空飛ぶ島は崩落寸前!?〜僕が攻略対象なんて知りません!

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二章 宝探し

55 ご褒美は…… ★

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「先生!どうですか?」
「……………ん。良いでしょう。すべて正解ですね。」
「やった!今日の課題終わり!!!」
僕は背伸びをしてヴォルカー様に抱きつく。
夏休みになって一日目。
僕は早速課題に真面目に取り組んだよ。
だってヴォルカー様と遊びたいもん!!
「エリィ、よく頑張りました。…これなら、すぐにでも終えることができそうですね。」
「僕、頑張ったでしょ?あのっ、ご褒美…く、くだしゃい!!」
やべ、噛んじゃった……!
「ご褒美……ですか?」
ヴォルカー様のお膝に乗ると、彼の胸に頭を擦り付ける。僕、頑張ったでしょ?と上目遣いでおねだりしてみる。
すると、ヴォルカー様は頭を撫でてくれながら破顔した。
「では……口づけしても?」
ヴォルカー様の指が、僕の唇に触れる。
「はい………キスしたい、です。」
ご褒美のヴォルカー様のキス。
なんて素敵な響き!
「ん……んぅ……ん。はっ……ぁ……」
大人なキスをくれて、ヴォルカー様が微笑む。
「エリ………、エリィ。愛してます。」
ヴォルカー様……そんなお顔で見つめられると……
僕はゆっくりと頷いて、彼に身体を預けた。
「は……んんっ、ぅぅ…っん!ぁっ……」
ぴちゃ、くちゅくちゅ、と唾液の混ざる音が、いやらしい。
「んんっ……ぉるか…ぁしゃま」
唾液が溜まって喋りにくい。口の端から垂れて……。
「飲んで……?」
耳元で囁かれる。
僕は言われるがまま、ヴォルカー様のと混ざった唾液をこくん、と飲み込んだ。
「よくできました。」
褒められた…っ!
「エリィ……ティルエリー。私の最愛。」
ヴォルカー様との甘いキスは、身体中が痺れて、気持ちよくさせる。
ソファに押し倒されて、そのまま………。

バァン!!!!

「!!!?」

突然ドアが開かれ、誰かが入ってきた。


◇◆


(ヴォルカー視点)

「ヴォルカーっ!!!そこまでだッ!!!」
突然開かれたドアの前には、ノクティス家で家臣らを取り仕切っているノクティス公爵の側近……の息子、現執事長のマーティアスの姿があった。
「マーティ!?何故お前が……。」
口の悪さは問題だが、幼い頃からずっとノクティス家に仕えてきた、謂わば幼馴染。
ノクティス家で私が唯一腹を割って話せる相手…では、あるのだが。
「アールベル殿下よりご命令を賜りました。『若く美しいエンダタール王国の至宝、未来のクライン御当主様の貞操を奪う不届きな公爵令息の所業を見過ごす事勿れ。断固阻止せよ』と。…っていうかなぁ、成人前の学園生徒を穢そうなど…許さねぇぞ、ヴォルカー!」
ピラ、とヴォルカー様に見せたのは、豪奢な金箔押の羊皮紙。王室からの正式な勅命書だった。
「ぐっ……、あの男は………ッ!」
アールベルめ、こんな時だけ王家の権力を使うなど卑怯な…!
「ヴォルカーしゃま……大丈夫…?あのひとは、誰……?」
くっ…マーティアスの鬼の形相にエリィが怯えているではないか!
「マーティ!エリィが怯えている。その釣り上がった目をどうにかしろ!」
「ならお前がまずその手をお離しなさい!ティルエリー様、お初にお目にかかります。ノクティス公爵家執事長のマーティアスと申します。夏休みの間、こちらのお屋敷で快適にお過ごしいただけるよう、誠心誠意お世話させていただきます。」
くっ、執事長は無駄に整った容姿は、社交界でも有名だ。エリィが誑かされてしまうのではないかと、内心焦ってしまう。
「マーティ!そのようなものはいらん、エリィのお世話は私がやる!!帰れ!」
「ダメです。若様に任せるとティルエリー様が穢されます。先程だって学生相手にするような接吻ではありませんでしたよ!」
ぐっ。
学園から離れて、エリィと二人水入らずだというのに………やっと身と心も結ばれると思っていたのに!
「みっ……見てたのッ!??いやぁああーーっ!!」
「お労しやティルエリー様、そのように乱されて……。湯浴みの準備が出来ております。そちらに行かれてくださいませ。」
あれよあれよという間に、エリィは屋敷の使用人らに連れられて浴場へと行ってしまった。
可怪しい。
ノクティス家とは関係ない人間を雇っているのに、何故こいつの指示に皆が従うのだ!?

「………さて、若様。急な訪問、申し訳ありませんでした。…殿下からの書状を受け取り、急ぎ公爵家の夏休み期間の仕事の引き継ぎを行ったのですが…時間を要してしまいました。」
こいつ……本当に夏休み期間中ずっと居座る気か……。
「…来なくても良かった。」
アールベルは学園の責任者の一人だ。
ティルエリー様を大切な生徒として預かる義務がある。
……私もその教員の端くれであるのは間違いないが……どうしてもエリィを目の前にすると彼の可愛さに欲が勝ってしまうことも事実だった。
だが、愛おしい彼のすべてを愛してあげたかったのに邪魔をされたようで…いや、邪魔をしてきたのだが…気に入らない。
「そうは参りません。王家からの勅命は絶対です。」
マーティアスはため息混じりに勅命書を仕舞うと、真面目な面持ちで私の隣に座る。
「ったく……。自制しろと殿下からもキツく言われているだろうに。初日から何やろうとしてた?」
「っ……何も。ただ、触れたいと……。」
「触れるだけで済んだと思うか?」
「………ぐっ………。」
図星を突いたマーティアスは得意げに笑みを浮かべた。
「今、初めてティルエリー様を拝見したが…美しいがまだ子供じゃないか。大人のお前が守らねばならんのに、お前が傷つけてどうする。」
「………はぁ…。分かったよ。私だって、こんなにも感情のコントロールが利かなくなるなどとは思っても見なかったのだ。
彼の前では……どうしても自制できなくなる。欲を出してしまう。もっと触れて…身体中愛したいと思ってしまうんだ。駄目だと……分かっていても、な。
学園では常に友人やアールベルが牽制してくれるから保っているがね。……正直に言えば、お前が来てくれて助かったよ。」

とんだ邪魔者が来たと思ったが、エリィのことを考えると、これで良かったのかも知れない。
純粋な彼を、浅ましい私が壊してしまわないようにするには。



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