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第25章 成長する子供達と主人公
主人公は行いたい
しおりを挟む_____子供達は、あと10日もすれば、1歳になる。
「あじょー!」
「しぇらー!」
子供達はお互いの名前を呼びながらきゃいきゃいとベッドの上で遊んでいる、今はセラフィールがアドラオテルの上に乗っかって浮遊魔法で積み木を浮かせて遊んでいる。とても可愛い。とても可愛いだろう?で、だ。話に戻ろう。
誕生日だからこそパーッと祝いたいのだ。サプライズをしたいと思っている。部屋中にバルーンをつけて、『Happy birthday』なんて1枚1枚紙を切って貼って、紙の輪っかを作って…………ド派手にしたい。
けれど、2人の誕生日は春の月の18なのだ。この日はアミィール様とラフェエル皇帝皇帝様の誕生日でもある。………そして、お互いこの日をとてつもなく嫌っている。
つまり。
「やっていいのかな~~~!」
「う?」
「ぱぱ?」
セオドアはその場で頭をグシャグシャとして考える。
俺は、好きな人たちのお祝いをしたい。好きな人たちが嫌いな日だとしても、祝いたいんだ。だって、好きな人たちの誕生日だぞ?好きな人が生まれた日だぞ?
それを当の本人たちが嫌がるのは____悲しいじゃないか。
「…………とはいえ、無理にさせたら、逆に悲しんでしまうかな…………どう思う?レイ」
「………セオドア、もしかしてそれを聞くために俺をこの夜遅くに呼び出したんじゃないよな?」
執事のレイはとても不機嫌そうな顔でそう聞く。しかしセオドアは凛々しい顔で頷く。
「当たり前じゃないか、それ以外に家族の時間でお前を呼ばないよ」
「あのな、セオドア」
レイはため息混じりに近づいては見下ろして言う。
「俺とエンダーの愛し合う時間は深夜しかないんだ」
エンダーというのはアミィール様専属侍女で、レイの想い人だ。遊び人のレイが唯一本気で落とそうとしているサキュバスのことだ。
「愛し合うと言っても殴られて蹴られて投げられるだけだろう?暇じゃないか」
「最近は殴られない!専らモーニングスターを振り回されるだけだ!」
「…………けど、その割には傷が少ないじゃないか」
「最近少しエンダーの愛が重すぎると思って躱しているんだ。すごい進歩だろう?」
そういってドヤ顔しているけれど、右目が青いぞ。本当に大丈夫なのか。
それはともかく、だ。
「___誕生日パーティを開きたい。式典をやりたい」
「また振り出しかよ………やればいいだろう」
「簡単に言うなよ、アミィール様が傷つくかもしれないんだぞ」
「じゃあやらないか?」
「……………」
セオドアは納得していない顔をする。
………やりたいならやればいいだろう。
あーだこーだ考えるくらいなら。
そう考えるレイを他所に、セオドアは続ける。
「…………誕生日を祝えないなら、式典を復活させたい。レイ、言ってたよな、春の月の18日は城下町を練り歩くという式典をしていたと」
「ああ。ラフェエル皇帝が殺した前皇帝まではやっていたらしい。それはもう、派手にな」
「なら、国民たちだって喜ぶだろう。子供達のお披露目にもいい」
「とはいえ、ラフェエル皇帝が許可するか?」
「……………」
するとは、思えなかった。
最近仲良くなって、少しはラフェエル皇帝のよさもわかったさ。自他に厳しく、それでいて叱責よりも行動で周りを引っ張るとても優秀な人。………そして、意思がとても固く、やらないと決めたことはやらないし、やると決めたらとことんやる。アミィール様の男版だ。
けれど。
「……………式典を、復活させたいな」
セオドアは机に突っ伏しながら、そう呟いた。
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