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絶望からの復活

宗之の考え

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「そうと決まれば行動を起こそう。クック大将軍はゲレーロに降伏の使者を出すんだ。そして、すぐに全軍を率いてイケブクロまで行くぞ。」

「ちょっ・・・宗之、お待ちなさい!いきなり全軍を率いるなんて無茶です。最低でも準備に3日はかかります。」

宗之の速すぎる行動について行けないサトミ女王は少しゆっくりしたかった。

「姫、実はいつでもゲレーロや他の独立した国と戦えるように常に準備はしておりましたので、準備は半日で出来ます。時間からして今夜の11時には出発できます。イケブクロに着くのは朝方になるかと思います。」

クックはゲレーロがクーデターを起こす前から最悪の事を考えて、軍を興して戦える準備をしていた。

必ずサトミ女王を脅かす連中が現れるだろう。戦うことになるであろうと考えていたのだ。

「じゃあ、晩飯の時間まで俺は寝とくか。あ、そうだ。姫は仮面を被ってもらいたいから、なんか探しといてくれ。」

「へっ?」とサトミ女王はポカーンとした間抜けな顔を見せる。

「ゲレーロを討ち取るために侵入するんだ。ゲレーロに会う前に素顔がバレたら不味いぞ?何かしら対策を立てられるかも知れない。つまり、念のために顔を隠せって事だ。」









その後、晩飯の時間まで少し寝たいと思った宗之はクック大将軍に部屋を用意された。

「これが南蛮のベッドという奴か」

宗之はベッドに転んでみると確かに快適な感じがする。

「相棒!俺もベッドに乗せてくれ!どれくらい気持ちいいか知りたいんだ」

どうやら月光は刀の癖にベッドに乗りたいらしい。

「うほぉっ・・・こりゃ気持ち良いな。畳に置かれるより万倍良い!」

「ああ、凄いな。西洋の物は快適なものが多いな。服装は和風の方が好きだがな」

すると、あまりにベッドが気持ちいいのか宗之はアクビをする。

「あぁ・・・眠てぇから俺は寝るわ。月光、飯が出来たら起こしてくれ。」

「待て相棒」

「なんだよ?」

「今回の戦い急ぎすぎじゃないのか?この世界に来て、ろくにこの世界のことを知らないのに政権奪回の戦いだなんてキツいだろ。いつもの相棒なら、こんな事しねぇだろよ。一体どうしたんだ?」

「あー、なるほど」と宗之は頭を掻きながら言う。

「早くしないとゲレーロの奴がロデオ王国を纏め上げてしまうからな。いくらゲレーロ派の奴が多くても、それなりにサトミ姫派の奴もいる。今なら城内に侵入して騒ぎを起こせばサトミ姫派の奴らも呼応してくれる筈なのさ。」

月光は「あーなるほど」と答える。

「しかし、一番は俺の立場だ。サトミ姫もクック大将軍もポッと出の俺を味方と思ってくれているみたいだが、多分早めに結果を出さなければ俺に居場所はない。次第に余所者という理由で冷遇される。その為に無茶を承知で戦う。これはこの世界での俺の居場所を作るための戦いでもあるんだ。」

「そうか・・・。相棒は前の主君の時は冷遇されたもんな」

宗之は再びアクビをして、「じゃあ、もう寝るぞ」と言って夢の世界へと落ちていく。
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