空飛ぶ島は崩落寸前!?〜僕が攻略対象なんて知りません!

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二章 宝探し

54 玻璃平原

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荷物をまとめて、寮の部屋の鍵を閉める。寮の入り口には、ヴォルカー様が待ってるんだ。
早く行かなくちゃ!!
夏休みに必要な荷物って言っても、パーティーや茶会があるわけでもないし、普段着や宿題なんかを詰め込んだ小さなトランクを持って階段を降りる。
そしたら、夏休み前に少しだけ髪の毛を切ったヴォルカー様。
夏仕様、超カッコイイですね!!
「エリィ!荷物をお持ちしましょう。馬車まで少し距離がありますからね。」
「あっ、ありがとうございます、ヴォルカー様。」

「別荘は、どの辺ですか?」
「飛空島の南端、玻璃平原の別荘地帯ですよ。」
「玻璃平原ッ!?高級別荘地!!!」
別荘地は、飛空島の中にもいくつかあって、中流階級のお貴族様が手軽に購入するのが華蓆岬。
玻璃平原は、名前の通り全て不思議な魔法硝子で囲まれているの。
その環境は、完全に守られる安全地帯。
それもあって、土地代は物凄く高いんだけど。
ヴォルカー様、公爵家のお金は一切使ってないって言ってた。だから、神殿で騎士として戦っていた頃の稼ぎだけで…?
「……ふふっ。驚きましたか?実は、神殿騎士団は、傭兵団や冒険者ギルドと同じ扱いなのですよ。所謂実力主義……魔物の強さや倒した数、結界を修復した件数……全て統括ギルドを通すので、騎士個人が頑張れば頑張るほど、騎士団ではなく、自身が潤う。ギルドは騎士を受け入れ、神殿は騎士団の冒険者登録料を、定額で払う。そんな仕組みなんです。」
「ふぉぇ………。でもでも、そしたら冒険者さんや傭兵の人からバッシングとかありそうじゃないですか?」
「いえ。得には。…そうですね……逆に、高い魔道具を用意せずとも簡単な治癒や結界を張れますから、パーティー申請などを請け負うこともありますしね。
そういった場合、難易度の高めの依頼にも挑戦できるので、意外と仲良くやってるんです。」
回復系の魔道具は確かに高額…。収入の少ない冒険者さんや傭兵の皆さんは、怪我をしてもなかなか治癒できないんだ。
「ええぇ……、僕の想像してたのと違う。もっと軋轢とかあるのかと思ってた……。」
「その仕組みを確立したのが、今の冒険者ギルド長とフォード司祭様です。彼らは古い友人同士で、互いの良さや弱さを知っていたからこそ、効率と安全を考えて、体制を作り替えたそうです。」
「フォード司祭って、凄い人なんだね。それに、ギルド長さんも!!」
「…えぇ。ですが、今後貴方の《神の聖杯》が地上に降り立てば、また神殿や冒険者たちの生活は変わってくるでしょう。」
「……どうして?」
「あの魔核を通した水は、回復薬になるのです。量や使用期限があるのか…など、研究は必要でしょうが、それを一定量、瓶などで小分けして売ることも可能です。エリィの工房の、安定的な収入にも繋がりますし、それを管理する者を…そうですね、ギーヴ君に頼んでアウローラ商団に任せるのも良いでしょうね。
…まぁ、当初考えていたのですが……神殿に献上して、エリィ自身の価値を上げる方法もあります。ですが、それですと全世界に行き渡らせることは…むずかしいでしょうね。」
「えぇ……?僕の価値?そんなものいらないよ。僕は皆が笑顔になれるよう、魔道具を広めたいんだから。」
「でしたら、多く活用できる冒険者ギルドへ卸すのが正解でしょうね。ふふっ。エリィは優しいです。」
アウローラ商団なら、全世界に販路かあるってギーヴが言ってた。
「………うん。僕は、それがいい。」
「ふふっ。はい。」
そんなことを話しながら過ごしてると、あっという間に玻璃平原が見えてきた。
「きゃあぁっ!!綺麗っ!!凄い!!」
魔法硝子って、どんなだろう?って思っていたけど、想像以上に綺麗だった!
太陽の光がキラキラと反射して綺麗。
「硝子と言っても、魔法でできているそうです。光は勿論、風も通り抜けるそうですが、生き物…人や動物なんかは、抜けられない構造になっているそうですよ。」
「………へぇ……。」
そんな不思議な現象が恒久的に維持できてるんなら、あれがあるのかも。
「ヴォルカー様、もしかしたら……」
「えぇ!私も思っていました。きっと、あるはずですよ、ハウザー様のアーティファクトが!」
「!!ヴォルカー様っ、探そう!!一緒に探しに行こっ??」
身を乗り出して興奮して言う僕に、ヴォルカー様は微笑んで頷いてくれた。
「エリィ、でも夏休みの課題もありますね?まずはそちらを済ませてからです。アールベルにも釘を差刺されましたからね………。『ティルエリー様の課題の成績が落ちたとしたら全てお前のせいだからな』と。……ですので、課題が終わるまでは…私は家庭教師として貴方のお世話をすることにしました。」
「えええっ!?そんな…っ!」
ヴォルカー様との甘い同棲生活は?ヴァカンスはっ!?アーティファクト探しの愛の大冒険はぁ!!?
僕が肩を落として落ち込んでると、ヴォルカー様がぽん、と頭に手をおいて撫でてくれた。
慰めてくれるの?

「ですが、課題を終えれば……存分に甘やかして差し上げます。…アーティファクト探しにも出掛けましょう。それに、夏にだけ開放される飛空島の湖で泳ぎましょうか。水着も用意させてますよ。」
「~~~ッ!!がっ……頑張る!!!すぐに課題終わらせます!!」

よーっし!!
課題、頑張るぞーーーっ!!



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