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第25章 成長する子供達と主人公
楽しい思い出で塗り潰して
しおりを挟むサクリファイス大帝国では祭りが行われていた。
国民は明るい声をあげ、酒を飲み、踊っている。軍事国家とは思えないほど陽気で華やかな祭りは一日中行われるらしい。朝から夜である今も、笑い声や音楽が城まで響き渡ってる。
そんな国民達の中心には______大きな神輿、4人の専属側近、侍女、執事がかつぎ上げる豪奢な神輿の上には………………………皇族一同の姿が。
大きな煌びやかな王冠を頭に乗せた皇帝、その膝に腕を乗せて足元に座る沢山の宝石に飾られた美しすぎる皇妃、その下の段には皇帝よりも小さいけれど色とりどりの宝石のついた王冠を乗せた凛々しい皇女を膝に乗せ顔を赤らめる皇配、そして、皇族の正装を着て空中を浮き、愛想を振りまく妖精のような子供達の姿があった。
…………って、式典ってこんな恥ずかしいことをすることだったのかい!
アミィールを膝に乗せて座るセオドアは1人突っ込みを入れる。いやだって、神輿だぞ?神輿に1家全員乗っかって周りが踊っているんだぞ?シャンパンをぶしゃぁぁ!してるんだぞ?
カオスな空間だ…………とてつもなくカオスな空間だ………というか神輿って日本感がすごい…………流石日本のゲーム…………こういう所に思考の放棄を感じる…………
そんな羞恥に塗れ顔を赤くするセオドアを他所に、皇帝夫婦は話す。
「ラフェーすごいなんか、皇帝感あるよ」
「皇帝だからな。……お前はちゃんと座れ」
「いやだって、こうしている方がなんか、モデルのポーズみたいで素敵じゃない?このアングルの私美しいと思う。我ながら」
「………お前はどんな姿でも美しいだろう」
「!…………ふふふ、久しぶりのデレ頂きました」
こんな状況で2人の世界に入れる皇帝夫婦凄いな。でも1番すごいのは……………
「しぇらでしゅ、よろしゅくでちゅ」
「あどー!おりぇ、あどー!こいびとぼちゅーちゅー!」
セラフィールが宙を浮きながらぺこり、とスカートを持ち上げてお辞儀をする。アドラオテルは片手をあげて元気に手を挙げながらとんでもないことを言っている。どちらも1歳に見えない。
それを見た大人達がだまっているわけもなく。
「セラフィール様可愛い~!」
「アドラオテル様~!」
「絶対2人とも美形になるじゃねえか………すげえな」
「セラフィール様に声をかけられた……!」
「アドラオテル様~!」
「はぁーい!」
「……………………」
子供達は逞しいというかなんというか……俺よりも立派な皇族じゃないか………やっていることは皇族とかけ離れているけれど…………
「セオ様、お顔が赤いですよ?……わたくし、重いでしょうか?」
「そ、それはないよ!」
不意にアミィール様が心配げにそう聞いてきた。俺は慌てて否定する。重くなんてない。もっと言うなら、2人を産んだとは思えないくらい体型が崩れていない。もう既に腹筋が復活しかけているんだ。むしろ凄い。某ダイエットジムのCMもびっくりだ。
それよりも。
「アミィ、大丈夫かい?私の膝、座り心地とか………」
セオドアが心配げに聞くと、アミィールは頭をセオドアの胸に押し付けた。その顔は幸せそうだ。
「___セオ様が支えて下さるから、わたくしはなんの問題はないです」
「…………そう、か」
セオドアはぎゅ、とアミィールを抱きしめる力を少し強める。
_____こうやって、辛いことを楽しい思い出で塗りつぶしていく。思い出を繋いでいく。
少しずつ、けど確実に___愛する御方と、その周りの人間の幸せを広げていく。
それも俺の役目、俺のしたいこと。
こうやって、俺はこれからもこの御方達と生きていくんだ_____。
国民達は踊る、踊る。騒ぐ、騒ぐ。沢山の笑顔を見ながら、夜通しで誕生式典を家族で過ごしたのだった。
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