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第25章 成長する子供達と主人公

主人公息子と主人公兄息子

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 「セフィ、居心地いいだろ」


 「あぶー!」


 「………………」


 兄上とセフィロトはゴロゴロしている。それに関してはいいんだ。馬車での旅だからな、疲れても仕方がない。


 だけど。



 「ここは私の部屋です!」


 セオドアはそう叫んでクッションをセフィアに向かって投げた。しかしセフィアはそれを簡単に受け止めにやにやする。


 「手紙に書いてあったろ?私たちはここに泊まる、と」


 「いいとは言ってません!」


 「細かいこと気にするなよ、将来禿げるぞ。なあ、アド」


 「禿げません!」



 「キャッキャッ」


 「アドも笑うな!」


 セオドアは顔を真っ赤にして叫ぶ。
 デジャヴである。まったくあの時と一緒だ。おまけに息子まで笑っているんだぞ?恥ずかしさ2倍だ。
 兄上はしばらく笑ってからアドラオテルを見る。

 「にしても、本当に瞳の色が違うな。綺麗な紅と黄金だ。

 セラの方は黄金と俺たちとおなじ緑だよな。


 不思議だなあ、龍神の一族というのは」


 「正確には元龍神です」


 「細かいんだよ。本当に。なあ、セフィロト……………ん?」


 「…………?」


 兄上がセフィロトを見て動きを止める。俺も視線を追ってみた。セフィロトとアドラオテルが見つめあっているのだ。人見知りか?と思ったけどそうじゃない。



 アドラオテルは堂々と足を組んでセフィロトを見下ろしている。セフィロトは射殺すように睨みつけている。


 「…………なあ、セオ、これはどういう状況だと思う?」


 「私もわかりません…………なあ、アドどうしたんだ?」


 「…………べー」



 俺がそう聞くと、アドラオテルはセフィロトに向かって舌を出した。それを見たセフィロトは目に見えて怒って持っていたおしゃぶりを投げている。しかしか弱い子供の力、おしゃぶりは届く前に机の上に落ちた。それをみてアドラオテルは『ハッ』と小馬鹿にするように笑った。


 「…………は!?」

 兄上は声を上げた。
 アドラオテルは手を前に出しておしゃぶりを浮かばせているからだ。そりゃあ驚くよな。俺だって最初は驚いた。もう慣れたけれど。………けど、おしゃぶりをどうするつもりだ?


 「きちゃない」



 アドラオテルはそう拙い言葉で言っておしゃぶりを無理やりセフィロトの口に突っ込んだ。セフィロトは泣きそうになっている。今のはよくない。


 「アド!ダメだろ!そういうことしちゃ!」

 「パパ、うしゃい」

 「うるさいじゃない。まったく……すまないね、セフィロトくん」

 「むむむ~!」

 セフィロトはじたばたと足をばたつかせている。兄上はそんな愛らしい子供に高らかに笑った。


 「ははは、あの我儘なセフィを怒らせるか!面白いなアドは」

 「我儘?」

 そう聞き返すと、兄上は『そうなんだよ』と言って続けた。


 「すごく生意気でな、気に入らないとすぐに暴れたり泣きわめいたりするんだ。夜泣きなんてすごくてな」


 「へえ、夜泣きするんですか。大変ですね」


 「その口ぶりならアド達はしないのか?」


 「ええ。夜泣きよりも『悪戯』が凄いんですよ」


 「悪戯?」 

 「はい。ベッドを浮かせたりピアノを弾いたり………この前はおもちゃ全部を浮かせて城中に蔓延らせたり…………」



 「………………そんなことも出来るのか?」


 「?」


 兄上が引いている。…………あ、こんなのが『普通』なのは受け入れられないか。いかんいかん、感覚が麻痺している………


 セオドアは急いで首を振り話題を変える。


 「せっかくだし遊ばせてみせましょう、少ない身内なのですから」


 「そうだな、セフィ、遊ぼう」


 セオドアとセフィアは立ち上がりお互いの子供達をベッドの上に並べてみた。

 「…………」


 「……………」


 2人は睨み合っている。ヤンキー達が睨み合うようにアン?アン?ってメンチを切っているのだ。その様はもう赤ん坊に見えないくらい険悪である。


 こういう時は大人が導かねば…………

 「あ、アド、ちゃんと遊んであげなさい」


 「ハッ!やーや!」

 「ぬっ!がぁっ!」


 「セフィ!」



 セフィロトは頭に来たのかアドラオテルに襲いかかる。しかし、相手が悪すぎる。


 「………っ!?」


 「セフィロト!」

 「うわっ」

 アドラオテルは欠伸をしながら片手を前に出してセフィロトを浮かせる。そしてにやりと笑ってセオドアの胸に放った。


 そして、ムカつくドヤ顔をする。


 「ヘッ!」



 「……………」


 「……………」



 とりあえず、セフィロトとアドラオテルの相性の悪さが発覚した。






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