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第19章 父親(仮)、奮闘する

自分で掴んだ幸せよ

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 「ねえ、アミィ」



 夜、セオドアはアミィールの肩を抱きながら、愛おしい御方の名前を呼んだ。……………アミィがずっとお腹を抑えているから不思議に思っていたんだ。

 孤児院での出来事を聞いて欲しくて話そうと思ったというのもあった。愛おしい子供達が、祝ってくれたんだ、と自慢したかったんだ。



 「…………なんでしょう、セオ様」


 「?」

 その声色は、不思議だった。いつもの甘い声ではない、戸惑いの色さえ窺えて………不安になった。


 「なにか、あったのかい?」


 「___信じてくださいますか?」


 アミィール様は逆にそう聞いてきた。その言葉を言うということは、何かあったのは間違いない。


 「信じるよ、言ってみて?」


 そう聞くと、アミィール様はお腹を撫でながらぽつり、といった。




 「………………お腹の子供達が、話しかけてくるのです」

 「……………え?」



 「今も、『パパ、ママ』って交互によんでいて………その………」 



 「………………」


 アミィール様の声がどんどんか細くなる。嘘をついているようには思えなかった。アミィール様は嘘をつくぐらいなら隠すいじらしい御方だ。


 つまり。


 「…………アミィ、子供達はパパ、と私のことを呼んでくれているのかい?」


 「ええ、『パパがパパって教えてくれた』って言っています。

 あ、………今『パパの声、いつもと違う』って………」



 「…………ッ」


 嘘じゃない。だって、今俺は___泣いていて、鼻声だから。


 「……………アミィ」


 「?セオさ____ッ」




 セオドアはアミィールの返事を聞く前にキスをした。

 ____不思議な子供達、けれど、俺のことを唯一パパと呼んでくれる子供達。

 それが嬉しくて、嬉しくて。


 原理とか理屈とかどうでもよくて。……この気持ちをくれたアミィール様も愛おしくて。


 「ん、ふ…………」



 アミィール様は苦しそうにしながらも、それでも俺の唇を離そうとしない。


 ____全部、俺が自分で掴んだ幸せ。


 _____でも、言わせておくれ。


 やっぱり、俺は幸せ者なんだ、と_____


 セオドアは貪るようにキスをしながら優しくアミィールを押し倒した。そしてそのまま、アミィールと子供達ごと優しく、負担をかけないよう細心の注意を払いながら沢山の愛情を注いだのだった。







 *  *  *




 「アミィ、身体は大丈夫?」


 セオドアは寝室のベッド_愛情を注ぐ前に移動した_で裸のまま同じく裸のアミィールの頬を撫でた。


 アミィールはそれを受けながら、幸せそうに笑っている。


 「ええ。…………それより久しぶりで、とても嬉しくて、幸せで………この身体の怠さも愛おしいです。

 セオ様こそ、大丈夫ですか?」




 「ふふ、そっか。

 俺も同じだよ。………久しぶりのこの感覚、幸せすぎてにやけてしまう」


 「一緒、ですね。…………子供達が出来たら愛してくれないと思っていました」


 「そんなことはないさ。………俺はアミィの身体に触れられないのは嫌だからね。

 でも、前みたいに無理はさせないよ」


 「ええ。わたくしも_____ッ」


 「?」



 話の途中、アミィール様の顔が真っ赤になった。これでもか、と言うくらい赤い。どうしたのかな…………


 「アミィ?どうしたの?」



 「えっと………その…………」



 アミィール様は珍しく言い淀んでいる。
 目もそらされた。………また、子供達かな?


 セオドアは優しくアミィールを抱き寄せて耳元で囁く。




 「…………大丈夫、なんでも言ってご覧?」


 「………その、子供達が『この白いのなあに?』、『ベタベタしてる』と…………」



 「……………ッ!」


 モジモジと言ったアミィール様の言葉に俺の顔は熱を集めた。幸せで忘れていたけど子供達はアミィール様の子袋にいるんだった…………………!



 「……………アミィ、ごめん、その、………回数は減らす」


 「…………………はい、わたくし、今度から口で致します…………」


 「…………う…………」


 2人は甘い雰囲気の中、顔を真っ赤にしてお腹の子供たちに夜通しで『ごめんね』と伝えたのだった。















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