空飛ぶ島は崩落寸前!?〜僕が攻略対象なんて知りません!

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二章 宝探し

51 夏休み前のティーパーティー

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「今日は集まってくれて感謝する。学園で良い成績を修めた者を中心として集まってもらった。褒美だと思って存分に楽しんでほしい。…二学期も期待している。」
学園理事と一緒に主催席からアールベル様も挨拶してる。
ご褒美だ、ということで大いに盛り上がる生徒たち。
庭園にセッティングされた食事やお菓子、飲み物はどれも一流で日頃の寮の食事とはまた違った雰囲気。
勿論、学園の全員を連れてくるわけにはいかず、ある程度選別した結果なんだって。
でも、ティーパーティーに呼ばれなかった生徒も、記念品は貰えるよ。
「やぁ、楽しんでいるかい?」
「アールベル様!本格的ですね、飛空島でこんなお茶会が体験できるなんて嬉しいなっ!」
クライン血族のお茶会には何度か出たことあるけど、それよりもアットホームな感じがして、好きだなぁ。
皆、制服で参加してるし。
「ヴォルカーは……どうした?」
「今、お菓子を取りに行ってくれています。フルーツタルト、多めに用意してくれたの、アールベル様?」
「ああ。ヴォルカーに依頼されてな。お茶だけでなくてコーヒーもジュースも存分に用意してある。堪能してください。」
パチ、とウインクをくれた。
えへへ。やっぱりヴォルカー様が提案したんだ!
「エリィ、お持たせしました。あちらの席で食べましょう!」
「あっ!ヴォルカー様!」
僕はヴォルカー様の側に寄ると、両手が塞がっている彼のお皿を一つ受け取って、席に移動する。
アールベル様も既に紅茶を飲んでいるし、一緒に座って楽しむことに。
「……この茶会が終われば、夏休みですね。エリィは、ご実家に帰らないのですか?」
「えぇ。飛空島でやりたいことがありますし。」
ヴォルカー様の封印毒を解く魔道具を作って、それから宝探しの続きもしたいし。
それに、父さんは自宅には全く帰らないし、工房に行っても僕には会ってくれない。
どうせお付きの人かブロディアに用件を伝えてもらうだけ。魔道具を渡したりとかね。…取引先の人みたいに。
「それでしたら、私と同じですね。私も公爵家には戻りませんし、エルナリアの大神殿も、今は足を運ぶには危険ですしね。」
「……ほぇ?ヴォルカー様も帰らないの…?」
「夏休みの間、寮も教職員寮も閉まります。…私の別荘にいらっしゃいませんか?」
「べ…別荘っ!?」
そんなもの、持っていたの!?
「ふふっ。元々、長期休暇用に昨年買ったものなのですが…。使用人も飛空島で雇った、公爵家とは関係ない者たちです。…エリィがよろしければ、工房で寝泊まりするよりは健康的に過ごせると思いますし、いかがですか?」

ヴォルカー様の、別荘に、ぼ、僕が……っ?
一緒に住むってこと!!
同棲?
付き合ってるから同棲だよね?
ふおおおおおう!!!
「は、はいっ!!お邪魔でなければ…お願いしますです!!!!」
「ふふっ。良かった。」
ヴォルカー様と同じコーヒーを並んで飲んで、夏休みの予定をあれこれ話していたら、少し離れたテーブルでお茶会には相応しくない騒がしい声がした。

「……おや。どうやら我らの可愛い子鼠が騒動に巻きこまれているようですね。…アールベル、行ってください。」
シャルルが、何かトラブルに遭ってるみたい。
大変だ、止めないと!!
僕も行こうとすると、ヴォルカー様に止められた。
「エリィ、ここはアールベルに任せましょう。愛しい姫を助けるのは、婚約者であるアイツの特権ですよ。」
「あっ…ふふっ、そっか!」


◆◇

(アールベル視点)


