宝探し
50 婚約の理由
しおりを挟む「婚約、おめでとう!!」
学園が休みの日、工房でささやかなパーティー。
アールベル様と、シャルルが婚約をしたんだ。
ギーヴがヴォルカー様にどんな話をしたのか分からないけど、まさかあのシャルルが婚約を受け入れるなんて。
「どうして婚約を決めたの?」
率直に聞いてみると、シャルルはニコニコしてる。まぁ、当たり前だけど脅されたりしたわけではなさそう。
「ティル様のお側にいたいから、ですよ!」
「…………ん?」
答えになってなくない?
「お父様とお母様…特にお母様は体裁を気にする人ですから、卒業までに高位貴族の方と縁付きなさいって口酸っぱく言われていたんです。でも、私には最初、ティル様を助けることしか考えていなくて…あわよくば、お近づきになろうと思ってた矢先に、ヴォルカー様と相思相愛になってしまって」
「…ご、ごめ……。」
「いえ!寧ろ喜びました。私のイチオシ様と、他の攻略キャラとの恋愛……薄い本も結構出されてたんですよぉ~。だから、リアルにBL堪能することにシフトチェンジしました!」
ん?、ウスイホン……?しふ……またシャルルのよくわからない単語が羅列してる……。けど、なんか嬉しそうだし、いっか!!
「…それで、ギーヴ君とヴォルカー様に言われたんです。」
「あっ、それそれ。何を言われたの?」
「先に相手を決めておくと、親からのプレッシャーに回避できるし、クラスの男の子たちも寄ってこないよって。…ましてや、飛空島で一番の権力者で、地上でもエンダタール王国の王子のアールベル様が、私に好意を示して下さるのは、本当に有り難いことなんだよって。……私の気持ちは、まだ…分かりませんが、少なくともクラスの平凡な男の子たちより、有能でしょ?って言われて………。」
な、成る程……。お互いの気持ちは追々。高位貴族との結婚をうるさく言う親を躱すためにも、アールベル様をその席に…ってことか。
アールベル王子は、婚約者としての立場を得られて、これからは遠慮なく…これまでも遠慮なんかなかったけど、シャルルに振り向いてもらうために愛せる……。
シャルルから聞いた言語……ウィンウィンってやつでは……?
「アールベル様は、僕から見ても凄く素敵な男性だよ。…ヴォルカー様を支えてくださった大事な人。彼の恋が叶えば、僕も嬉しい。…でも、シャルルも僕にとって大事な人なんだ。二人ともが、幸せになって欲しいな。」
「ふふっ。ありがとうございます!私が卒業後にティルの工房に勤めるためにも、アル様を支えないとならないの。私、王子の婚約者としてがんばりますわっ!」
…………んん?
工房で働くために、アールベル様を支える……?
どういうこと………?
シャルルはそれだけ言うと、料理の並んでるテーブルに行っちゃった。
「不思議に思ってらっしゃるでしょう?」
ヴォルカー様が、シャルルの話を聞き終えたあとにそっと隣りに来て微笑む。
「…ぁ、ヴォルカー様。……はい…。シャルルが働くために、アールベル様を支える…っていうのは?」
「ギーヴ君の提案です。…あの子は本当に言っていることの重大性を分かっているのか……。しかし、夢をかなえるには、最も効率が良い手段だったのは確かです。…しかも、エンダタール王国の跡目争いに終止符を打てる。」
はぁっ?な、何で跡目争いにまで飛び火してるのっ!?
「あ、ほら。来ましたよ。」
アールベル様が優雅に一礼する。ぅお……やっぱカッコイイんだよなぁ……。
「ティルエリー様に大切なお話がございます。」
「な、何…ですか、そんな、畏まって……。」
「………まだ…非公式ではありますが、私はシャルル嬢と婚約をし、エンダタール王国の継承権を返上します。…つきましては、ティルエリー様のブロディアとして、仕えさせていただきたく。」
ええええっ!!?
アールベル様!?
しかも、ぼ、僕のブロディアにっ!?
「へへっ。イイ案だろ?アールベル王子もシャルルといられるし。…ほら、皆一緒だ!」
本当だ………。
卒業しても、皆で………いられる。
「まぁ、王位を狙うことはなくなっても、アールベル様は国王の息子であることには変わりないし。
伴侶になるマルローズは最低限社交界に顔を出さなきゃならない。…でもそこで恥でもかいてみろ。既婚女性が働くことが珍しいこの国で、彼女を雇っているティルエリーの工房の評価も下がるし、アールベル様の評価も下がる…良いことは無い。
だからマルローズは王子妃並みの実力を身に着けてもらうので、どうだ?って、…二人なら出来ると思ったから、提案したんだ。」
「えぇ。ですが…男爵令嬢のために王位を諦めた…なんて、認めない連中は多くいます。ウチのクソ……父上もその一人ですしね。アールベル王子を次期王にと推している連中を黙らせる必要があります。
だが、次期クライン当主様は、王宮に住むことはなく…辺境の伯爵領に行く。それを守るのが元第二王子ならば、文句をつけられないはず。…それ程、クライン当主を守護するということは、王政を掌握するより遥かに有用なのですよ。」
僕が、王宮から出ることでアールベル様もシャルルと居られる未来が叶えられる。
え……もしかして、僕のわがままが役に立ててる?
「まぁ、マルローズは何だかんだ言ってもアールベル王子に惚れてるよ。本人にその自覚はねぇけどさ。…大丈夫だ。あいつのアールベル王子を見る目はルルアが俺を見てくる目と同じ。信頼してるって顔だ。恋とか愛とかには、まだほど遠いだろうけどな!」
信頼してる……そっか、愛してなくても、一緒にいることで安心したり。
「なんか……そういうのも、いいね。」
「……で、実行することにした。……ティルには悪いことしたな。勝手にブロディアに推すなんて、暴挙だよなぁ……。嫌だったら、別の方法を考えないと……。」
「ギーヴ、そんな必要ないよ。……実は、アールベル様の武器、僕も作ってみたかったんだ。父さんの氷剣よりもスッゴい魔道具、作らなきゃな!!」
こうして、僕の《血を護る者》候補の二人目が決まったんだ。
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