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第4章 太陽の神と土の精霊と次期龍神
次期龍神と太陽神
しおりを挟む「こ、こここ、こちらです………………………………」
すっかり縮こまった宰相に案内されて、地下に続く階段を降りる。
あまりに腹が立って龍になっちゃった。
また1歩人間から遠ざかっちゃったな。……………まあ、あれ以上くだらない自慢話を聞かなくて済むなら安いもん、か。私が龍神だと言うことも口外するなってしっかり脅したし。ノーカンだノーカン……………
「ぶっ!」
顔面を前を歩いていたラフェエルの背中にぶつけた。
「ちょっと、いきなり立ち止まらないで!」
「何を言っているんだ、着いたぞ」
「へ?」
言われて、ラフェエルの背中越しに前を見る。オレンジ色の魔法陣が描かれているただの壁だ。
「ただの壁じゃない。どういうこと?」
「え、ええと…………こ、ここが入口なのです………………この魔法陣に触れると………………太陽神様の元へ行けます………し、しかし、太陽神様が許可しない限り開かれないです………………」
「………………そのようだな。古く………難しい術式だ。
アルティア」
「うーん。術式とか分からないけど、無理やりこじ開ければ良いんでしょう?」
私は壁の前に来る。『来るな』って言わんばかりの熱気を放っている。___やってみるか。
「…………………破魔・|解錠」
破壊魔法のブレイクと透明魔法スケルトの応用で壁に触れる。壁は簡単に亀裂が入り、ガラガラ、と音を立てて崩れ_____黒い渦のいかにも"ゲート"って感じの物が出てきた。それを見ていた宰相がひい、と小さな悲鳴を上げて腰を抜かす。それを無視して私はラフェエルに言う。
「できたっぽい」
「…………………みたいだな。行くぞ」
「はーい」
私はゲートを潜った。
* * *
「うっぷ…………あつ!」
部屋は噎せ返るほど熱気に包まれていた。肌が焼けるように熱い。太陽に人が触れると消し炭になるというけれど、触れなくても肺が焼かれるわ、これ。
私は両手を前に出して氷の魔法を意識する。
「複合魔法・|氷風」
そう詠唱すると、心地いい冷たい風が吹く。このぐらいの温度だったら、過ごしやすいかな?
「ラフェエル、熱くない?」
「ああ、問題ない」
『______礼儀のなってねー龍神の娘だな』
「「!」」
上から声がした。見上げると____オレンジ色の刈り上げ、金色の瞳、沢山のピアスがついた大きな福耳、褐色の半裸____何より、腕が4つある!いかにも神!って感じの…………あれ、さっきの宰相と同じような感想しかもてないや…………とにかく、そんな男が空中で寝転んでいた。
『勝手に入口を壊すわ、気温を下げるわ………随分自分勝手だと思わないのかい?流石、自己中心的な龍神だな』
「それはごめんね!とりあえず、首が痛いから降りてきてくれる?」
『なんで俺がお前なんかの言うことを聞かねばならない?俺は神だぞ』
「………………へえ。やっと神らしい神が現れたじゃない。…………でも。
"降りて、ひれ伏せ"」
『………………………!』
私は言霊呪文を使った。太陽の妖精神は地面に勢いよく頭を擦り付けた。今度は私が見下す番だ。
「私を見下せるのは理不尽パワハラ大魔王ラフェエルだけで十分なの」
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