ティルエリー様らと楽しい席を囲んでいると、後で合流しようと思っていたシャルルの周りが騒がしい。
ここはすぐにでも助けに行くべきだろう。
ヴォルカーからも助けに行けと促され、早々に席を立つ。
騒がしいレディが、私の婚約者を罵っているように見えるが…シャルルのスカートが濡れていた。石畳には、砕けたティーカップ。
なんということを…。
「ふざけんじゃないわよ、どうしてアンタなんかが!!私は伯爵令嬢なのよ?アンタなんかより格が上なの!」
彼女はこの度のお茶会の趣旨を知らないらしい。…それで自分より下位の貴族に難癖をつけているというわけか?
「失礼、レディ。何か問題でも?」
できるだけ怒りを抑えて穏やかに。
相変わらず作り笑いを浮かべるこの顔は…私自身好きになれぬ。
「あっ、アル様。ここの皆で、このお茶会は成績上位の生徒や日頃の功績のあった人の集まりだって話してたんですよ。…でも何故か私、お茶をかけられたんですよね。」
シャルルも、茶をかけられた程度でヘコむような性格ではない。
大して気にしていない彼女に、作り笑いではない、本当の笑みが溢れる。
「シャルル、可哀想に……守れなくてすまなかった。…着替えておいで。そこの使用人についていくといい。私個人の控室に着替えを用意してる。」
「い、いいのですか?途中退席なんて、マナー違反じゃ……」
「ふはっ。紅茶をかけられた子が何言ってるの?明らかにあちらのレディの方がマナーを逸脱してるよ。それに退席じゃなくて、着替え。また戻ってくるんだから問題ないよ!
さ、風邪をひくから早く行っておいで?不安なら、ティルエリー様やヴォルカーにも付いて行ってもらうといい。」
「!そうします!!」
あ、最後の助言が当たったな。
シャルルは笑顔でティルエリー様の方へ走っていった。
本来なら私がエスコートしてあげたいが、茶会の主催としてはこの場を治めねばならない。
「…さて。君は確か2年生のクラスだったね。私の婚約者が気に入らなかったみたいだけど…?」
「アールベル王子殿下の婚約者ッ!?そ、そんな…わ、私……っ。」
「それに、ここで話をしていたそうだけど、誰か教えてくれるかい?シャルルは間違ったことを言ってのかな?」
私が促すと、近くにいたシャルルと同じクラスの女子生徒が教えてくれた。
「いえ、間違っていません。私達は招待状を持参してきましたが、その…そちらの彼女はお持ちでなかったようなので、どのようにしてお茶会の会場に入り込んだのか…と。」
招待していないのに、図々しくもこの場に踏み入れたのか。
…一学期の成績や功績に見合った者を、かなり間口を広げて招待していたのだが、やはり実力を出せずに結果に結びつかない者もいた。
彼女もその一人か。
「…残念ながら、全員を招待するわけには、いかなくてね。学園側の意向に沿って一学期の学園生活態度、成績…総合的に判断されたそうだよ。勿論、私はその選考に関わっていない。」
「でっ…ですが!!私は伯爵令嬢です!成績も良かったのに…平民も参加しているのに、こんな屈辱……!」
私はこの茶会のセッテイングや演出を任されただけで、招待客の選別には一切関与していない。
ティルエリー様は勿論、シャルルも一学期の成績、授業中の態度、教師からの評価も全て聞いていたから、参加者であることは分かっていたが。
「屈辱?リドナ=ロンベルト嬢……君の日頃の学園での態度を学園側が知らないとでも……?」
厳しい声が彼女を叱る。
声のする方を見ると、そこには学園理事を始め、教師たちが集まっていた。
「日頃からの平民や下位貴族の子息令嬢に対する君の態度は、褒められたものではないよ。ある程度常識的な生活をしていれば、この度の茶会には呼ぶように選定している。それにも引っかからないのは、成績云々よりも…その態度だろうね。伯爵令嬢ともあろう者が人にティーカップを投げつけるとは。」
ため息とともに選ばれなかった理由を教師が説明すると、彼女は顔を真っ赤にして走り去って行った。
「……はぁ、やれやれ。アールベル王子殿下、生徒が申し訳ありません。」
「いや、よい。ここは任せてもよろしいですか?…愛しい婚約者を迎えに行きたいので。」
「おや、はははっ。勿論ですよ、承りました。殿下もそのような表情をなさるのですね。」
……?
理事から言われて、首をひねった。
一体、私はどのような表情をしていたのか……。
いや、そんなことよりも。
「失礼。」
早く、シャルルのもとへ行こう。


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