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第3章 森の妖精神と次期龍神
初めてのお酒としゅわしゅわする気持ち
しおりを挟むラフェエルのことが、好き?
エリアスの言葉に首をかしげる。
好きって何?は?私が?あの理不尽大魔皇子を?
「いやいやいやいやいや、ないない」
「そうなのですか?…………お話を聞いている限り、ラフェエル殿下のことをとても気にかけていらっしゃるから……………か、勘違いでしたらすみません!」
エリアスはハッ、として再び謝った。これがデフォなのだろう。いや紛うことなき勘違いだけども。ぽろぽろ喋った私にも非がある。彼女を責めることなどできない。話を変えよう。
「わ、私よりもエリアスさんがラフェエルのことを好きなんじゃない?昼間助けて貰った、って言ってたじゃない」
「そ、それは………………それは、ありませんよ、わたくしとラフェエル殿下では釣り合いませんし………………憧れではございますけど、幼馴染というだけです」
そう言って顔を赤くするエリアス。恋愛に疎い私でもわかる。絶対好きだなこれ。
そう思うとまたもやもやしてきた。なんなんだろう、これ。
「………………お似合いだと、思うけどな。お姫様と皇子が結ばれるなんてハッピーなことじゃない?」
「そんな…………ことはないです。わたくしはラフェエル殿下よりも、その、アルティア様の事の方が……………気になりますし」
「ブッ」
「アルティア様!?」
思わずシャンパンを吹き出す。何を言っているのこの人?なんでさっきより顔が赤いの?え、これって私どう反応すればいいの?いや、可愛いとは思いましたよ、拝みましたよ、でも百合展開を求めてたわけでは断じてない。断じて。
「わ、私はそんな、大したものじゃ……………」
「そんなことないですよ!森の妖精神様の宮が輝いて、緑の光がぱあ、って………!わたくしもそんな魔法が使えるようになりたいです!」
と、キャラを忘れて熱弁するエリアス。うーん。これはガチなのか?ガチと書いて本気なのか?
「確かにラフェエル殿下の魔法はとても素晴らしいです、わたくしを助けてくださった時、一瞬で野犬を燃やしてしまわれて………それだけではなく剣にも魔法を纏わせる高等技術まで使えるのですよ!?とっても素晴らしいです!憧れます!
でもアルティア様のはそれとは違って、優しくて温かくて、…………あれは治癒魔法だとリーファ様は仰ってましたがそうなんですか!?大地を生き返らせることは可能なのですか!?どのような魔法の訓練をされています?他にも魔法が使えるのですか?どうか、わたくしに教えてくださいませんか!?」
鼻をフンフンさせながら目を輝かせるエリアス。それを見て悟った。
ああ、この子、ラフェエルがイケメンだからとか、百合展開とか、そういう基準で見ちゃいけない子だ…………この子は所謂"魔法オタク"なんだ………………ラフェエルのことを慕っているのでは無くラフェエルの"魔法"を慕っているわけか……………
一気に体の力が抜けて、ほ、と安堵する。
……………………………ほ?
なんで私は安心してるの?
理由はわからないけど、心のもやが無くなった。何故……………?
「……………?アルティア様?」
「あ、…………」
「どうなさいました?」
「い、いや、なんでもない!」
私は慌ててシャンパンを飲み干す。くら、と目眩がした。
この顔の熱さは、お酒のせいだ。
そう思い込んだ。
「エリアスさん、もっとシャンパン貰ってもいい?」
「勿論ですわ!魔法について語り明かしましょう!」
そう言って意気揚々と中に戻っていくエリアスの背中を眺めた。
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